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渚を歩いていたときのことだ。

波打ち際に、細くなめらかな黒い曲線が描かれていた。
それは波の姿を象って視界の及ばぬ範囲へと延々と続き、
足元に目をやれば無数の点の集まりで、なにかの種を思わせ ....
蝕んでいく

内からも
外からも

不用意に赤く
醜く膨らんで

わたしをじわじわと
壊していく
慣らしていく
腐らせていく

絶望の色は
必ずしも闇と同じではない ....
この不景気で
「ありがとう」は
あまり回ってこないから
大事に大事に抱え込んでいた


街中の
誰もがそうやっていたら
いつしか
「ありがとう」は
街から消えてしまった


 ....
そのとき舌先を耐えがたい感触が駆け抜けて行っただろう、瞳孔を麻痺させるような緩慢とした動き、意識下にかしずいた不確かな感触、絶対的でないがために徹底的に堆積してゆく―崩 ....    あなたを見つめていたいだけ
           あなたに刹那でも振り向いてほしいだけ

 こんな淡いだけの中途半端な気持ちじゃ伝わらない

      触れるより近くあなたの視界の全 ....
迷質な氷はかたまり
時に 織りこみ
いくえもの波形をひしめく

たいらかになって 眺める日

ほのじろく
透きとおるロック・フラワーの反光
水凍された海峡は
北緯48°のあたりまで夏 ....
人々は 互いの浅瀬に足を浸して

塩の水を汲み取っている

此処では誰もが 孤高で

ありながら共存している

互いの森で 迷いながら



不意に君は森を抜けて 一面の草地に ....
掻きむしった腕

朱色に染まれ
醜き四肢を焼きつくせ

痛みは甘美
朱は素敵

きみがいう






そうさ

朱は素敵だ





きみのその ....
どどどどいつが! どどどいつがたたた叩いた!!
叩いた!痛!ま!間借り!DKの!ドリアとマンゴー!いやDKの!!
吐く息がフー!出る声がポゥ!!彼は死んじゃった。いやになるよ
もう。黒い空がぶぅ ....
 登り下りも

 水脈を辿るように

 清流へ向かって

 指あるき


 足指の間の4つのほら穴に
 わざと落ち込んで震え這い上がる
 さあ 足の甲へと ....
如何せんガクがない。ふわりぷかりと営んできた賜だ。
あるだけじゃあ大してイミは無いけども、無いオレが言ってもやはりボールは枠には飛んでかない。
それとやっぱり使い方なんだろうけれど、もう一つだ ....
左人差し指の皮膚がめくれた
そこから少しずつ広がって

第一関節 第二関節
手首へ腕へ肩へ首へ胸へ腹へ背中へ
頭へも 足までも

そのうち体すべてがすっかり
入れ替わってしまった

 ....
かたく凍った夢を砕いて
画用紙に宇宙を描いて暴れだす
果てのない星々の海は瞬き、
チビけた鉛筆が一本
煌く銀河を縦横無断に奔る


つめたく凍った言葉を融かして
原稿用紙に文字を紡いで ....
母と父のものではない
母のものは
真昼に閉じた雨空
滑空する白色の鳥が堕ちる
その日から母と父は憎みあう者になる
母の影 が覆いつくす湿地帯
母は湿地帯に詩集を隠す
母の影 が覆いつくす ....
今週会えるかな?
会えたらいいな


それだけ考えて
また1週間頑張るの
「シアワセ」という音で
ひとの死を表す国があったとしたら
「シアワセニナリナサイ」という
祈りの言葉が怖くなる


たとえばお金を指さして
「シアワセ」と呼ぶ国があったなら
「 ....
十四歳
青空のすぐ裏側に閃光する星の声があった
焦がされた満ち足りぬ想いが小さな明かりに導かれて
私の体に落ちてくる
いや星は螺旋の雲の道をつづら折り
それはもう銀河から放たれた存在なのに
 ....
心のバランスが狡賢く保たれていると言うことは

逆上しきった舞台では掻きむしられた心が曝されている
飛び散った汗が蒸散している
光の色は懐かしい色
裸足の指先はぎゅっと地面を掴んだま ....
あなたの真剣な表情
こぼれる あきらめの言葉
ぼそぼそ 口にする

わたしも 今日はふざけないで
まじめ に 言葉を拾って
提案してみる ひとつ ふたつ・・みっつ
あなたと、つながりたい ....
言葉遊びをして感情を吐き出していると。

様々な人が羽やすめにやって来る。

皆、寂しい人達だった。

初めに声をかけてきたのは18歳の女の子。

彼女は俺を林檎と呼び、
俺は彼 ....
ヂモト駅のコンビニのオバちゃんは
ボクの事をまだオニイチャンと呼ぶ

オニイチャン今日は早いはね
暑かったでしょ
明日も暑いらしいはよ
タバコと
発泡酒と
オツマミと
千円札で
オ ....
「あんなもんなのか」
と舅は言った


夫の祖母が亡くなって
納骨も終わって
夏が始まろうとしていた


できたばかりのわたしたちの庭には
ちょこちょこと
なんやかやが芽生えだし ....
きみの日記だけは
誰に侵されるわけでもなく
ぼくとの季節さえ綴られないまま
風の移り変わりだけが
閉じこめられれば良いと思った

いたずらに慈しめないのは
ぼくが所詮
あらゆる欲望を覚 ....
白く焼かれる陽がある
入り江に巣くう朽力が、
いつも私の思睡を誘う
浜では確かに生き物たちがそれに抗い
夏を時限と耐えている、何故か
天は、夏色のターコイスに拓(ひら)かれ
今にも落ちてき ....
長たらしくめぐる思考 泳ぐようにさえずる波
ごちゃごちゃのしぶきの中 くっつく磁石を探って
反射を知らない深海で 手探りに拾い上げる
そのたったひとつを これしかないと握り締めて
照れくさいか ....
ふいに思いついたタイトルを
そのまま即興書き下ろし

綺麗に飾りつけたおばさんよりも
ノーメイクのおねーさん

化粧の濃い香水香るおばさんよりも
ノーメイクのおねーさん

もしくは縁 ....
摩訶不思議な自然にぐるりと包囲されて
板ばさみ
三分の一
いや、二分の三

なんだか無性にガリガリ君が食べたくなってきた、と言って
わたしはわためかな、と返して
あの雲はきっと竜の巣だと ....
 *
抽象をなぞる指先が、無色透明な肌に存在だけを記して
昨日の空に溶けて行く、輪廻を正しく辿って行けば
全ての人の記憶は一つになると
ついさっき、知りました。
だから、君の香りはどこか懐かしいのだ ....
虚無でいっぱいに
みたされて、きみの額に
いくつかの
傷が
刻まれる、神を
欠いて、祈るために、痕跡を
読むために、きみは
断絶そのものとして
彼方に
移動する


 ....
前髪を切った
雨上がり

庭先でミツバチと出会う
胡瓜の黄色い花にモンシロチョウが舞う
土の匂いが肺の奥まで届くようだった
見上げれば空が雲と調和して
すべてを見わたしていた ....
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