重たい表紙を開くと
『夏の項』だった


限りなく続く
かのような 草っぱらの
ずっとずっと向こうから
薫風に押されて
あるいは 乗って

バラ色に染められる
その足跡


 ....
からびた つる
ならく の よ

とけられた え
さき にご す

ふれこう まい
なぜとう ゆび

ほほ それ て
の にちる し 
細く開けたより扉より覗き視る、眼球
にとっての、夏
そこから、差し込む昼の筋が
はっきりと割る、私


半分でいいから、どうか、連れて行ってちょうだい
とは、一言も言えぬうちに昼 ....
褪せた面影を
湿らせていく
霧の雨


黒い舗道に足跡の
こだまを探しながら
ひび割れた時間に
僕は立つ


どんなに近くで
それとも遠くで
どれだけ君が  ....
微笑みつ口から滴る灰色の雨だれのごとき友の嘲り
裏切りは雷鳴のごとく轟きて稲光のもとさらけだされし
裏切りをもたらす雲は見えずとも友の柔肌裂けば青空
目の前の笑顔の向こうにちらつくは画面に踊りし ....
どんなに大きくなっても
私は0cmであり
3億光年である


どんなに遠くへ行っても
私はここに在り
あちらに在る



魂は宙を歩き
宙に寝そべり


どんなに泣いても ....
雨と雨のはざまに射抜かれ
さくさくと血は流れ出る
こんなにもうつろになってはじめて
流れ込むもののまぶしさに
いくつもの目を閉じることができる



光る灰は銀ではなく
 ....
泣いて生きるよりは

笑って生きた方がいいさ

でも

俺にはどうしても笑えない時がある

振りほどこうとしても

俺を締め付ける

過去と不安な未来

忘れようとしても
 ....
もう 遠くに 届いて
行ってしまいました

誰の後を追って

なだめても 
すましても

輝けない かぐわしさ
ぽつ ぽつ ぽつり

とおく とおく まもなく
いっ ....
砂漠のニコニコ
僕の肩を叩く

右手にレモンを握って
僕の瞳を覗き込んだ


砂漠のニコニコ
ポーンと高くレモンを
空に放り投げた

レモンは太陽にぶつかって
数えきれないほど ....
わたしを
知りたいというわたしはいない
わたしは
わたしが鳥でも人でもかまわない
わたしは
あなたによってかたちになるのに
わたしは
あなたがあなたなのかわからない
わたしは
 ....
緩やかな翳り
窓枠を溶かす


鐘のこだま
スピーカーの喚声

宥め掬う



夕方という
懐かしき翳りに


独りが
飽和する
今から
向かいます。



彼方からの発信を受けて
待ちきれずに
窓枠から
片目をのぞかせる


目の中に飛び込んできたのは
方向音痴の雨粒だけだった


そういえば
 ....
  きぃ

       きぃ

  きぃ


身体ごと
時間ごと
空に放り出される


日常の中で
くすぶった思いを抱えたままの
私を放り投げる
留まろうとする
観念 ....
つくえにすわったら
しんぞうが
いきなり
ばくばく
じこしゅちょうをはじめ

おらあよお
うまれてこのかた
いちどだって
いちびょうだって
やすんだことが
ねえーのによお
ちょ ....
   懐かしき
  風景にも似た
  君に触れ
  君に彷徨う


  見渡す限り夢は
  飽和の色彩


  夏にも行けず
  冬にも戻れず

   僕は
 ....
ふんじゃった

でも
みれない

かたい ような
ちいさいような

うごいてるような

どうして
うごけないの

ねえ
にげないの
俺は見たことないけれど

時忘れの香がある

1本で1年分の記憶をなくす

俺は子供の頃

怒られて泣いているか

1人で遊んでいるか

どちらかの記憶しかない

もう
 ....
考えるのを止めたとき
空は色をすいこんだ


ポカンと見上げて僕は
この地面の名前を忘れてしまう



しばらくは誰も
気付かないかもしれない

僕の一部もすいこまれたこと ....
あおいみどりのなかに
まわる
スプリンクラー
目で見る
満ちゆく初夏のとき


日々は
やわらかに途切れていく
うたうように
そうして また
繋がるために

むすうのひまつが ....
海までの八号線はいつも夏 湿った空気と寂しい人魚

真っ青に透き徹る海が恋しい
真っ白に焼けた砂浜が恋しい。

湿気の多いべたべたする嫌な日
何でも有り余る肥大した無慈悲。

何故か連続して襲い来る不幸
大地は割れ火を吹く山 ....
おいかけてゆきたいのです。

包丁でざくりと切ると、すぐ後ろでネギがぱらぱらと広がるように
ざくりの跡をぱらぱらと追いかけてゆきたいのです。



続けたいのです。

にんじんをする ....
月はね

遠くから見るから

綺麗なんだ

そばに寄ったら

でこぼこで

何もないだろうね

君も

遠くから僕を見るんだね

僕が愛しく思っているのは

君だか ....
愛してる

ルフィーのイノセント
ジョニー・ロットンの裏切り
佐藤琢磨のオーバー・テイク
渋谷じゃなく上野のスクランブル交差点
少し意地悪な詩

愛してる

ベニシオ・デル・トロの ....
青い稲妻が駆けぬけ
入道雲をふちどる


存在の有無。


電光は
20キロ四方まで届く

隣にいるきみに
ぼくの放つ光は
届いているだろうか


雷鳴は
空に吸い込ま ....
 市立病院の待合室には
 老若男女、多くのひとが待っていて 
 呼ばれた名前と引き換えに
 番号札をいただけることになっている

 わたしの名前の代わりに
 渡された番号というデジタルデー ....
壁に描かれた
巨きな逆さまの音符が
錆びた扉を指している
軋む音のなか やがてゆるりと
道しかない道が現れてくる



うすくけむる明るい夜に
けだものは光を聴いている
ひ ....
わたしは窓から身をのりだして
身投げのような夕陽を見ていた
消える 消える と小さな声が
両手をあげて泣き顔で
通り過ぎる祭を追った



わたしは高すぎて
わたし ....
結婚式で 打ち上げた祝砲

幸せを祈り
永遠を誓い

襲撃と 思った米の飛行機

爆撃そして
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