あたしを抱いた男が貳人
運転席と助手席に居る事実
その風景が まるで{ルビ他人事=ひとごと}の様で
遠い月を眺めてた
「無垢を装ってんじゃねーよ」
あたしを娘と呼ぶ男が壱人
液晶画 ....
もう何年も前のこと
ある夜のブラウン管の中
孤高のステージで
赤毛を振り乱して歌う{注ジャニス=アメリカの歌手}
夭折した彼女の生涯を
ナレーターが語り終えると
闇の画面に
白い文字 ....
この庭を今
黒猫が横切りました
急ぎ足です
影だったのかもしれません
向日葵は私を追い越して
手探りで空へ
夕暮れの角度を真似して
ちょっと斜めに傾いてみると
向日葵と空が
一緒 ....
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
からだは こころだ
こころは やっぱり からだだ
だから からだが とまると
こころも とまる
それでも からだは
こころとして
みえないものに
....
ある日友人が呟いた
「鷺て、ポキておれそうね」
白く細かった鷺が水しぶきの中
静かに足を上げていた
自転車で走っていると、いつも
ポケットに ....
河川をまたぎ、田んぼを抜くように鉄塔の並ぶ、その先には落陽。送電線に断ち切られた風、その名残がマリンスノーのように降り積もる。
十五で姉やは嫁に行き。橋げたに腰かけ、口ずさむ童謡の一節の続く歌詞 ....
来襲した否定の言葉に
其れを肯定する事しか出来なくて
また 大切なモノを壱つ失くしました
他人が見る自分を
強がりというオブラートで隠して
開放したら 見切られました
一時の感情に ....
空や海の碧に染まず
ただよう白鳥のように
かっこよくもなく
蝶々のように
ダッタン海峡もとべず
かといって
酔いどれ船に乗る勇気もなく
まして
悪魔の風船をとばしたり
大地の商人にな ....
ゆみちゃんはぽろぽろなみだをながして
ひたすらなきつづけた
てくびをとると
けっかんがきもちでふくれあがって
どくどくおとをたてて
いまにもはちきれそうだった
かおがむくんで
くちび ....
むむむの
はとどけい
ぱかっと
ひらいて
どうも
どうも、
なんて
はとのすがたして
ちょっと
きょうしゅくしたりして
よくわからないけど
えどっこで
「あっし ....
海が
ちいさないびきをかきながら
かぜにふかれている
いるかが
とおいきおくを
うたっている
ゆったりと
こすもすがまわり
ぼくらはやがて
かぜになる
付き合って六年になる彼女は、背が高くて頭がいい。僕にはもったいないと思うが、結婚しようとは思わなかった。そうしてまた一年が過ぎようとした頃、彼女が交通事故にあった。生活するのに車椅子が必要な体になっ ....
一階に降りるエレベーターが突然止まった。青年と老女が閉じ込められた。青年は緊急連絡のボタンを押したが通じない。ふと二人の視線があった。背の高い青年と上品な老女。青年は、かなり年上の女性が好きだった。 ....
女は
胎内に新しい生命を宿したら
「母親」になるというのに
男は
新しい生命が誕生してから
「父親」になる権利を得る
のだろうか
それは
目の前に細く頼りない道が一本
....
あなたは、
簡素な手順でわたしの胸倉を開き
匂い立つ土足
こればっかりは慣れないものです
その度に鮮やかに毟られる
あなたと遭難したい
篭って
香しき動揺が眼に見える位置で
わ ....
【こときり】
(1)
じ〜〜〜
ぱっ
ぱちっ
ぱちっ ぱちっ
ぱち ぱち ぱち ぱち
ぱ
・・・・・・
これからやっと
盛り上がりそうなところで
線香花火が
力尽き ....
海からは程遠いこの部屋で
僕はパン生地をこねる
できるかぎり薄くひらたくのばす
それを焼くための釜がないこの部屋で
彼方の水面
君は手をかざしていた
何が見える?
「何も ....
降りしきる雨の中
傘もささずに俺たちは歩いた
死ぬほど歩き続けた
けれどそれで
俺たちが死ぬことはなかった
俺たち いい奴だった
俺たち 輝いていた
俺たちは生の肉だった
俺た ....
ぼくはかみなりを聞いてゐる
かみなりは遠くなつたり近くなつたりしてゐる
外は雨のやうではないのだが
ぼくはかみなりを聞いてゐるのだ
いつも
....
一時期、詩の投稿サイトに出入りしていたことがある。
自作詩を投稿し始めたのと同時期であったのと、そのサイトの趣旨として「鍛錬」があげられていたこともあり、相手の詩に感想だけではなく、質問もよく書 ....
90%知りたい
だけどそれはやめておく
死ぬのはいくつの歳か
それを聞きたいけど
聞かないことにする
と、57歳のおじさんが言った
ぼくの座る
駅前の公園のベンチの前 ....
漢字の
「小」って
お母さんが真ん中に寝て
子供が両脇に寝てる様子に
似てるね
まいばん
そうやって
寝ています
水面の緩やかな起伏をもたらすものは
波の行き来
風の息
プールならば子供たち
入射光による二次元投影
輪郭だけのモザイク
水底に
水底にゆらゆら
瞬間ごとには
結晶 ....
日記を、付ける
六月二十三日、昨日から降り続く雨が鬱陶しい
飛沫を弾きながら、打たれるがままの紫陽花を見つめている
我が家の北側の窓の裾、包み込む影は徐々に沈み
零れ落ちた空の色が ....
胸中に走る恐怖心を打ち消して
一口分の甘い水
リアルと理想が一つじゃないから
至福の罠を{ルビ食=は}む
やっと 今居る場所を把握しました
此処は貴方の部屋でしたね
さっさと退散し ....
畦 道 に 自 転 車 ゆ き て 蛍 舞 ふ
幼 虫 が 齧 る 花 食 べ 羽 化 を 待 つ
夏 に 首 痛 め て 星 も 見 れ ぬ 夜
古 井 戸 や 落 ち ....
木漏れ日が
どうして丸いのか知っていますか
私は
丸くない木漏れ日を見たことがあります
金環食の瞬間を待ちながら
大勢のひとが
空ばかりを見上げていたとき
木漏れ日はどれもみな
大 ....
学校で教わった中いちばんに役立ってるね。と、体育座り
信長もアムロもブッシュも捨てさって君だけの声をあげるなら今
快楽と達するときの絶望は炭酸みたく溢れるしかなく
僕らなど愛とダ ....
もしも宇宙人がいるのなら
宇宙猫とか
宇宙犬とかも
いるのかな
宇宙金魚ぐらいなら
ボクはちょっと
会ってみたいです
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