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夕方の細い夜に逃げ出した心が帰らない
大したことはおこらない
丸い窓を持ち上げて
少し空気を入れ替えるような当たり前のこと
感慨深く、目を閉じているわけでもない
警戒が服を着たわ ....
日暮れが命を光らせる
うすい羽の滑空を
ぺらぺらぺらぺら遅らせる
何度もここで羽化をする
通り過ぎた残響を
鼻を湿らし数えてる
長い時間はプレパラートで
あたたかいのはたぶん届い ....
大きなサイロの下に身を潜めて
電柱に止まるカラスそっくりの雲を撃ち落とし続ける
大胆な予想はいつもはずれて
てきとうな優しさに骨が溶けそうだ
もしもロボットになれたら
光とか匂いに包まれ ....
この路線はもう天国へ連れていってくれないのだろうけど
わりとひらけた停留所で緑色の傘が落ちているのを見た
空き缶一つ見当たらない不自然な砦で
小銭の音が響いているだけ
七年ぶりにハチ公のた ....
濃い目の紅茶をひとくち舐めて
すすけた砂漠でくるくるとステップを踏む
気をつけて
地雷に触ると危ないよ
金ぴかのさそりに心を噛まれたら
白かった地図がなんとなく退屈になっている
....
ソファのない部屋にいる
立体をこじ開けて時間を差し込んだ戦車が通る
石蹴りに夢中で影を置いてきてしまった
からんころんと遮断機の警報が鳴って
舌の長い子供たちが低いビルに手 ....
私の指はとても不器用で
目の前にあるものを掴むのに時間がかかる
だから誰かがサッと掠め盗っていってしまったり
のんびりしすぎて消えてしまったりする
ビルの谷間に逆立ちで歩いている
理想郷 ....
体育座りから解き放たれた我々が目指すものは
給水塔より遥か東に張り付いている
アーモンド型の月なのである
必要のない嘘をつくのである
ついに我々の背丈を追い抜いた言い訳たちに
弁解の場を ....