1
水溶性の喧騒に混じり入る
マーブル状の
夜の鳴き声
脈が終わって、それでもなお
時は余る
2
疎林のまばらを
記憶で埋める
蔓はどこまでも
遠く伸び
驟雨 ....
{引用=※}
いままで
だれもみたことがない
世界地図をえがきながら
いつまでも未着の手紙
のことをかんがえる
そして
伝送されつづけるテレパシーのことをかんがえる
どちらも
回帰線 ....
花 微笑んだら 鳥
鳥 さざめいて 風
風 透き通って 月
月 打ち明けず 花
花 移ろったら 鳥
鳥 ざわめいて 風
風 追い縋って 月
月 恨み切れず 花
花 散り乱れ ....
また春の風が
額を過ぎた
ふっと
潮の匂いがした
ような気がする
{引用=なつかしい声}
振り向くと
海がそこまで迫る
海は光る
反射して鏡のように
指を浸すと ....
夜が終わる前に
銀河がサイクロンになって
いらない文字を吸いとりに来る
(サクラ、サクラ、琴のおと)
貼りついてしまったものを
ひとつひとつ
はがしてみれば
どれも忘れがたいもの
けれ ....
ありがとう。
ありがとう。
今年も咲いてくれて。
ありがとう。
冬鳥の啼く声も掠れ
野火煙る薄闇に
遠い鐘の音とともに
虚ろに舞う、
まばゆい欠片たち
山颪(おろし)の風に攫われる
か細い梢の一瞬の落花、
土に眠る豊かな彩りと
ひややかな水の命 ....
黒は一才
生温かい
混沌
の中で
暗闇
の綻びを
手繰り寄せる
青は二才
ヒモつきの
自由
の底で
意識
は成層圏を
突き破る
黄は三才
幸せな
惰性
の ....
うたいましょう
レモネードのためのレモンを切って
おおきめの翼はえて
少し痛いから
目をふさぎましょう
朝のひかりは
あんまりまぶしすぎるから
おさげに結った髪はねて
バゲット ....
耕うん機の音がします
つくしんぼうの声がします
土が目を覚まします
春は大きな朝みたいです
田畑を耕す音は
早起きするための
目覚まし時計です
{引用 ....
ななつ葉/僕
ねぇ、君は「無限の幸福」なんてものを信じられる?
今ココに確かに存在しているんだ
無限の幸福/ななつ葉
のクローバーが。
子供たちがサッカー ....
ふとわたしはある予感がして
お風呂場へ走ってゆく
扉を開ければ片隅にいる
たわしは新しいたわしに
買いかえられていた
お風呂掃除係のわたしに
ぼろぼろになるまで付き合ってく ....
しめやかな午前 /
温まらないエンジン
背負い込んで
缶コーヒー中毒者の
重い足取り
煮え切らないナビ
ぶら下げて
揮発しそうな生活者の
白い排気ガス
走れ
せめて ....
T+74.130
Last radio signal from orbiter.{注*=Challenger timeline(UPI)}
切断された管をたなびかせながら
放物線を描いて ....
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
投げ捨てた果実の種が
ことごとく芽吹いて巨樹となり
大地を引き裂いて
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
はらわた ....
晴れて
水平線のまるみが遠い
海岸通りに迫る波は
テトラポッドに砕かれて
泡ばかりたてている
その水は
まだ冷たかろ
けれど青、
翡翠いろならば
思わず爪先で冒したくなる
散らばっ ....
窓ガラスで漂白 されていない
光を鼻の頭 受け止めながら
コインランドリーの角 右に曲る
山田さんちの昼御飯 きつねうどん
網戸で裏ごし されていない
風を耳の後ろ 感じながら
....
10年ほど前から、わたしはネットで詩を書くようになった。単純に、保管できる場所が欲しかったからだ。
それから今まで、たくさんの人に出会った。詩を書く人、詩を読む人、両方の人。
彼は、その中の一人だ ....
かあさんと旅した町は
あいにくの曇り空
灰の四辺に囲まれて
虹のリボンが
ゆれてます
ねがいよかなえと
ゆれてます
愛情はピンク 健康はみどり
お金は ....
健康診断の結果
肺に小さな影がありますと書かれていた
早く再検査に行きたかったけど
仕事も忙しくて
時々そのことを思い出しては忘れ
思い出すと泣きたくなる夜もあった
実際泣いた ....
いらない
欲しがったりしない
夕日も、太陽を奪っていく時間も
カロリーゼロドリンクを
餓えたキャンプにばらまく悪夢
眠れない夜の寝苦しい暗闇
幸せの意味、
....
たたかって
たたかって
かなしみをえらんで
かなしみにえらばれて
たたかった意味さえなくして
月がゆらぐ
夢がとおくに消えてゆく
それでもおまえ ....
―朝
ビルの階段を降りて行くと
何かの軋む音がする
たくさんの
時間の積み木が
押し合い
こすれ合って
順番を決めている
―歩道を歩く
山桃の並木が
慌てて生え ....
暗い薄墨色の空を
綿ぼこりのような
存在感のない雲が満たしている
空がすごく低い
薄い夜空から落ちる雨が
僕の身体に滲みこんでいく
街灯に透ける僕の指
二重にブレてぼやける
街 ....
目の見えない猫に
少年が絵本を
読み聞かせている
まだ字はわからないけれど
絵から想像した言葉で
ただたどしく
読み聞かせている
猫は黙って
耳を傾けている
少年 ....
控えめに訪れる
波の繰り返し
耳鳴りは怒りを洗い流して
眩い光りの群れが
手のひらで踊り出す
地平線で別れた
青と蒼が
波打ち際で
何億年ものの歴史を
そっと置いて行って
未来 ....
とおい秋に
実るものはなんだろう
わたしが実家の門を通るときに
ふと、かいだ
祖父が築いてきた
歴史のにおい
短いとも長いともつかない
毎朝はやく
仏壇に水をあげる、祖父
....
風の中で震えていた瞳
あの日突然奪ったくちびるを
二度と忘れはしない
美しい少女よ
一生分の愛を君に捧げよう
自分勝手な愛で
君を愛し続けることを許して欲しい
例え永遠にこの ....
むしろ、さくらではなく
今朝の濁った空色が
薄灰色の風となって
じんわり染みこんでくるのを
わたしは待っているようだ
三寒四温の春は寡黙に地を這って
あたらしい芽吹きを迫る
枯れ枝に ....
そうゆうんじゃない
肌に頬を押しあてて
脈打つ血の
ほんとうの色が浮き出すのを待ちながら
したい理由をききたい
耳もとで
吐く息にまぎれ込ませて
「どうして…?」とききたい
衝動にもゆ ....
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