パンジー (ものおもい)


青空の端にぼんやり頬杖をついて

ほつれた飛行機雲を指先で丸めながら

色とりどりの想いを散らかしっぱなし

冬風が口笛で呼んでも君はうわの空
 ....
およいでいる、ということに
気がついてしまうと
溺れはじめる


 わたしが
 わたしを忘れることも
 たいせつな息継ぎ

 うまれもった、すべ



音色、という文 ....
優しさの前に立ったとき
どうしようもなく
人見知りをしてしまう
なかなか差し出せない手を
ぎゅっと握って
その手のひらは
汗だくになってしまう


嬉しさの前に立ったとき
どうしよ ....
女は少し
したたかなくらいが丁度いい

「あのコはほんとにイイ人」
なんて言われてる時は
実は一番危ない

危険ゾーンのど真ん中

「イイ人」の裏に含まれた企みは想像以上にコワイもの ....
ため息、ひとつ
冬の空に消えた

吐き出した言葉達は汚くて
紡いで、紡いで、泥まみれ

ため息、ひとつ
冬の空に消えた

どんなに洗ってもとれない汚れ
今は不自然だけど
いつかは ....
乾いた空を見あげて泣いていると
(おとうさん
(あんまりやさしい気持ちになると
(涙がでたくなるんだよ
という

疲れたときは
ふうせんかずらの種をあげる
それから
ビールを買ってあ ....
信じられないようなコトが
たまに起きる

それを偶然と呼ぶか
奇跡と呼ぶか

だけどボクが呼んでいるのは
そのどちらでもないんです

偶然なら運命に変わるかも知れないし
企みなら夜 ....
出口だらけの迷路で
みんな迷子です
終電が出発したら
それでも全部、扉を閉ざして

新宿駅の外観を知りません
面影すら忘れてしまったひとの
忘れもしない言葉
普通でいるために、目を閉じ ....
濡れたアスファルトの上
過去も未来も流れていく

反射して見えたのは
あの日の
小さな嘘だけ

温もりを忘れた右手が
所在無く揺れた

繋がれなくなった指先
ゆびきりは
も ....
闇の随にGet It On  髪をかきあげ さぁ行こう
先頭に立つ超百鬼夜行 妖気溢れて しゃなりしゃなり

 異類異形の大魔神 束ね 艶やかに列島縦断Delight Night
 脳内の映像 ....
雨をひらいて いくつもの声のその中へ
飛び込んでいければいいと思った
軒下からしたたる雫が はねて、
とりとめない心に降りかかる
泣いているの、とたずねる人の
声がしたような気がして
振り ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目


はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
1 両手を前に差し出します。

2 人差指と親指でかぎかっこを作ります。

3 なるべく今のあなたに
  素直な言葉を挿入します。

4 そのまま両手を中心に向かって近付け
  長方形 ....
君のことを描くたびに
ひとつずつ言葉を失っていった
すっかり軽くなった水彩箱には
たったひとつの「ありがとう」が
隅にこびりついて震えている

―――ありがとう。

それだけで ....
毛布になついた匂いをかぐと
やさしくおもえる十二月

ふゆという名のまぼろしが
ふたりのあいだに
許される



 つめたい風のひとひらは
 ぬくもりひらく
 手のための ....
クリスマスローズ (慰め)


クリスマスなんて大嫌いと吐き捨てる

君の傷跡が透けて見えそうな夜

瘡蓋の上に貼りつけただけの棘に

僕が金色の星を灯してもいいかな

 ....
手のひらに触れると消える雪の華はかなくもろい命を思う

冬の森雪の女王の馬車は行く白い軌跡を空に残して

降る雪に消えずに残る埋み火は今もこの胸熱く燃えてる

窓を開けて一面白の雪景色足跡 ....
今年も背中を見せる
あなたの上着の裾を つまんでみる
皆 走っているからね
この子とふたり 取り残されているみたいでね
寂しくってね

私の指の小さなダイヤモンドが
電飾と歌を歌っている ....
  瑞々しさ

 かじかむ
 手があれは
 「かがやく町だったと言った
  なにごともない町並み
  を抜けてゆるやかに
  傾ぎながら地下鉄は春の
  空へ。出る駅前はぐるりといたる ....
?                       ?

いつだって馴れないんだ         駅を降りて
麻痺していく            牛飯屋に入って
フェイドアウトしていく感覚     ....
欠点はね、
やさしく撫でられたら
十分なのです

無理をして語らないでください

いろいろな角度から
見つめないでください

寄りそうだけで
よいのです


見渡せば ....
ふたり、
ってなんだろ。

あなたと撮った
ふたりの
写真を見ると

いつも
あなたは
おれの右腕に
ひしっ、と
左腕をからませ
笑っている。

「満面の笑み」
との形容 ....
剃髪に立ち会った日の陽の光 淡く結んだらせんのつづき



葉脈にミシンをかける神様は季節のすきまは縫い合わせない



にんにくで追い払うんだ君のこと季節外れの桜の匂い



 ....
 
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう

やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる

もっ ....
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる

わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる



いつだっ ....
スイートピー (門出)


予感の種は忘れた頃に発芽して

思いがけない場所に花を咲かせる

淡い花びらのような羽を広げた

君を笑顔で見送れるだろうか





スノー ....
世界へと落ちていく空
滲む照明
薄明かりのアウトフォーカス

緩む身体
意識はただ温もりに溺れ
遠い耳鳴りと感じているのは

あれは
海鳴りではなかったか
夜の砂浜に座り込んだこと ....
るるるるる
るるるるるるる
るるるるる
崩壊するる

保育園のオルガンは息があらい
足踏みがねばついている
牛乳をこぼした
園児は花とともに卒園して
入学する前に死んだ

夜のこ ....
早朝に剃刀を買うコンビニで 剃髪用です 袋いいです


昼下がり主婦がミシンを踏む音は 人を撃ち抜く練習に似て


夕暮れが鼻血のような色してた 鉄のにおいが漂って、冬


 ....
ウメ (忠実)


天神様の細道で大事な人を

繋ぎ止めようとしただけなのに

どうしていつまでも付き纏うのか

やたらと匂い過ぎる言葉達よ




スイセン ( ....
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