すべてのおすすめ
如月や黒いソファーに横たわるあなたの影も微笑んでいる
ゆく船のゆくえわからぬまま岸でぼくらが録音されていた夏
ケイタイを缶コーヒーのように振るきみはまだまだ宇宙に鳴れる
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ブルー問ふ京の都の古家ぬけ落ち込むぼくに空指しながら
麗しき姿であれどきみに問ふ如何なる意図や人魚の胸像
高速の指の運びに混ぜられてゆく鍵盤ももはや灰色
「色たちが心中し ....
八月の暦に耳を押し付ける少年いつしか海原のうへ
生い茂る真緑の原に埋もれゆく廃工場に響け恋歌
遠回りで帰る夜道に横たわる近道えらびし野うさぎの母
飛行機を追うてふもとの村 ....
われ先にわれこそ先にと同じ日に蒔かれた姉妹の朝顔の咲く
狩りそして狩られることの無き国の王女の不在のごとき静けさ
水中を沈みゆくバス、運転手、乗客らみなほほえむ夏日
コン ....
遠き田の隅に孤独は佇みて親しきわれの呼ぶ声を待つ
白きゆり手折る微々たるゆびさきの力でわれをあやむるおまえ
君が代をふたりで唄うさつまいも甘き田舎の夏の縁側
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骸骨がブラブラ廊下歩いてく音楽室の鍵は壊れた
理科室の匂い取れない制服に誰かの刻印深く押される
日食を見るため屋上集まった魔女が湧いてる魔女が湧いてる
チャ ....
エジプトに眠る少年少女らの夢であるかもこの世のすべて
着物から覗くあなたの白い脚 幽体離脱の感覚を知る
水色の街へと渡る鉄橋の錆びた思い出ながれゆく河
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風も木も滅びゆくときわれもまた等しく愛に抱かれて過ぎよ
降りしきる雨でおまえの声は途切 れ遠い異国である公衆電話
たった今、落ちた花びらだけ見えたった今見えなくなったただ風 ....
好奇心ひろげて崖から飛び立てば ああ、こんなにも太陽のせい
幾たびも安易な夜を貪ってぼくら獣のように純粋
僕たちはすでにレッドを飛び越えて蒸発してゆく抱擁のあと
妊娠をし ....
亡霊ときみの名付けし少年の漕ぎしブランコ揺れている初夏
遠ざかる白い小舟の行く先を流れる水や風に聞く午後
紫陽花を抱きしめているパレットにきみの瞳の色を混ぜつつ
防波堤越 ....
思い出の森をさまよう僕はもう少年時代の歌詞から遠い
おにぎりの形している山登る今はまだまだ海苔の真ん中
紫陽花に紋白蝶の眠る午後わたしが汚れているのが解る
花粉から誘われ ....
夜を飛ぶサーチライトをUFOと信じる子には光るシールを
映写機に撃ち落とされた銀幕の穴の向こうの月が綺麗だ
始発にて人気女優のクローンのような女と飛行場まで
新品のアメリカ製のス ....
青き百合を水に葬る手のひらのかたちのように流れゆく指
横隔膜の失いたる平衡感覚で剣のうへももはや荒野
牛乳を一気飲みする冷たさにすべての蝶の真白く映えり
目を閉じて遠き木 ....
風船がしぼんでゆくのは見たくないだから今すぐ針を刺してよ
箱ならば開けてしまうよ血管を通うわたしのパンドラの血
飢えている仔猫にミルクあげるとき黒い何かの目覚めに気付く
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ぼくたちの出会いを事故と名づければたちまちエアーバッグが邪魔で
消えかかる蛍光灯の真似をするきみの瞬きずっと見ていた
きみのその背中の刺青の蝶を捕らえるために彫りし蜘蛛の巣
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降り立った夏の停車場せみたちの鳴き声拍手喝采のごと
実家へと歩く田園風景のさびしきひとりと描かれる夜
秘密基地としての廃屋いまはもう月光だけの棲み家となりて
失った記憶と ....
踏み込んだところが山の入り口でお眠りここがゆめの入り口
僕はまだ死んでいないとあなたから雲の手紙がひろがる深空
この花の名前をあなたに聞いたはず昨日の夢の廃屋の庭
生きて ....
やわらかく流れる小川わたくしのちひさな闇にきらめくひかり
クローバー探して回る少年と少女の絵画にみとれるぼくら
ぼくたちのこの関係を奪うのが風なら運び来るものも風
河原に ....
乱反射している飛沫に映るきみ刹那に過ぎ行く夏のはじまり
六月を雨の季節とたとえれば花嫁たちのヴェールは時雨
水の中の八月だから転校すきみの街までクロールでゆく
ひたいから ....
ぼくたちを結ぶ機会を握ってる獣は未だ箱舟の中
辿り着く場所はどこだかわからないゴタゴタしてる神様の庭
迷い込む羊の群れのただなかできみとよく似たガラスを探す
抱きしめるガ ....
きみがまだ少女の頃はぼくもまた少年だった すれ違う駅
きみと向かいあって話した教室が世界のすべてであったあの夏
きみの吸ってたマルボロライトを吸ってみる吐き出す煙が重い七月
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空中に放り投げたる自転車の車輪の下の花びらが好き
背景として描かれる枯野にてかんざし拾うそれはゆうやけ
水没す古代遺跡の燭台にふたたび炎が灯る邂逅
風邪薬ばらまく園児裏山 ....
少女たち暗黒舞踏を踊る夜旧市街へと駆ける少年
少年が少女の着替えを待っている土の器をふたつ並べて
蜜だらけベッドの上で酔い潰れ蛇足過剰の花をむさぼる
張り詰める音楽室の黒 ....
隅々までほこりを吐いてこの部屋は呼吸も忘れた屍である
恐ろしき世界のごとき牙かくし小さな鳥を演じる小鳥
天体にばらまくひとみ瞬く間消えゆく星が消えゆく速さ
投げつけた夕暮 ....
閉じ込めて鍵を閉め忘れたがゆえに青空今日もひろがってをり
低地へと雨がながれてゆくはるか彼方の名も知らぬやま
生活のにおいを捨てて枯れすすき遠くに見ゆる鬼と目が合う
彼方 ....
今赤き風船ひとつきみの手をはなれ空へと浮気なぼくら
胎動を促すごとく数々の伏線蜘蛛の巣顔にかぶれば
ソヴィエトで焚き火にあたっている少女大陸横断鉄道の窓
金魚鉢のふちで指 ....
今青き蛇の抜け殻くぐりぬけ廃墟のごとき雨の降るかも
コスモスの群がる丘で赤と青 少年少女が燃やすむらさき
錆び付いたあなたが今夜もあらわれて僕のくちびる噛んでさよなら
降 ....
死火山に松明投げるかのごとくあなたが閉ざした扉をひらく
灯台の下で探すが見つからぬ懐中電灯を持ちしあなたが
ふたりしてベンチに座りブランコの鳴き声などを聞いた十月
畑には ....
はしごから降りたばかりのきみだから空のにおいが漂っている
桜より葉桜を見てはしゃぎだす僕によく似たバカがここにも
金魚すくい破れし網でいつまでもふたりで恋など追い駆けた夏
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夜にしか会えないわたしたちだった合わない靴を無理して履いて
クラクション鳴らすあなたの矛先はわたしと彼女のちょうど真ん中
コーヒーを投げるあなたの手の平は薬指から冷めてゆくのね
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