ぺたりと落ちた1円に愛想笑い
いつかお世話になるかもと
いやらしくお辞儀
文房具屋の駄菓子を
思い出せるだけ持って
1円 足りずに
レジ横へお菓子の山を
全部置いてきた夕方の ....
(1)
僕は眩暈をおこし倒れゆく途中、眩暈の原因はこの部屋の絨毯の模様がどうにも見慣れない形に変わってしまったからだということに気づき、しばらく斜めになったまま考察を続けた。
(2 ....
空に標識がないのに
飛行機がぶつからないのは不思議だ
と母がつぶやく
風のはじまりはどこなんだろうねえ
風はどこで終わるんだろうねえ
お母さん
あなたと同じように
私も
いつの ....
紅色に蕾んだハナミズキの予感の
爆ぜるように的中した枝の 昼間の春の
染み込んだ雲は少しも耐えたりしないので
自在に 夜は春を濃くして暮れ
紅を翳らせてゆく 通りの並木の直立の ....
わたしの夜のとなりに
ことばがたくさん住んでいて
ときどきベランダで
お話をする
こどものかたちをしてる
一緒にトマトを食べたり
くっついてみたり
ゴミを片付けたり
たのしいね ....
眠れぬ夜 移ろぐ 窓枠の絵画は紺碧
零れる灯 移ろぐ 窓枠の絵画は{ルビ白色=はくしょく}
駆け抜けるイメージは鮮やかさを増す
壁の白
不快な緑
朝陽の無い部屋
始まりは{ルビ何 ....
「もしもし、もしもし、神様ですか?」
祖父から譲り受けたアンティークの電話機で、佳子は今夜も何者かと会話している。その電話機は飾り物でコード゙は何処にも挿してない。まあ、神様の声を聞くのに電話線を ....
赤く青く黄いろく黒く戦死せり (渡辺白泉)
なんだかだんだん非ジョーシキでなくなってきた「俳句の非ジョーシキ具体例」、今度は時事ネタである。それも茶化すわけにはいかないたぐいの時事ネタである。 ....
マイペースってのはね
走りたい時に走って
歩きたい時に歩いて
止まりたい時に止まる事だよ
....
1)
ねじりんぼの花が咲いてる
あれはねじれていてこそ正常なので
まっすぐに伸ばそうとすれば折れてしまう
<惑ひつつ天を目指せしねぢりんぼ>
2)
梅雨どき ....
フィオレルロ・ボドニのやうに
閉ざされし部屋にて翔ばむ
赤き火星よ
☆
異常巻き
アンモナイトぞ
精緻なる
整数よりも
無理数を選り
☆ ....
たくわんの淵は よれよれしてて
噛むとカリコリやのに
今日のはまた特に
薄っぺらくて よれよれ
あたり前やけど まんまるやないし
たくわん なんで よれよれなん?
なんで もっと しっ ....
わたしはどこにも行きたくない
許してください
わたしはどこにも行きたくないのです
晴れた朝も
暗い夜も
雨の沼も
光の庭も
どこにも
あなたがここに来て下さい
そしてわた ....
駅のホームで国歌を斉唱します、国歌を斉唱したいのです
どこの国歌でも構いません、僕は斉唱したいのです
恋人はホームの先端でフェンスを噛み砕いています
ものすごい音をたて、あるいは音をたて ....
せんえんで
ひゃくえんのものを
さんこかいました
おつりは
いくらでしょう
あほう
ちっとは
頭を使えや
解るか
客が
なんぼやって言うたら
負けろって意味なんやぞ
普通な ....
うるせえなそれでも僕のたましいはゴムタイヤに詰めた散らし寿司なのだ
もてたくてもてるふりしてもてまくりもててもててもててもててもてて
一日に一本限りのタバコのような君のスマイルのためなら
....
熱くも無く 涼しくも無く
肌に濡れる風は心地よく また煩わしくもあり
音は無く
揺れる木葉は遂に無言
それを何と呼ぶかは人の自由で
ただ「微風」と 私はよんだ
今 日
降 っ た 雨 は
明 日
君 が 生 き る 糧 に な る よ う に
今 日
流 し た 泪 は
き っ と
君 が 明 日 を 生 き る 糧 ....
後悔なんぞしてやんない
ひたすら顔をあげるのは難しいけど
嘲笑するなら{ルビ嘲笑=わら}えばいい
馬鹿にする位なら馬鹿にされてやるよ
染み付いた汚れはとれないよ
洗ったって 拭えやし ....
ときどき、
弱い自分が、
強い自分より、
強くなります。
弱いくせに、
こいつが案外、
手強いのです。
あたしは
勉強とつくものはほとんどすべてできる
ほとんどというのは
数学だけがどうも苦手で
そもそも社会にでれば
公私混同は厳禁だって
それなのに数学ときたら
はっきりしない数列が
....
ツタヤの女が面倒臭そうに歩いてる
外に出た用事の一瞬の間
おれはタバコの自動販売機の取り出し口に手を突っ込んでる名前も知らない女を
バックで轢き殺す
ことを想像 ....
どこに潜んでいたのかと
思いあぐねるほどのひどい雨だ
駐車場までの短い距離に
傘を開くのも躊躇するほど
水は素直に低きを選ぶ
アスファルトの起伏は今や
世界を勝者と敗 ....
手に触れる花からはじまる
円筒形の歴史があり
空と目の間でまわっている
音が音を奏でている
こすれあう音
すれちがう音
変わりつづけるかたちの夜
とどめおけ ....
ニュー。ニュー。
新しくなることについて考える昼すこし前の柔らかい光だ。
上着のポケットにしまっていた石を垂直に投げる。加速度と重力。そう、加速度と重力がせめぎあうその瞬間の曇り空に、押し ....
春の電撃作戦。開始。
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
と ....
○月○日
家に帰ると兵隊さんが押入れでもぞもぞしている。目が合うとピシッと敬礼しながら、「人道支援です」と言う。人道支援なら仕方ないのだろう。たぶん。兵隊さんは押入れでずっともぞもぞして ....
月の光り射す 真空の夜に
ひっそりと咲く 月下美人といふ花の
計り知れない悲しみは
茨となりて 一日たりとも
咲いてはいられぬ
私の この大輪の
白いドレスの花びらを
どうして見ては ....
今日の空は
雲ひとつない晴天
なのに
世界の人の中には
暗い影を心に持つ人がいて
せっかくの
満開に咲いた桜の木にも
吹きつける春のそよ風にも
目をくれずに佇んでいる
もったいないよ ....
昨日の夕やけを
ぼくが持ち帰ってしまったことを思い出して
朝起きて、あわてふためいた
夕方までに返さなければ、
そう思いながらも
休日の時間の流れがぼくを誘惑する
珍しく
....
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