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薄暗い博物館の
階段下脇に
上半身だけ
腕組した文覚像
見開かれた眼

何思うか苦悩と孤独
愛するものを過失で殺害
無念無残悲惨
結ばれない愛の曼陀羅模様

遠めで見ればほんの一 ....
風が無い季節に
病葉(わくらば)が落ちる

眼に見えない時間が
自分の掌から零(こぼ)れ落ちて行く

突然訪れた季節に」
黄色の銀杏並木は
幹まで落葉で覆われ

道行く者の足を ....
全ては言葉で始まった。

ものは言葉で存在し

言葉で言えないものは無い
存在しない

絵に描けなくても言葉になって

人の間に漂って

人の気持ちも言葉になって

言葉が無 ....
海辺で見初めた瓊々杵(ニニギ)は想う
木花之佐久夜(このはなさくや)の美しさ
国つ神の娘であったが、
直ちに契りを申し入れ

このはなさくやは戸惑うだけ
笠沙の岬は出会いの場
 ....
酒の呑みたい宵は
白木のカウンターの前に座り
白いぐい飲みに熱燗を注ぎ
肴のへしこを小皿からつまんで
口に入れて噛み締めて
ゆっくり熱燗を口に含んで
昨日のことなど思い出しながら
グビリ ....
 
弾けもしないキーボードに指を添え
弾けもしないはずなのにコードを押さえ
弾きもしないはずなのにコードを鳴らす

知りもしない唄を思い浮かべ
知りもしないはずなのに唄を口ずさみ
知りも ....
大内峠から徒歩で
大内宿の街道往還に出たとき

秋とは言え、紅葉も落ちかけの季節は
旅人の心も体も
芯から萎えさせ冷たくさせる。
街道沿いの落ち葉を踏み締め
漸く視界が開けたところは大内 ....
崖の上を覆う
赤い紅葉の
庇の下に
渓谷の底
竜が滑る。

鱗状の水飛沫(みずしぶき)
突然竜頭が
川底からなお落ち込む

崖の上には
紅葉楓の緞帳が
視線の上を覆っている
 ....
遮光レンズ越しの
淡い背景が
拡散する持ち時間を
しばし彩る
グラデュエーション
緑色のかみ人形の林立に
研ぎ澄まされた
ペーパーナイフの
握り締めた刃先の赤
指の間の憂鬱な黒い ....
直線的な飲み方をしたら
その酒は喉を焼いた
甘美な味わいの後の
ヒリヒリした後悔は
終電後の情事

一杯飲めば十分で
それ以上求める気はない
倦んだのでは無く
違う刺激に酔っている
 ....
黒猫は廊下に佇んで、
じっとこちらを観ている。

部屋の中にいても落ち着かない
餌をくれてもあまり食べない

探し回る 探し回る
自分の目が開く前から
抱いてくれた母親を

不 ....
疲れた眼を開けると

目の前の街路にわさわさと
夥しい数の奴凧が
尻尾を引き摺ったまま
蠢いている。

大きいのやら小さいの
赤いのやら黒いのや
斑模様やら縞模様の
真丸のやら楕円 ....
素面(しらふ)で詩なんぞ書けるものかね

と赭ら顔の詩人は言った。

カウンターの隣で飲んでいた俺は
思わずバーボンを吹き出した。

そうだよ っと詩人は手が震えていて
表紙の擦り切れ ....
風に吹かれた風船は
ゆらりゆらゆら
中空に ゆらりゆらゆら
浮かんでいる。
そのまま天に向かうのか
それとも萎んで地を這うか

風に吹かれた風船は
幼いころの夢に似て
ゆらりゆらゆら ....
大きな夕陽の中に
君の背中が逆光に
振り向かない君に
僕は問いかける

人生はこんなものなのか
CTでスキャンすれば
楽しい時もあった
輝かしい時もあった
苦しい時もあった
惨めな ....
泣き顔が
僕の世間の片隅で
次第次第に数が増え
しかも奴らはでかい顔
僕の居場所を奪ってく

泣き顔が
僕の世間の真ん中で
どんどんどんどん数が増え
しかも奴らは湿っぽく
僕の顔も ....
多くのスクウェアな図柄に囲まれて
負債を踏み倒しに行く
老獪な白熊一頭
笑顔には愛嬌
獲物を貪り喰らう凶暴さは健在

整った図柄の中央に
消えつつあるアルファベット
 三 ....
辺境を目指して隊商は
何も遮蔽物の無い太陽の炎の先を歩く
必要以上に熱い砂の上を
ただひたすら駱駝とともに
テクテクのテクテクのてくてく
歩いて歩いて歩いて歩いた

目的地はバスラ
ロ ....
カウンターの背の高いスツールに腰掛け
グラスに注がれたバーボン
氷のゴツゴツした表面を覆いながら滑り落ちる
琥珀色の液体にジッと
視線を這わせ

すでに結露したグラスを捧げ
グビリと ....
沼田城址公園の猫

その猫はチャトラ
顔は大きいが痩せていて
バランスが無い。
愛想が頗る良いが、下品ではない。
飼い猫にしては痩せている。
野良であろうか がっついてる。

のっそ ....
僕は今両手を差し出して
広い大きな空を掴もうとしている
それがとても滑稽に見えても
そうしなければ
自分が消えてしまいそうな気がして

僕は今両腕を空に向かって突き上げ
広い大きな空に飛 ....
川の岩盤を流れる水は
岩盤の裂け目から
襞の入った白いレースのカーテンとなり
直下の岩盤に落下した水はまた元の流れとなり

水は岩肌を滑るように流れ
そのぬめぬめした岩底には
泡一つ遠目 ....
臨月でお腹の大きい妻が呼んでいる。
僕はいつもの公園で二日酔いの頭を抱えながら、
三歳の息子と遊んでいる。

繰り返し繰り返し
同じ砂山を作っては壊し作っては壊し、
何回作っても彼の作 ....
歩き疲れて立ち止まる
道に雨が降り出して
静かに静かに降り出して
道に輝く石畳
次第に次第に濡れてくる
並木の青いプラタナス
静かに静かに濡れてくる

歯を食いしばり空を見る
見 ....
蒸気機関車の車窓から
景色が後方へ飛んで行く
山は碧から朱に変わっており、
山肌には不気味な道が這い回る。

しゅっしゅらしゅっしゅっしゅ
しゅっしゅらしゅっしゅしゅっしゅらしゅっしゅ
 ....
他人の死は見ることができ、
自分の死は見ることができない。

他人の表情は見ることができ、
自分の表情は見ることができない。

自分の何かはすべて想像だけで、
鏡に写った自分が本当に自分 ....
真冬の寒い日
葉がすべて落ちて
魚の骨が起立する
銀杏並木の坂を
ゆったりと降りて行く

僕は何の理由か気づかずに
気づかないまま
躓いてしまった
小石一つ無い道だったはずなのに
 ....


その大いなる人々は
歌声と一緒にやってくる。
峰峰に雪を戴いた白い山並を越え
覆い隠すような人数で
その歌声と一緒にやってくる。
誰かのために歌う訳でも無く
止むことのないその韻 ....
キューブの内側は白い部屋
上の面は解放されていて
太陽の光が
四十五度斜め上方から降り注ぎ

部屋の内部は
濃いグレーの三角柱と
白い三角柱に二分され
その中央に球体の女が
在る。
 ....
大きな空の真ん中に
言葉にならない穴があって
その奥の色は群青色で
いろいろなランプが
つり下がってる。

いつでも自分は一人なのですが、

このごろますます一人なので、
言葉に ....
豊島ケイトウさんの……とある蛙さんおすすめリスト(32)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
禄山- ……とあ ...自由詩8*10-12-1
晩秋- ……とあ ...自由詩810-11-30
ことばはことば- ……とあ ...自由詩6*10-11-25
このはなさくや- ……とあ ...自由詩5*10-11-20
酒の呑みたい宵- ……とあ ...自由詩5*10-11-16
コード_1- ……とあ ...自由詩9*10-11-15
大内峠から- ……とあ ...自由詩10*10-11-10
竜化の滝ー塩原渓谷- ……とあ ...自由詩8*10-11-7
老い- ……とあ ...自由詩11*10-11-3
Kiss_OF_Fire- ……とあ ...自由詩9*10-11-1
入院- ……とあ ...自由詩11*10-10-28
襤褸凧- ……とあ ...自由詩8*10-10-26
飲み友達- ……とあ ...自由詩6*10-10-24
ゆめ風船ー風船3- ……とあ ...自由詩7*10-10-21
浜辺に腰掛けて夕陽を見ている- ……とあ ...自由詩12*10-10-18
泣き顔- ……とあ ...自由詩5*10-10-15
小さな正義- ……とあ ...自由詩8*10-10-10
隊商1ー躊躇- ……とあ ...自由詩7*10-10-2
バーカウンターの蛙- ……とあ ...自由詩10*10-9-30
沼田の猫- ……とあ ...自由詩13*10-9-29
ポジション- ……とあ ...自由詩8*10-9-26
吹割の滝- ……とあ ...自由詩10*10-9-22
- ……とあ ...自由詩14+*10-9-17
雨が身体に- ……とあ ...自由詩9*10-9-13
登山列車- ……とあ ...自由詩8*10-9-11
鏡に独り言- ……とあ ...自由詩8*10-9-7
友ー躓きー- ……とあ ...自由詩9*10-9-5
歌声- ……とあ ...自由詩16*10-8-30
ブリキ部屋の悲しい女- ……とあ ...自由詩7*10-8-2
けっかんしゃ- ……とあ ...自由詩12+*10-7-25

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