夜明け前の空の色が
好き
深い群青からじょじょに
混ざり合った茜色
朱色
明るい赤みを含んだ水色へ…
私たちは今
夜明け前なのかもしれない
今日への希望をはら ....
人の声がしていた
気のせいかもしれない
聞かなければ、
聞かずにすむのかもしれない
鬱蒼とした密林の獣道らしかった
薄日の差し込むそこは、鳥が時折 過ぎていく
朝ならばもう、あたしは学 ....
母の家までいくと
まだ幼い母が
家の前でひとり泣いていた
なにか悪さして
家に
入れてくれないのだと言う
私は扉をたたいた
悪いのは
この娘ではなく
私なのだと
....
バスドラの響き
サイドシンバルの嘆き
ハイハットの規則性
スネアのアクセント
CRYするギターのうねり
むせび泣くキーボード
今度家に遊びに来てと言われる。
ライトハンド奏法見せるか ....
英語の歌詞だからうたえっこなくて
だけど今あたしのカラダになじんで
でたらめ英語でがあがあうたえば
気分は明日へゆけそう
ふいにバラードなんてかかって
座る場所すら確保しなくて
唖然と ....
らららららららららと空が笑った
らららららららららと君は真似る
ストッキングも
重いカバンも
肩の上がらない窮屈なスーツも
何も知らず持たない君は
綺麗な声でらららと ....
滴り落ちる朱が
脳の闇を呼び覚ます
隠れていた魔物が
『逝けよ 逝けよ』
と騒ぎ立てる
ネジの緩んだ僕の体は
ぎこちなく葬送ワルツを踊り出す
ここにはない何かを求めて
魂は ....
――知っていただろうが、
銀のフォークに刺したその柔らかな一切れが
まだ焼かれるまえには紅く鮮血が滴っていたのを
そして屠られるまえに荒く息をし、
「お願い、どうかやめて!」と叫んだのを ....
こうばしい匂いは
おとこのこの
おへその上からする
おんなのこたちは
それを知って
おんなになる
電話がかかってきて
行ってしまった
幸せになるんだ
といって
コケリンドウの
花をみつけた
ちいさな青
の付け根のあたり
淡く
消えそうなものに
私はいつも憧れる
たくさ ....
他人の死は見ることができ、
自分の死は見ることができない。
他人の表情は見ることができ、
自分の表情は見ることができない。
自分の何かはすべて想像だけで、
鏡に写った自分が本当に自分 ....
真夜中に揺り起こされた
見知らぬ男が側にいた
男は声を潜めて、島を焼く、と短く言った
これから島を焼くのだという
どこへでも好きなところへ逃げろ、そう呟いて ....
弟と拾ってきた仔犬
団地では飼えないからと母にきつく言われ
泣く泣く拾った場所へ戻してきた次の日
くんくんと悲しそうな鳴き声忘れられなくて
自転車に乗り夢見ヶ崎まで
小高い丘の上には ....
麦わら帽子の片思いは
たんぽぽの種になって飛んで行った
新調仕立て背広の恋愛は
勿忘草となって枯れていき
覚悟を決めた愛情は
ブーケの花となって咲いていった
白髪交じりの ....
{引用=
夏がころがりおちてゆくのを
陸橋のうえから
ぼくは
ずっとみていたんだ
いつかかならずくる
嵐が
ニンジン畑のどこに潜んでいるのか
だれも知らないことが残念でなら ....
海に沈んでいた。深くて、暗くてただただまっすぐに、とうめいな海だった。彼女はいく年も海の中で生活をしていた。貝殻と人魚のシズクでできたふしぎな家に住み着いて、自分のすきなものだけを集めて暮らしていた。 ....
信じてる
あなたのこと
あたしたちだけの
記念日
だれも知らない
秘密の時間
いつか
あたしを
連れ出してくれると
この
緩やかな牢獄から
信じてる
あなたのこと
おなじ
闇をもった
共犯 ....
真冬の寒い日
葉がすべて落ちて
魚の骨が起立する
銀杏並木の坂を
ゆったりと降りて行く
僕は何の理由か気づかずに
気づかないまま
躓いてしまった
小石一つ無い道だったはずなのに
....
やさしさを捨てる課題に明け暮れていた
あなたは拾ってとどけてくれた
誰にもはちあわない海底トンネルを失踪する野ねずみの惑乱、分岐点を走りぬけ迷宮のままどこかのダムが決壊する速度を待っていた。汚 ....
あとで何も思い出せないくらいの人生を生きたい
あの時あそこで何をどんだけ食べたとか
そのあと誰かと湖の閉鎖中のボート乗り場で
かなりきわどいところまで乳繰り合ったとか
そんなことど ....
「不自由になるの」
そう笑った 君は
僕と目も合ってないし 苦笑いだった
「期待していいのかな?」
そう考えた 僕は
友人のことを思い出して 今の言葉を取り消した
「ピアノ ....
100905
いつかの
間違いのない期間を
充実させた大型の骨組み
シロナガスクジラからコクジラにイルカ
8月の醤油樽は乾ききって ....
お菓子はね、子供や、それから男のためにあるのよ。
甘いお菓子のにおいに騙された子供は従うようになります。
とろけるようなめまいの中で男は幸せになります。
子供も男も基本は同じです。
ホームメイ ....
悲しい歌ばかり歌っていた
ひかりもなかった
影もなかった
本質ってなんだろう
悲しい歌ばかり歌っていた
人間に進化した猿とそうではなかった猿
その違いは森からでたか ....
足音は雨音に紛れ
身体は真夜中に紛れる
微かな人とすれ違うが
みな傘を手に雨よけに夢中で
真っ直ぐ歩いていく
傘を手に飛び出てはみたが
差す差さないで迷ってしまう
肩へ着地した滴 ....
一定、一定の過去を創りだす
わたしの
しんぞうのうらがわの、
思想力と安楽死を求めてる、
わかく
やわらかく
なまぬるいそんざいかん
…
宇宙葬に関わっては、
いまだ周囲 ....
わたしを動かしている
脈々とした流れが在る
指の先まで細くゆきわたる
見えないはずの赤い糸が
ふつふつと啼いている
うずくのとは違う反応が
浮かんだ言葉を紙にならべて
つかの間な ....
さっき
セックスをしながら
メールをうってて
いきそうに
なったときに
「イク」
と
送信
して
しまった
ことが
ある人とは
心
を
ひらいて
話しを
しても
いー ....
柔らかな緑の草で
指を切ったら毒
血に書いて 流れた塊
草の水脈を焼く
告白すべき晴れ渡った青空の下
汗に隠れた熱の音
茂る 土の影
崩れる 白い月
「死にたくない」と
悲鳴をあげてあなたが言う
そんな姿を見ている私の近くで
「死にたい」と
自ら命を絶つ人がいる
「死にたくない」と
死ぬ思いで戦っている
そんなあなたの言葉の先で
....
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