嘘がたくさん落ちている床の上で
かつて親友と呼んでいた男とかつて恋人と呼んでいた女が
絡まったままミイラになっている
僕は、ポケットから白い手袋を取り出し装着すると
彼らの傍らに転が ....
タイトスカートの中には一体何が入っているのか?
オレは現地に赴いた
つまりアフリカ
オレは真夜中にホテルから抜け出して日本の古いジープを盗みジャングルの奥地を目指した
車で出かけられる ....
冷蔵庫の中には青空が広がっていたので
君は買ってきたゼリーを冷凍庫に入れるしかない
冷凍庫は満杯でゼリーをしまうスペースをつくるために
君は肉の塊を取り出す
いつ買った肉なのかすっかり ....
その手が欲しかった
その手を手に入れて
その手の中に私の手を入れて
その手が欲しかった
何ができただろう
その手で溶けるを実感し
時計の流れるを卓 ....
八千草薫っていいよね、と言う。正月の高校サッカー観ながらコタツに一緒に入っていたいね、とも言う。誰がこんなことを言うんだろう。八千草薫とピンポン球のどちらがかわいいか ....
押入れに顔をつっこんで
ぐるりと見回したら
天井の端っこに
小さな穴ぼこがあいていました
穴ぼこの向こうは
下から見る限りでは
ただ ただ 暗闇でしたので
なんだか怖くなったぼくは
....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる
新しい言 ....
触れてしまうと
消えていくものがある
まなざしに耐えられず
溶けていくものがある
凍えるべきは
私の手だ
蔑むべきは
私の目だ
暗闇の中
独り 閉じ篭って
見据 ....
生きているのがつらい
お前はそう言って
涙を一粒流した
俺だって
生きているのはつらいぜ
だけど
花をみて綺麗だと思う
月をみて心安らぐ
星をみて願いを ....
ここはどうも、とても乾いた場所のようだ、
湿度計は40%、まぁ普通みたいだけど、
でも喉が乾く、乾いてしかたない。
明日のことは明日になってから考えよう、
今日はゆるりと流れていく、
サ ....
もう会えないあなたへ
ちょっと照れくさいけれど今日は語ろうと思うんだ
****************
こんにちは
私のことをあれからも親友と思ってくれていますか
別れてからあなたの ....
別にロマンチックじゃなくて
ふつうでいいですから
ほら、それ
お箸じゃないですよ
ふつうでいいですから
いっしょにいるの嬉しいですから
そうやって
なんで ....
迷宮入りの事件を解決して、おれは自宅でミートスパゲティーを食す。五月はグリーンピースの季節だ。こんなにもグリーンピースがのってるゲティを食べるのは、昨日以来だ ....
静岡に生まれて静岡に育ったから、新茶の香りが漂ってこないと初夏がきたような気がしない。ちなみに新茶の香りは茶畑の香りではない。茶畑そのものは、あまり新茶らしい香りを持たない。まあ少しは香る。私の実家で ....
夕暮れ発 明日行き
手をすり抜けた紙飛行機は
いつまでも落ちない
深まる緑の季節も
夕焼けを背景に影になる
傾いていく時刻に
明日を見ながら祈って
紙飛行機を折る
飛ばした ....
ここがいいと思っておれは座る木の下で影になった青白いベンチ
ヤクルトの女が自転車を停めて自動販売機で水分補給ドリンクを取り出し口から
取り出す黒のソックス膝の裏の白い ....
駅のホーム
喫煙コーナーのベンチ、夕暮れでは少女が
メールを打つ少女
メールを打っている
少女はメールを打つ
指、その速度の指で
穏やかな夕暮れ、穏やかな煙
少女よ、今、僕はカフ ....
痛いほど 靴紐ギュッて結んで
駆け上がってきたきた坂道
ふと見渡せば固く結んだ拳に
まだ何も無い事知ったんだ
それでも君が愛した景色は
誇り高く空は紫に色づいて
いつか あの空の様 ....
わたしは砕け散った
地面に乾いた音を立てて
散ったわたしのかけらに
蒼空が映ったことが 以外で
嬉しかった
ふっと蒼空が影って
君がわたしのかけらを覗きこむ
綺麗だな 光 ....
音の無い空
音の無い花
近づきながら 離れながら
混じることなく
川の上に重なる川
川を映す川をゆく
花に触れ
鎮む流れ
陽は分かれ
影は過ぎる
花は音 ....
玄関を開けると ふっ と
新茶が香る
こんな深夜にも
茶工場はフル操業中で
その明かりだけが夜目に眩しい
工場の前を過ぎる
明かりが背後に遠ざかる
街灯のない土手の草むらで
気の早 ....
シャッフルして上海された。ぼくらはアスファルトに寝そべったままの、夏の夜なのです。気がつくと彼は東京されていて、ぼくらはそんな近視で眺めるいつものぼやけた月を「冗談だろ?」と問い詰めたりしている。しり ....
恋をするのはめんどくさい
語らったり
理解したり
どのみち理解など
できるはずもなく
中途半端に抱きあったりして
そうして
さみしさを希釈する
カルピスで ....
底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした
その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....
生きていく上で大切なもの
食物としての糧
学識としての糧
生活としての糧
そして
愛を貫く為の糧
全部心への糧となる
行き渡っているかな
血液と同じように
体を駆け巡れるくら ....
自分のための食事をして
猫にごはんをあげる生活
このままずっと進んでいくなら私の生活は
きっと満たされないばかりで狭まるばかりなのだろう
「そんなのはいやよ」
と心の私は叫ぶけれど自分にも誰 ....
私の家には、かあさまととうさまと私の妹が住んでいた。
かあさまのゆりかごはいつもの窓辺でゆれていた。
その窓辺からは心地よい風だけがかあさまに吹いた。
ゆりかごに座ったかあさまは、瞳を閉じ ....
朝になれば羽が体に滑り込み軽くなる
見えない羽が元気をくれる
誰でも持ってるふわふわの羽
眠ると白い獏が届けてくれるよ
朝、色とりどりの見えない羽が舞う駅のホーム
夜、千切れた羽が星空に吸い ....
「小林亜星」とささやいてみる。
フランス人になった気持ちで
やさしく、女をいたわるように、
コバシャセ?
「井手らっきょ」と諌めてみる。
イタリア人になったつもりで
派手な ....
わたしの体は
わたしのモノ
夕方からお出かけして
ラーメンと青島ビールを二本
ひとりで飲み食いしてたら
さびしくなって
電話しちゃった
目の前で
女優が
水ギョーザ
食べて ....
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