郵便ポストの口の滴り
水性の宛先
にじむ歌の
音色は
配達夫のかばんの底
にじむ歌の
雫 いつしか
アスファルトのくぼみの
くぼみのなかにも
ちいさな土地と
ちいさ ....
老いたるロメオ
命の根源を
回復するためにロメオ
二十四時間を
眠りつづけて浮かぬ顔
麟太郎の幸
『あかるい黄粉餅』
満喫してのち
帰って来た町
秋の日は落ち
....
灯台へ向かう道は
何箇所も工事中で
ガードレール代わりに
細い鉄パイプが括り付けられ
細い海峡に似た入り江は
冬の日差しで満たされる
今日
君は黙り込んで
売り払った車と
明日の ....
夕焼け の 細い指 輪
つなぎとめて
白く めくれた
枯れ木 の 小屋
ころり
まぶた
なくし
星 の 皮
扉 に
歩いて 帰ろう
とおい きてき
....
俺は 雨の中 ぼっーと歩いていた
雨で折れちまった 花を拾った
名前は知らない
酒の瓶に
そっとさした
この花は もっと綺麗だったにちがいない
ひっそりと
それでも かがやく ....
寒さは人を侘びしくさせるので
細い雪道ですれ違う時は
どちらからともなく微笑みあって
凍えるのを防ぐ
カタクリの粉を握るように雪を鳴らして
灯りのもとへ帰る人の足どりを子守唄に
産 ....
静かな海の音を聞いていた
映写機のカスカな響きの合間に
革命前夜とはかくも
激しく静かであろうか
(わたしは波の大きさを知らない)
(わたしの足音はもう響かない)
おびただしい ....
電線に疾風わたる
わたりゆく
音は
こする
鼓膜は
朝から
私を
しらせる
トタンの屋根に粉雪つもる
つもりおつ
光は
....
カラスが鳴くと
太陽が海に沈んで
世界のきまりをまったく知らない人は
もう何も見えなくなってしまったのだと 泣き出すだろうし
あなたは ほとんどの社会人がそうであるように
明日を乗り切ること ....
やさしい 風 に
月 が ついてくる
まわり道
草原 の じゃり
心 やすらぐ場所 は どこかな
踏み潰した草 の
やわらかい感触に
ひとりで 歩く事さえ
....
+
忘れていたことすら忘れていたのに
嗚呼、忘れていたことを思いだしてしまった
思いだしてしまったことをいつかまた忘れられるだろうか
++
花の絵を描いて ....
ずっとずっと まわりで
小さな音が鳴り止まない
バスから降りて バスに乗る
またバスから降りて またバスに乗る
いつのまにか隣に
歌がふたつ 座っている
小さな支えを失っ ....
髪を結い
自分ではなく
君を
縛っていたのだと
気づく
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41