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マニラでの仕事は十分で終わった
事務所に顔を出しただけで終わらせたのだ
日本の社長の心ない言動で
まったくやる気を失っていた
まあ自分で指示を出しておいて
途中で梯子をはずしてきたということ ....
深い河ほど静かに流れる
誰かこのざわめき消してくれないか
神さましか知らない孤独
そんなもの誰の支えになるというの
オレはろくでなしだから
大義名分もなくじぶん殺している ....
月に二、三度会うだけなのに
どうしようもなく好きになってゆく
電話ではまいにち話をするけれど
ビジネスライクな俺だから
あなたはそれに気付かない
こんな感じがいいのだろう ....
春は夜ひびく
雨だろうと
風だろうと
ひとりで歩こうと
乳房は湿っている
夜のひかりが縞をつくる
泳いでいる
探している
いくとせがたち
....
まいにちが
わかりやすいしあわせに
みちた日々であれば
ぼくらはそれを
しあわせと呼ぶのだろうか
春のかおりが
夜にひびいている
ぼくらは
さびしく ....
水色の匂いがした
午前の光に撹拌されて
僕と彼女の鼻に入り込んだ
どこかで蛙の卵が匂う
別れの空虚が
新たな予感が
季節を越えた
二人の匂いがしている
....
娘をうしない
生きているか
死んでいるかもわからない
そこにつけいった輩に
七千万円だましとられ
それでもきょうも娘を探している
不時着した日本兵をかくまった日 ....
ふるさとの川というには
ここはすこし都会過ぎるかもしれない
関東大震災のあと
消えてゆく東京の面影を
ここに見つけた作家もいたことを思えば
ふるさとの川ということでいいのかも
だれもがふる ....
あとひとつきもすればさくらがほころぶ
去年はきみと名もない小山をのぼった
ぐねぐねとした白っぽい坂道
わたしたちしかいない公園
つめたくなったマクドナルド
力のない紙袋か ....
二月の炎は
情念の
雨に濡れて
そこだけ白くさせていた
テールランプが
ひとを待つ
前かがみの傘が
きえてゆく
アスファルトから
春の香りがした
....
駐車して
夜を見上げる
月が割れている
夜の背中が割れている
おまえも見てるんか
もうすぐ総選挙やな
おまえと別れてから
二回目の総選挙やな
遠い声また聞けるな
駐車して
夜を見上 ....
星のひかりは
時間差の攻撃
出会ったことも
時間差の攻撃
待ち合わせ場所は
代えられるけれど
時をとめては
待つことは出来ない
だからここで
きみ ....
大きな光、強い光
夜に入るまで
どこでなにをしてた
いちばんぼーしいみいつけたあ
闇に包まれることで
見えてくるものがある
これをだれかに伝えなくちゃ
ど ....
線香花火のおとたてて
ねずみ幽けき雲まから
まえの方からふわっと
わっとふけみたいな白
フロントガラスにパッ
パッパッパッ線香花火
僕は祈っていたのでした
....