日が暮れていく、僕の脆弱な血管の中を
翼よ、あれがパリの灯だ
けれど、僕の翼はじゃがいもでできている
ポム・ド・テール!
大地のりんごよ、大空を飛べ、飛べったら飛びたまえよ
....
気がつくと きみは
魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした
望遠鏡をのぞくと いつも
波がよせては砕け
飛び散る
セロハ ....
信号を無視してあらゆる交差点を渡った 緩慢な自殺未遂もことごとく失敗に終わり
裁縫バサミで刺した腕の傷も今はもうほとんど目立たない
つながれた大型犬が吠える それにつられて隣の家の
つな ....
少女連続暴行殺人事件の犯人。彼は色つき眼鏡をかけて白い杖をつき、人通りの多い駅を歩く。声をかけてきた親切な少女に案内を頼む。順路に人気のない路地を指定するが、目の見えない人だと思われているのであやし ....
塀の上のツツジの蜜をアゲハ蝶が吸っている
硝子屋の軽トラが道の脇に停まっている
見上げたら
茎のような電線の向こうに
無期懲役の太陽がある
自分の魅 ....
あ から ん までの
きみ のこと
ろくがつ だけが
かすんで る
{引用=fromAB}
君といないことを意識してください
会いたいのは今ですが
ずっと ずっと
会いたいと思っていてください
君がいないことを意識してください
素直なのは心ですが
ずっと ずっと
想っていて ....
両手を西日に浸して
口数の少なくなった放課後
机に伏せている丸い背中
窓の外
ゆらゆらと 日が暮れる
大学でて、いちねんかん
訳わからんかった
へやは本と服で山積み
かたづけるには
災厄、むしろ最悪だった
りれきしょをかけないので、父は
求人チラシをときどき見せた
どちらも同 ....
ごめんなさい
あなたは、
夕方になったのに、
まだシャッターを降ろしていなかったの
ですね
わたしのシャッターは
とっくに降りていて、
だから、
まだシャッターを
降ろし ....
自分を忘れるほど
君する夜
遠いのです
東京タワー
今夜も綺麗に咲いていますか?
僕は都会が怖いので
蟻をプツプツと潰しています
これ以上苦くならない為に
部屋が散らかっているので
....
冷蔵庫には蟹がある
九本足の蟹がある
あたしは今夜見ないふり
首の赤味を押さえます
もしか
あなたが欲しいのが
甲羅の色のランプなら
あたしは ....
斬ろうぞ ざっくばらん
豆腐屋 お前の頭を開くとやわらかいのか
わしの犬に残りのかすをくれぬか
ヘイ!おから
嫌いではない
わしは残りのかすが嫌いではない
さぁーでござーすか
豆腐屋 ....
軋む煌き
行き先を失くした
かりそめの駅の灯り
遠く流れ着く唄は
「人見知りのブルース」
ポツリ雨
繰り返す情熱の合間に降る
孤独より苦い必然の雨
雨は溢れ ....
僕と君が出会って付き合いだしてから
僕は楽しかった
公園のベンチでも
絶叫マシーンの順番待ちでも
なにか僕たちは話していた
君の笑顔はこぼれるようで
僕も心から笑っ ....
そらばかり
みあげてたら
すいこまれたり
おっこちたりして
ときどき
こわくなる
そらのあつさと
ぼくのうすさを
シーソーで
ぐいぐい
ぎったん
するする ....
逃げ水に憩う少年の亡霊
殺された理由を知っている
水中花に己をなぞらえるが
枯れた薔薇の木である自分の骨を知っている
折れた枝 千切れた花冠 あるがままに
磨れた肌 紛れた破 ....
入社三ヵ月で五度の遅刻。次はクビだといわれていたが、会社近くの駅についたのは出勤時刻五分前だった。改札へと急ぐ廊下の隅に、うずくまる老婦人を見つけた。見過ごせなかった。駅長室まで送り、会社へ走った。 ....
こんなにもまっすぐ前が見えて
とにかく死にそうだ
街路樹の下に落ちた影が
決められてもいないのに
光を失う
道の先で
郵便配達夫が方向転換する
それ ....
あーあぁ…今日も夜更かしくん
あくびを抱えて仕事をこなして
いきます
あーあぁ…今日もお寝坊さん
起きなきゃいけない残りの5分が
戦いです
毎朝、毎晩
毎朝、毎晩
それ ....
やがて知らない街で ぼくらは旅に出たことを心底憎み 育つだろう
明かりの消えた街頭が時折点滅する 宇宙の言語だテレパシー
保全のために まったき保全のための遊歩を 遊歩するんだ
こぼした飲み物の ....
誰もいない 静かな森の中で
私は手紙を書き始めた
一行書くのに 三ヶ月ほどかかった
四行書き終えて 一年が過ぎた
足の先が 少し土に埋れていた
何とか四十行 書き上がった
木の椅子か ....
みずたまり かきだせ
泥みず かきだせ
ぼく 夜の雨は好きだけど
朝の
雨がやんでしまっているときの
みずたまり
あれ
嫌い。
落ち着いた雰囲気で
何も起きない限りなにもなくて
な ....
とぼとぼ歩く田舎の道
土の道見つめて ひとり 少女が 歩いていたら
何処からか 口笛が
陽気な歌が 聞こえるのです
ふっと顔を上げたら
自転車に乗ったおじさんが 口笛を吹きながら
通り過ぎ ....
僕が叫んだら
みんな笑った
君も笑っていたし
僕も笑った
口を大きく開けて
風をたくさん食べた
悲しみから逃げる方法を知っているんだ
僕は
アパートメントの窓から
君の住んでいた方に
見惚れている
君が
虹をつむぐ
優しい指の
君が
終わりを告げる
優しい眼の ....
いっぴきの魚が 泳いでいる
水 の表面から 雫が
、 、 点と とんで
ぼくからみて
左の方へ
流れていくすじは
無限の
きらめき
へと
息絶えていく
ぼくの意志 ....
県立病院前バス停で見知らぬ女性に声をかけられて
よくよく 顔をよくよく見てみれば
あの色黒で歯のやけに白かった娘じゃないか
こんなに色白でスマートになるならば
あの日の体育 ....
バイト先の女の子に告白したら、あっけなくふられた。その夜、貯金をすべておろしてタクシーに乗った。とにかく北へ向ってくれ。戸惑う運転手に事情を話すと、彼も今日女にふられたのだという。女の悪口に花を咲か ....
雨と雨のはざまに射抜かれ
さくさくと血は流れ出る
こんなにもうつろになってはじめて
流れ込むもののまぶしさに
いくつもの目を閉じることができる
光る灰は銀ではなく
....
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