稲妻が光って轟きが来る
光った時もうその下では絶命してるんだ
じゃあ向こうから聞こえてくるのはいったい何なんだ
死んだ後に聞こえてくる音はどこから


電気の光が織り成す出来あいの世界で
 ....
 *
あの日、父さんは
僕に拳骨を一つくれた後、

西瓜を食べたいな
って、思ったら
ちゃんと言いなさいと
悲し気な顔をして
溜め息を一つついた後、空を見上げて…

確かに、
クスッと笑いを漏らして ....
平積みされた本はまだ新しい匂いがしていて
あたしたちは軽く目を閉じた
ロボ子というのはあたしのことです
隣に立っている男性が平積みの本を
二三冊下からひっこぬいて持っていく
ロボ子という ....
期待していた息子が
期待を裏切り
長年の夢をぶっ壊しました

何が原因かって
それは自滅というもので
原因なんてものじゃなく
どうして ああも簡単に
棄て去ることが出来るのか
横で見 ....
             080726



古い手紙は燃えるゴミ
新しい手紙は来ないから
Eメールのフォルダーは
後腐れ無く消去する
古い機械を粉々に
古い情報を粉々に
手品の ....
朝起きてしばらくしたら驚愕しました。というのも両腕と首にびっしりと変な赤いぽつぽつができているのです。夢ではたまに、足にびっちり黒いミミズ腫れができたり手が蟹になったり背中がうろこむしたりするのですが .... 一定の間隔で
聞こえてくるこれは 悲鳴ではなく
うち上げ花火の音らしい

夜は
みえないものへの思いが強くなっていく

布団の体温がまたわたしを憎んでいる
だえきの甘いにおいが地続きに ....
生きるために
命をいただく とは
こういうことか

無心で
はらぼての小魚に食らいつく
わが子の風景を眺めながら
しみじみ 思った
皆とサッカーをして遊んだ
ボールをまともに蹴ることなんて
高校の体育の授業以来のことだ

息をぜいぜい荒げながら
俺は必死に土の上を駈ける
全力疾走でボールを追う

だが日頃の運動不足 ....
あの日 僕たちは
南向きの石垣に背をもたせ
くすんだ空を見つめていた

いや 僕たちは
子供からの決別をしていたのだ
カズヤちゃんと コンちゃんと 兄にゃんと僕とで

カズヤちゃんが言 ....
さくさくと枯れ草を踏むかたわらに寝ぼけまなこの緑やわらか



晴天をながれる雲の端っこをそっと匂わせたんぽぽ揺れる




ぷらぷらと散歩日和のさかなたち
言葉は気泡、刃 ....
  宮殿の 
  立派な椅子に腰かけた 
  派手な衣装の王様の前を 


  独りの道化はニヤリ小躍りで通りすぎ 


  王様はすっぽんぽんのまま堂々と 
  ちっちゃい座椅子か ....

川底いちめんに
青白い子供たちの顔が
隙間なく敷き詰められて
にこにこ笑っている
岸辺で何かを探すように
水底を見回しているのは母親たちだ
自分の息子や娘を探しているのであろう
で ....
雨は降らなかった 猛暑だった
埃っぽい早朝だった
突然のはげしいノックの音に眼をこする
ふあい なんか事件っすかあ 立ち上がりながら
生あくびひとつ 鍵は開いてますよお
次の瞬間 ドアノ ....
電気冷蔵庫が普及し始めた頃
僕たちの生活はひもじさと同居していた
だから 冷蔵庫の中には
いつ見ても細長いノンスメル(脱臭剤)の箱と
小鉢に入った沢庵だけが入っていた
おっと忘れてはいけない ....
今何時?
そうね大体ね
待ってくれ
もう遅い

ガガガタリカ
真四角の机が僕らの明日をかき混ぜて吐き出す
ガガガタリカ
曼荼羅模様の机の上で僕らの明日が刻まれる
紫色の暗雲が立ち込め ....
アスファルトを背に仰向けに倒れると
まだじんわりと残る太陽の熱が掌へと伝播して
ざらついた小石が髪に纏わりついた
熱の匂いは潮の香り。
地平線を越えた先の白熱灯が
曇天の端を赤紫の薄闇に色づ ....
ときめく鐘 辺りに鳴り響き

ちぎれがちなウロコ雲
ピンク、パステルカラーに色づく


流れる空 流れる距離

やがて染まる ネイビーブルーに
人は、花としてつくられた。 

翼を広げる鳥の旋回する 
空が 
地上に立って見上げる人を 
咲かせよう 
咲かせようとしている 

花の顔をひらいて 
人は 
空を、見上げる。  ....
あまりよく、覚えていない

ふらふらと適当に帰りついた夜
白く重たいドアの先で
お父さんが
ガチガチに冷凍されていて
あれ、しっかり保存されていたんだ
そうドアの前の過去に
気が付つい ....
携帯電話のカメラモードを
セピアにセットして
梅雨の晴れ間の街を歩く

写り込む世界は

春まだ浅い砂浜で風に吹かれ
総てをなくしてしまったことを悟った
あの時のまま止まったように
 ....
せなかをたたかれはっとふりむくのっぺらぼう    静かにも笑い声散る花火かな メザシを食べれば
思い出す


干すばったところが
バアちゃんの手にそっくりで


この塩っ辛さは
バア様の小言にそっくりだ


それに
なんとも言えない
ほろ苦さは
バ ....
マダムヤーンは綺麗な人で
いつも小さな
花柄のブラウスを着ていた
ほんのり香る花の香水をして
静かに笑う人だった

ある日マダムヤーンのもとに
小さな蝶々がやってきた
蝶々は羽根を休め ....
雨の日の

神話は崩れ

それでもね

やめられません

勝負の世界
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた

その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする

「みんな」
そして「わたしたち ....
「あえいうえおあお」

明日はきっと雨が降るから
どこかに出かけようと思うんだ
そう遠くじゃなくて
どこか電車ですぐいけるような街へ
いつもは持たない傘を持って行くよ
君はいつも持ってる ....
東京
の近郊で

九州
出身の親に育てられた僕は

自分でも意識しないうちに
親の故郷の訛り

口にしているらしい

九州出身の妻から
指摘されて気が付いた

だとすれば ....
かたりとなる昨年の暮れから
おそらくかなしばりにあいながらみる
まつげのさきの閉じかけのまぶたが愛らしかったとか
ぬるくひかっている足の爪のはがれぐあいだとか
いつも指をうごかしている完成をみ ....
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