すべてのおすすめ
ガラス張りの冷蔵庫から
ぼんやり眺める街並みは
いつか見た夢のように
とても希薄で
行き過ぎる人影は
照りつける陽射しに
丁寧に舐め回された揚句
溶けかけている
薄いアイス ....
流れるプール
もう何周目かわからない
浮き輪に乗っかって
ぷかぷかスイスイ
ゆらゆらぐるぐる
上を見れば
塗っちゃったみたいにはじからはじまで青い
自分の流れていくのと逆に雲が流 ....
世界で最も美しいのは4度なのだそうだ
黄金比について熱心に研究しているという友人が
居酒屋で生ビールを飲みながら言っていた
モナリザの微笑みを温度で表せという問いに
4度と答えた人が統計の半数 ....
部屋のしくみ
部屋の壁に
エレベーターがある
時々音をたてて
上がったり下がったりしてる
今日は僕の階で
ドアが開いた
まだ誰も乗ってなかった
....
村のしくみ
西の空に
捨てられた村がある
誰もがそこで
暮らすことができた
今日は村長さんの
誕生日だった
まだ生まれてなかった
+
....
幼い日の
みんなの
ひとり
ひとりの
それぞれの
顔が映っている
あどけない
いろんな
表情だ
夏の
日差しにも
寒い風の中でも
みんな
まぶしく
輝いてた
....
風に吹かれ髪がひるがえる
ただ、風を受け入れる
きらめく波頭が目を奪う
ただ、光を受け入れる
潮騒と木々のざわめきが耳に届く
ただ、音を受け入れる
僕はいまここにいる
ただ、 ....
アスファルトから
腕を出して
手を振ってる
信号は
いつまでも
赤のまま
渡ることができない
懐かしい人に
手を振り返すと
それは僕ではなかった
さよならを
は ....
冷蔵庫の中を
クジラが泳ぐ
今日は朝から
ジュースが飲めない
つけあわせの菜っ葉は
鮮やかに茹で上がり
わたしは指と指の間を
紙のようなもので
切ってしまった
....
{引用=
オーデュボンの目が映した、まるで日食のように昼間を暗くするリョコウバトのその大群にも、最後の一羽にも、わたしはもう二度と会えない。
会えない。
減少する熱帯雨林の隅のほうで誰の記憶 ....
誰かが私の影を踏んだ
踏まれた私は腐(ふ)ちてゆく
底無し沼へ引きずり込まれて
だんだんと腐ちてゆく
誰に踏まれたのだろう
どうして踏まれたのだろう
....
私は友人を食べました
お腹がすいたのです
すきすぎて
すきすぎて
しかたなかったのです
私の前を友人が通りかけました
おいしそうな
おいし ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
もし貴方を手にしたら
全ての物を投げ出そう
もし貴方を手にしたら
私の全てを捧げよう
もし私を手にしたら
栄光の未来は君のもの
もし私を手にしたら
私を大切にして下さい。
もし ....
ことばは 手段
伝えるための
深夜の国道は
暗く流れて
6車線 約50メートル
渡りきるのは造作ない
遠い信号が
赤に変わった
ヘッドライトが
右へ流れた
やすやすと
....
白いりぼんが流されてゆく
美しく結ばれたままで
かわした約束が緩むとき
こわくてひっぱれなかったりぼんの先が
ゆらゆら水に揺られて流されてゆく
きれいなままで消えてゆく白 ....
東京タワーにアリさんがつまづいたらニュースでしょうか
ちっちゃな黒い一匹のアリさん
東京タワーがアリさんにつまづいたらニュースでしょうか
赤白なら今も東京一ののっぽさん
イヌも歩けば棒にあ ....
*
あの日、父さんは
僕に拳骨を一つくれた後、
西瓜を食べたいな
って、思ったら
ちゃんと言いなさいと
悲し気な顔をして
溜め息を一つついた後、空を見上げて…
確かに、
クスッと笑いを漏らして ....
会社やめようかなと思うとき
まあ
あたしはダメな女だ、と
思う。
部長の嫌みとか
年下なのに先輩の女性の
キツイもの言いとか
立ち回りも取り急ぎも
不器用な自分のこととか
....
080726
古い手紙は燃えるゴミ
新しい手紙は来ないから
Eメールのフォルダーは
後腐れ無く消去する
古い機械を粉々に
古い情報を粉々に
手品の ....
壊れてゆく世界の音に耳をかたむけながら
だいぶふくらんだお腹を撫ぜて
ロボ子さんは懐かしむように目を閉じる
かつて自分が生身の身体だった頃の
あのむせるような夏の匂いや
頬をすりぬけてゆ ....
こどもができたの
と、いうと
嘘をつけ、といわれ
生まれてきたのは正真正銘
ロボットの赤ちゃん
の、はずだったのに
人間の
あなたの赤ちゃんよ
それでも
ロボットの子供にふ ....
土が枯れ
ヒビが割れ
不毛の土地
神様の涙がでない。
あきれ返って
ものも言えない
怒る気もしない
クーラーの下
汗をかかない
水なんか幾らでもある
やたらと車に乗る
木を切 ....
乱れたシーツに
打ち上げられたのは
僕だけだった
散らばった鱗を
キレイに片付けた君は
もうコーヒーを香らせている
カーテンから漏れてくる
光の海蛇を蹴飛ばしながら ....
私はお菊人形
白い面(おもて)に紅をさした唇
長い髪を粋に結い上げ
ハイカラな着物をまとった人形
自分で動くことはできず
いつでもご主人さまの
....
汗をかいたので
洗濯して
ベランダに干す
ここは海が近いから
命の
匂いがする
書店で本を開いても
どれも白紙なので
選択は
できなかった
もう
言葉などいらな ....
小銭をじゃらじゃらさせてる
オジサンは
時代は買えないが
切符は買える
路線図に目を凝らしてる
オジサンは
時代には乗れないが
電車には乗れる
ホームの端で背中を丸める
....
車に轢かれた「ただいま」があった
この持ち主はきっと
今頃帰る家がわからなくて
公園のベンチに体育座りしているのだろう
蒸し暑いこの季節になると
「ただいま」がそこいらで車に轢かれて ....
真っ白い日向を
ひとひらの
アオスジアゲハが舞う
それは飛ぶ、というより
風に弄ばれ抗うようで
わたしの傍らを掠めたとき
小さく悲鳴が聞こえた
真夏を彩るカンナの朱や
豆の葉の ....
海の匂いって何にも似ていなくて特別
波の音って何にも似ていなくて特別
そんな特別な海に
会いに行くだけで
何か一仕事終えたなって気がする
海に行くって
コンサート会場に行くようなも ....
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