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湯に首までつかると
毛穴という毛穴から吐息が漏れる
立ち昇る湯気が
表情筋をひとつずつ解体していく
たぷたぷ
あごの先端から始まった
温かいさざなみが
湯船のふちを円やかに乗 ....
一巻の蝶がほどけ
色と熱を失った記憶の羅列が
瞬きもせずに四散する
錐揉みの燃える落日に
ことばには満たない鱗粉が
乱反射しながら霧散する
重力が半減したかのように
その長すぎる ....
星がみえぬと
嘆くのならば
夜ごとまぶたを
くちびるで塞ぐ
それは塩辛く
わたしは夜に
海をみる
....
ながい歌のあとに
みじかい言葉があった
冬の夜の
ひろい海のまえで
そこらに捨ててきた
古い自転車のことも忘れて
ぼくたちは手をつなぎあった
なが ....
透明人間の唯一の欠点は
自分の姿が見えないため
歩行者が自分を避けてくれないこと
そのため透明人間は繁華街や
人混みなどでひとにぶつかる
でもぶつかったひとは何にと想う
そう だれ ....
赤いウミウシの模様であった
デパートの包装紙
それで母はちゃっちゃかと洋服の型紙を作る
かつて何かを包んだものの匂いがしていた
ヒトガタに切った人形が
夢のなかでトモダチになるように
....
おまえ
仮面ライダーを名乗ってるけど
よく見たら目のとこ
メッシュになってるから
大体誰だかわかりそうじゃんか
えっ?
ライダーじゃない?
ヲイダーだ?
わらかしよんな
....
大教会の
ステンドグラスが
粉々に割れて
天使が落下してきた
大理石に叩きつけられ
散らばる宝石の上で
息絶える
幼い君はそ ....
人からたまに言われるさ。
「いつも楽しそうですね」
「ちゃんとしててすごいですね」
「きれいにしてて素敵ですね」
・・・etc.
もうちょっと近づいて、よく見てご ....
いい格好しなくていい
むしろ
ちゃんとしているとつまらない
ちゃんとしない人生を生きる勇気はないけれど
せめて
目も口も鼻も
とんでもなく
へんてこにしたれ
おかしくしたれ
ぶっちぎ ....
雪なんて当たり前だった幼い頃
道南の辺境で借家の玄関の硝子戸を開ければ
一階はすべて雪の壁だったこと
なにせ長万部が唯一町の体裁をそなえたようなところで
物流の届かない ....
雪は
ひとひらと数えます
ひら、ひらと
落ちてくる様は
心がなにかを探しているようで
雪を
ひとひらと数えます
ふたひら
みひら
あとはもう数えるのは止めました
あ ....
竹を割ったような性格なんて
ただのアホウだと思っていたけれど
実際問題
自分に娘がいたとして
どんな男なら嫁に出しても良いかというと
やっぱり俺みたいな
ネチョッっとした奴は嫌で
サッパ ....
ひかりをみつけたよ
人が踏みゆく
黒いアスファルトのなかに
埋まっている
埋まっていた
だけど
誰も
拾わない
拾えやしない
だいあもんどなんかより
き
れ
い
どこ ....
リズムをみつけよう
心地よいリズム
ゆっくりと歩もう
自分に合った速度で
いろんな街の匂いを
風が運んでくるから
時々立ち止まっては
立ち位置を確かめる
胸を広げて深呼 ....
幼児並みの知能の
ばったり倒れ屋さん
自分の存在意味を
たずねる旅は続く
哀愁と友情とを友として
泣き虫の私は
どうしても涙する
同時に孤独の本質を知る
....
その横っ面を
おもいっきり
はり倒す
約束をまもらぬ
ろくでなしの
横 ....
僕だけ豆ぶつけられている
130111
ぐい呑みの親分が丸呑みだと喚いたら
いきなり拳固が飛んできた
痛いと思ったので
殴り返す
10倍にして返したかったが
手が追いつかず敵わない ....
雪がふる雪がふる
音もなくふりつもる
蝉たちは土の中
耳を傾け夏をまつ
あの日の麦わら帽子は
いまも埋もれてい ....
陽射しは澄んだ冷気を纏い
静かに微笑んでいた
病床から起き上がる母親のように
すると蒼白い時と仄暗い人の群れで編まれるはずの朝が
心なしか ふと暖色に染まり
視線は飛翔してはまた憩う 小 ....
吃音的思考
促音が音叉のように
響き渡る
繰り返し繰り返し繰り返し
長音と撥音の区別の無い思考
一音節で何を語る
テンションとリラックスの繰り返しが
微妙にずれ
吃音的身体運動 ....
止まない雨はない 死んだ母は帰ってこない
空っ風の吹く夜は
別宅の湯屋のうすい硝子戸が
ぶるぶる震えて怖かった
ぼんやり灯る電球の下
木の蓋をとれば
お湯はもうもうと息を吐く
祖母は
もう、いいよ、というまで
ごつい亀の子 ....
水道の蛇口を閉め忘れたようで
寝ているうちに耳の方へと
冷たいものが流れてきます
明日は仕事なのだからはやく
眠らなくてはならないと ....
牛小屋に入って
うわあ、超旨そうって
思えたら
僕も本格的な肉食人種なんですけどね
なかなかそこまでは到達できないです
でも甲殻類は
動いていてもヨダレ出ちゃうんですよ
どうしてでしょう ....
ラッシュアワー
千本足の林立の狭間
スーツケースからはぐれた
よそ行き幼児が泣いている
わめき声は動物じみて
朝を病んだ善男善女の苛立ちを
憎悪域にまで掻き立てる
半ばは勤労地獄に子を詰 ....
からっ風に吹かれ
あなたはひとり
どこへ往く
寒かろう
たったひとりでは
あなたの暖となり
ともに往き ....
ひとりのひとを ほんとうに愛することができたら
多くの人に愛される 気がします
【 Window 】
ブラインドを上げて
窓を大きく開けた
そこから新鮮な空気が流れ込んでくる
青い空 鳥の囀り 風の音
明るい陽の光 そこに希望があった
掌を伸ばせば届きそうな楽 ....
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