湯舟に浸かると
そこは港
ゆっくり岸を離れてゆく

目を瞑れば見えてくる
この世にひとつだけの海を
満天の星々を頼りに
湯舟はどこまでも行く

扉が開く音がして
お風呂 ....
? 蝶

シ/モクレンの一秒は
蝶の魂と同じ

奇妙に歪んだ美醜の契りが
爪先で蠢いて翅にかわる


うす紫がゆっくりと溶け出し
バスタブの温度を下げる

浴室で眠る蝶の夢は
完全に対称 ....
宅配便の到着を知らせる呼び鈴に立ち上がると
私の下半身を跨ぐように放屁ひとつ
あけすけな音と不摂生な臭さにパタパタと手にした雑誌で扇ぎながらも
これが夫婦ってことなのかと改めて考え直すまでも無く ....
枝先からしたたりそうな、
花びらの数々

春のご挨拶は
今日も僕らに、みがかれた朝をもたらそうと
せわしなく羽ばたいている。

忘れたくないものすべて
抱きかかえてなどいけない

けれど

おもいだし ....
ほの暗い
雲のもとでたたずみ
空をつかむ
透けている火影姿のこぶしから 零れる灰が
無風地帯へかえってゆき
つかみとおすこぶしは
遠い声にもほどかれることはなく
    透明 ....
父の命日がある季節


お墓参りもあまり行けず
貴方がどんな人だったか

よく知りません

私が私として生きている中で
一番イヤだったのは
貴方の世界に引きずり込まれ
貴方の ....
霧につつまれた煉瓦通りを突当たり、
古いビルの地下にその店はあった
暗い夜の匂いが滲みついた長尺のカウンターには、
いつしか様々な顔と顔が並んでいた
俺は雑音の混じるオスカー・ピーターソンのピ ....
  この季節に居たくない夜
  どこか、向こうがわを見ようとする
  すべり台の天文台に寝そべって

どんな温もりでも
消えていくときはいつも赤い星
経験の記憶が
証ではないのに
あい ....
{引用=しゃわしゃわと濡れそぼってくアスファルトに嫉妬していたビー玉の夏}


街じゅうに言い訳にじむ赤信号は迷子の大人達にやさしい


新型なら上書きができるんだろう 消しゴムかけて毛羽 ....
闇の東が
ほの白く潤んで
密やかな色と匂いが
滲み出す頃

花は
膨らみ過ぎる喜びに
身悶えしながら
目覚め

人は
濁った夢の浅瀬を
溺れながら
まどろむ

やがて ....
春は夜ひびく

雨だろうと

風だろうと

ひとりで歩こうと


乳房は湿っている

夜のひかりが縞をつくる

泳いでいる

探している


いくとせがたち

 ....
遊び明かした夜も終わり
よそよそしい朝の光が
地上を照らしている
空気はまだひんやりと
あたしの火照った心を冷ましていく
刹那、
解散という空虚が胸をよぎる
そんな夜明けを嘆いた

 ....
私の苦手な春がやってくる

暖かい風に誘われ
木々が芽吹き
やわらかい日差しに
恋が飛び跳ねる春

陽気な笑い声に
振り向けば

そこには春がいた


ガラスの向こうなら
 ....
青い鳥に似ている
君の姿は。
たとえば星のように
土のように
風のように
月のように


気づけはしない
瞼をあげなければ
いつも。

夜は僕にくすぶったまま
朝焼けを連れて来る

磔にされた宛先不明 ....
君の手のひらで
雪は溶けていく

それは
僕の涙だと

君は気付かない

季節外れの雪は
僕の思いなのだと

君は気付かない

そして、君は
誰かの腕に抱かれて
雪は ....
街のあらゆる隙間から
浸み出てくる泥に追われて

JR駅構内の暗がりの
打ちっ放しのコンクリート壁に
ひっそりと身を寄せる

壁に走るひびはハイウェイ
ところどころ露出した
砂利 ....
氾濫する
春の本流を立ち泳ぐ
辺りには甘い毒素が満ちていて
脳から先に侵されてゆく

あらゆる感情の結び目は解けて
それがいいことなのか
悪いことなのか
判断さえおぼつかないまま
い ....
おぼろ月夜に
醤油をかけて
チュルルと
流し込んでも
うしろめたい後味が
背筋を駆けるだけだからって

桜の散り際を
ゼリーで固めて
トゥルルと
頬張っても
安っぽい哀しみが ....
一瞬の寝覚めにまたたいた 陽の
照り返された羽ばたきに 影を見て

忘却の窓越しで永遠 ぽかんと寝そべっている
声を出しかけたまま息を止めて
かつての体温は記憶しながら
宇宙は何度も全 ....
通り過ぎるだけの存在の
あなたはいつも横顔
視線を見られる心配はないけれど
ノートの落書き
横顔ばかりが上手くなる
消しゴムで消すことができず
消しゴムを乗せてとっさに隠す
春に眠れ ....
 
 
なんちゃってグミかんで
なんちゃって空ながめてる
俺の手は乾いた床を拭いているから
床のかたまりを拭いているから
俺から離れようとしない
困ったもんだぜ
俺はすっかり歯槽膿漏で ....
 
象が海を渡っていく
かわいそうに
目が見えないのだ
かわいそうに
と人は言うけれど
思ってもいないことを
言葉にしてしまう
人もまた十分かわいそうだった
かわいそうに
何度も言 ....
裏庭に透明の象がいる
ばあちゃんはそれを知っている
他は誰も信じてくれない

夜、布団に身体を任せて
僕は透明になる
(つまり僕は僕を抜け出すんだ)
そして象に会いに行く

暗闇の中 ....
               090318


このこここにとつぐといわれて
ときのたつのがやけにはやくかんじられ
ふたつへんじでひきうけてしまった

3分間スピーチは
2分ぐらい ....
空だけが高い 世界の隅っこ

風が通ることも難しいくらい
君の息遣いが近い

呼吸と伴に薫る 林檎ジュースとカレーの匂い

あれ?

ねぇ君
昼休みに食べたの?

不安な顔はしないで
別に気持ち悪くな ....
骨を飲み込んだ壁の絵は
歩けるようになった
かすかに影をいだいて
陽をひきずり
音を避けて
草の渡れぬ反対側へ
道に線をのせた

ぽとり と雨が
さほど濡れない
ひさしのついた壁の ....
ピカピカに磨き上げられた車に
妻(きみ)の笑顔がステキ
春三月の
青空の下


 こんなに喜んでくれるなんて


思えば
妻のささやかな願いや喜びを
奪うばかりで
苦労ばかりか ....
よく晴れた日の午後
麗らかな春の陽射しの中を
黄色い砂が飛んでいく
連綿と空を漂う砂の靄を
裂くように降る大粒の顔面
頬の脂肪を震わせて叫ぶ男の声

行き交う人の群れから
少女が一人顔 ....
  「夢の言葉」


 わたしはあなたに声をかける
 あなたは静かに両手を広げる
 わたしはあなたを見つめる
 あなたは見られることに慣れている
 わたしはあ ....
まいにちが

わかりやすいしあわせに

みちた日々であれば

ぼくらはそれを

しあわせと呼ぶのだろうか


春のかおりが

夜にひびいている

ぼくらは

さびしく ....
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