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雪解けの水がつるり、と窓にいて
陽射しはひらり
春、うたまつり
じわ、
じわり
布団を抜け出る子のように
ひとつ、ふたつ、と三月の砂利
太陽に追われて ....
{引用=しゃわしゃわと濡れそぼってくアスファルトに嫉妬していたビー玉の夏}
街じゅうに言い訳にじむ赤信号は迷子の大人達にやさしい
新型なら上書きができるんだろう 消しゴムかけて毛羽 ....
ぼくたちは春を起点に遠ざかる公転軌道を失った星
君という病を喪いかたかたと瘧(おこり)のように震える柱
便箋を一枚一枚丁寧に破ればただ ....
綿菓子の 桜の枝にうずくまる 蕾に咲けと 満月の夜
涙なら頬をつたって濡らすでしょう 春の足跡 そらの手鏡
春の星 咲いた証はあしもとで かざはなと舞い 銀河流れる
うすべにの桜を頬にほころばせ
ふゆを咲くのは
あどけない、春
さむい夜
機関車さながら息をして
笑っていたね
星くずの頃
転んだらふわふわでした新雪は
....
不燃ゴミです、と取り除かれた祖父のペースメーカーてのひらに、来る
解剖しても誰にも見つからない場所で君よ、一緒に暮らして、ください、
アンダンテ追いかけて追いかけていても君が見えない陽射しの中で
抱きしめる速度ですれ違う風はセルリアン、君の瞳に映る
炭酸の雨///下弦の月をマドラーで浸しても味なんてないまま
....
いまもなお ビッグバンより続いてる
連鎖する水 連鎖する青
ナース服
肌から消えるアルコール
採血針を通過する赤
引っ越しを繰り返すたび立つ鳥の姿に自分重ねて変わる
....
1という字のように立ち 一という字のように眠れ 孤独な無限
0なんて発見するからいつまでも君の不在が消えないままだ
ON/OFFのあいだに広がる宇宙にて親指は祈る メール、 ....
上皿の落ちぬ程度の揺れならば均等と呼ぶ 胸に天秤
満水の体育館で耳鳴りがしてからずっと水底に居る
液晶を両手で包む二十五時 言葉はなにを伝えるだろう
....
手のひらに触れると消える雪の華はかなくもろい命を思う
冬の森雪の女王の馬車は行く白い軌跡を空に残して
降る雪に消えずに残る埋み火は今もこの胸熱く燃えてる
窓を開けて一面白の雪景色足跡 ....
剃髪に立ち会った日の陽の光 淡く結んだらせんのつづき
葉脈にミシンをかける神様は季節のすきまは縫い合わせない
にんにくで追い払うんだ君のこと季節外れの桜の匂い
....
早朝に剃刀を買うコンビニで 剃髪用です 袋いいです
昼下がり主婦がミシンを踏む音は 人を撃ち抜く練習に似て
夕暮れが鼻血のような色してた 鉄のにおいが漂って、冬
....
廃校の探検隊だぼくたちは廊下がミシンと鳴るアンダンテ
イチゴにも砂糖をかけるアキちゃんが横目で見ているスターバックス
算数が誰より得意なユウくんは今日も釦を掛け違えている
....
何処へゆく何処を向いても冬の日に無数の星のなかのかげろう
読み仮名は誰のためでもあらずしてただ自らの崩れし証
細く在るからだすべてに陽を浴びる幽かな ....
動物園の絵はいつも雨が降ってるあなたと行ったあの日から
手を繋いで坂道を駆け上ったね下る時に負けぬ速度で
母と二人ハンバーグをつくる夕日よりもきれいだったひき肉
....
片方の翼の折れた失速を
取り戻すまで我生きるなり
置いてゆく荷物の重さは測らない
翼の先を大事に繕う
夜の風 羽根のひとひらも凍みてゆく
翼よ向こうに朝が待つ
失っ ....