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図書館、黄ばんだ本、しおりがわりのはがき
乾いたキスマーク、油はいつまでも、ねっとり
はがきと本に、烙印、鼻を近づけると、いいにおい
女の匂い、飢えた、半開きの唇、蒸発した唾液、鼻の穴へ
舌が ....
君の声が好き 君の顔が好きというひとは
沢山いるだろうけれど 
君が一生懸命だから好きだと言ってくれるひとは
あなたしかいなかった

僕の手にしているものと 僕が抱えているものを
遠巻きに ....
日常生活が崩れた
声を忘れて
急速に色を失った
周りの景色は
影を残す

あなたたちの声は
もう私には聞こえない
悲鳴のように
耳を突き抜ける
頭の奥でこだました
シグナルは
 ....
なぜか私は方言に弱い

普段は標準語なのに

抜き打ちで出る方言混じりの突っ込みに

私は膝をカクンとイタズラされた気分になる

死んだ君はじゃけ〜のぉ〜とよく言ってた

今思えば ....
遠ざかってしまったと思えた青空も
実は雲の上に、まだ残っているのだろう
目に見えないからと諦めてしまうのは、いけないことではないのでしょうか?
(頑張っている貴方に、これ以上頑張れという ....
ねじを巻くのは
走れなくなったから
アスファルトのざらついた感触が
踵に痛くて
右足と左足の交差が作る
不確定なアルファベットが
読めなくなってからでは遅いのだ
きり、きりり
かつ ....
記憶の断片を繋ぎ合わせて
どんな言葉を紡ぐの
頼り無げな唇は
か細い吐息が洩れて

すっと消える流れ星
幾つもの思いを背負って
夜空を流れていく
随分重いだろうに
何も言わず儚げで
 ....
冷たくなってきた風に漂って
きみは何処を向いているのですか


田んぼの脇に咲くススキ
あでやかな花に囲まれて
色づく葉っぱに包まれて
それでも自らの身体を染めることはなく


華 ....
旅先でたびたび
行方不明になる僕のこころ
旅先でたびたび
あて先不明になる僕のこころ

一度は「二度と」と考えて
その場所を去りました
三度四度と回数を重ねては
きっともう離れられない ....
香の濃いコーヒーの匂い

時間など忘れてしまいそうな一時

走るのを止めないのは

駆け抜ける風が心地いいから

旅にでるからもちものはきびだんごで

そういって後にした

数 ....
色が死んでいく季節の中で
鮮やかに咲く秋の薔薇
何故それほどに、と
数え切れぬほど問われたけれど
同じ夏と冬の狭間でも
身を切られたことがない人たちに
その違いは決して分からない

そ ....
ブタのエサを喰え!
ブタのエサを喰え!
おまえらみんな
ブタのエサを喰え!

この掃き溜めの現代に
食い物屋なんて何処にもねえのさ
蕎麦屋じゃ座敷から煙草の煙
油浸しのイタリアン
肉 ....
僕に裁ける空はない

僕に裁ける光はない

僕に裁ける風はない

僕に裁ける悲しみや

僕に裁ける幸福など

そんなものないのだ


空も光も

風も悲しみも幸福も

 ....
気付かない振りしてるだけで
わたし、とっくに気付いているんだ

夕食後の洗い物とかしている最中
わたしのバッグのなかを探っているのを

縁起良いからと買い求めたガマグチから小銭抜いたでしょ ....
歩道の舗装のひび割れたところの饒舌
くすんだ向かいのレコードショップのイエローのテント
縁石に座りこんで俯いて泣いてる10代と思しき女
交差点の電柱の下で乾いた血液みたい ....
side A
ふゆの朝は
空気が澄み
題名がない
そのせいで

すれ違う人
配達する人
散歩する犬
徘徊する人

みな一様に
言葉を求め
言葉を探し

気がつくと
別々 ....
お父さんが忘れていった弁当箱を
お父さんの働くベーコン工場に
持って行くことになったボビーくん。
目立つようにとお母さんから真っ赤な帽子を被せられたけど、
工場の中は機械だらけで、やっぱり迷っ ....
{引用=



波に揺られているのがあたりまえでした
足が地に着いていたことなど稀で
たくさんのしあわせに濡れては
なんて、寒いんだろうって思っていた

あなたがとてもかなしそうで
 ....
全寮制の中学に通っていた

六時から十時までは

途中休憩をはさんで学習室で勉強だった

中間試験が終わった十月の土曜日

その日だけは自習時間がなかった

テレビ室には二十人くら ....
{引用=off



部屋の明かりを消しても
真っ暗にはならないんだね。
夜たちからは、もうとっくに
ほんとうの夜なんて
消え去ってしまったみたい。

街灯の光がカーテンを透かし
 ....
もっと息子と向き合えよ
と 夫は言う

筋ジストロフィーの息子は
23才になった
もう 完全に大人の男だ

あの頃
あの6年弱は
わたしにとって格闘の時代だった

小6の担任から ....
 ぜんまいが壊れたから、神様が代わりに心をくださったの。祖母は私だけに、内緒でそう教えてくれた。昔ね、おばあちゃん、お人形だったのよ。とってもきれいな、きれいなお人形……。私の手を握る祖母はそう呟くと .... 光のぬくもりは
私の頬をななめに撫でて
ゆっくり後退していった

津山駅ゆきの
この乗り物は
私をぐらぐら揺らしながら
こっそり古代へ連れてゆく


あの頃は
ママに叱られそうだ ....
例えこの世界が嘘だとしても
私の頬を包んだ
貴方の手の温もりは
真実だと泣いた

波が打ち寄せる岸壁に
叫んだ
私の人生は終わりだと
何故貴方達は言うのか
自らの人生でさえ
危うい ....
あたしには他人が何を考えて生きているか
本当のところ分かっていないけれど
たぶん全員が自分と同じように悲しんだり
うれしくて涙を流したりするんだろう

抱きしめられるように花ひらく
泣きな ....
ひとは宇宙に行くときに
地球の何を持って出る
ひとは宇宙に出て行くときに
どこまで地球を持って出る

宇宙の豚インフラトン
超バナッハ空間のバナナを持って
ペットボトルにはエリクシル
 ....
急増する家庭間買収と吸収合併、渦巻く不安と家庭内格差!仕送りは恩送りへ
10月31日12時30分配信(木経新聞)

各家庭あたりの収入は年々減り続け、支出は増えるばかりだ。とりわけ子どもの教
 ....
終わらない悠久、時を止めて
人類琥珀計画
僕を見て僕に触って僕に気づいて
ブラウン管越しの気配
胎児が無重力になる時間
区切りの定義が分からないんだ

るう、るる、るうう

水音が歌 ....
{引用=


ぼくの酸素マスクの隠し場所をあんたたちは知らないという日常です
真白な晴空の淵にしがみついている愛着がはやく流れされていけと願う毎日です
アスファルトの裂け目にくるまれている苔の
その淡 ....
薄ら陰りの昼の日中に
雨漏り仏間の饐えた臭い
ぼんやり光る障子紙の
柔いざらざらに舌を宛てがい
斜交いに這わす舌先吐息は
さて什んな味がするのやら

迂腐な未通女の染めたる頬より
猶お ....
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