すべてのおすすめ
朝から起きられない
なんとか薬だけを飲み
また うとうとと眠る
昼近くに遅いブランチをとり
また夕方まで眠る
長い長い眠り
何日も何日も眠りの日々は続く
その眠りの中で
私 ....
たしかなことではないけれど
自分を
ここではないどこかから
ふりかえることができたなら
それはたいてい
詩になる
たしかなことではないけれど
自分が
ここではないどこかで
....
懐かしい声から
その表情が見える
突然消えたその人は
数奇な人生を送り
普通の人生では
見ることのない風景の中に生きた人
老いた目蓋の奥に
鋭い瞳を覗かせて
奥底から笑 ....
一反木綿
ブランドって何でしょう
トレンドって何でしょう
ステータスって何でしょう
セレブリティって何でしょう
誰かの視線につながれた風船になるよりも
飾り羽が多すぎて飛べ ....
子供の頃の、僕と父の写真を指差して、四歳の息子が、
「お父さんがふたりいる」と笑ってる。
それから、今の僕を指差して「お父さんが、もうひとりいる」と笑ってる。
今度は少し、不思議そうな顔を ....
ぬっぺふほふ
脂身 から にゅるんと 手と
煮凍り から ぬらりんと 足が
新月の 夜道を ぺたりぺたり 歩いて
軒下の 薄明かりに ぐんにゃり うずくまる
こらあげん の 垂れ ....
雪のひとたちが
亡くなってしまった
雪のひとの魂を
雪の中に埋めました
雪のこどもは
なぜそうするのか
雪のお母さんに聞きました
雪の中に埋めたのは
またいつか
雪に魂 ....
1月1日や
2月14日や
12月24日が言いました
すいません特別っぽい日ですいません
わたしたちなんかがいるせいで
なんかちょっとしょんぼりさせてすいません
いいんです
普通の ....
次女を塾に送って行った帰り道
エタノールの臭いを感じた妻が娘に訊く
消毒液の臭いがしない?
それを聞いた娘は心配そうな顔で
おかあさん、ダイエットしすぎ
妻がキョトンとし ....
さよならは
しずかに
すぎてゆくから
せなかを
そっとおしてほしい
そんな
さしすせそが言えなくて
ふたりは
せなかを
むけたたまま
あいしてる
いまも
うたうよ ....
破れた くびたびれた足袋 繕いつつ また度々旅に出る足
寂れた ラブレター 届かないほど 奥の細道の奥の奥へ
遠くへ オーボエ 大声 遠吠え
雪山に当たって吹き下ろすから
シャッター閉めて ....
私たちには
自由がないから
私たちはそれぞれ
素敵なものを提出しあい
小さな箱庭を
作った
透き通る石や
カラフルな千代紙や
マフラーからほどけた
大好きな色の毛糸や
私 ....
次女は毎朝
長女は毎晩
鈴を鳴らして
仏壇に礼拝する
その度に彼女たちは声にならない声で
何事かをブツブツと話していて
何を話しているんだい/と、尋ねてみても
えー秘密/ ....
ほっと一息くつろぐ
ちょっと荷を下ろして
人に寄りかかる
支えてくれる。
にこにこ笑って
答えてくれる。
なんで貴方は
そんなに優しいの
皆大変なんだよね
分かっている
で ....
ほんとうかどうか
知らないけれど
詩の勉強会
みたいなところで
こんなふうに言われるらしいね
悲しいだとか
せつないとかの
感情を指すことばを使わず
あなたの気持ちを伝えてご ....
夜ちゃんと
手をつないで歩いていた
夜ちゃんは
口を大きくあけたまま
何か話しかけるけど
その口は月なので
僕はその光をからだじゅうに
浴びている
夜ちゃんが
きゅうに無口 ....
コロンと鳴った 耳の下の方で聞いた
なんで気が付かなかったんだろう
ハネた髪の毛が鏡に映ったりして
食パンの焼ける匂いを嗅いだりして
振り向かなかった 振り向かなかったんだ
行ってき ....
箱庭の蓋が
ぴったり閉まらない
出会った頃は
普通の箱と蓋だったのに
一緒に暮らしてると
角が立ってしまうこともあるから
そのせいかもしれないわねと
妻はまるで
人ごとのよう ....
望みを下さい。
希望を下さい。
夢を下さい。
自慢させて下さい。
無視しないで下さい。
大切にして下さい。
話を聞いて下さい。
笑って下さい。
愛を下さい。
有名になって下さ ....
ろくろ首
それにしてもあなたを待ちすぎました
わたしの断ち切れぬ想いはあの日の
あなたのうしろ姿に縋りついたままで
身体だけが狂おしく軋みながら
いくつもの夜を越えて来たので ....
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから
やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
坊主が屏風に上手に坊主の絵
を描いているところに
東京都特許許可局
の役人が訪ねて来て
裏庭には二羽庭には二羽ニワトリがいる
と教えてくれたので
青巻紙赤巻紙黄巻紙
を携えて駆けつけ ....
2009年1月1日
8時59分60秒
僕は一体何をしているだろう?
ある人は笑っているだろう
ある人は喜んでいるだろう
ある人はお酒でも飲んでいるんだろう
ある人は ....
Thinking time.
悩んで、迷って
成長する
でもね
YESやNOで
分けられない事がある
証拠や根拠が
なくても、
それだけが
全てではないのです。
物より
....
ごめん
いま
ちょっと
さびしい
ぼくは
いつだって
ずるいやつ だ
いつだって
そういって
にげて
にげて
けっきょく
なんに
なるの
こ ....
女の子は春に生まれました
桃色の小さな小さな靴が贈られました
風が若葉や清楚な花の匂いを運んできました
女の子の母親は六月がいっとう好きでした
雨が降ると木々や庭の草たちが
歌を歌うから ....
星降る夜にちいさな灯りがぽつん
ちいさなお家で
窓の外にも聞こえてくる
若夫婦が楽しそうにおしゃべりしているよ
プチプチリルレ
プチリルレ
ここは とってもおいしい と
評判のち ....
天を見上げると
白い花
なぜ泣いているのか
菊の花
地を見ると
黒い土
なぜ泣いているのか
花吹雪
雪は降りぬ
自然に溶け込み
体を白く染めぬく
楽しく回って踊る。
....
シロ、
あのひとはいつも
わたしをシロってよぶ
ほんとうのなまえじゃない
なんでかはしらない
いつのひだったか
わすれてしまったけど
なんでシロってよぶの、
そうき ....
キコ、あの頃みたいに
カッターナイフ遊びがしたいよ
廃校の裏に捨てられた注射器に
ためた雨水を夕陽に透かせば
遠い異国へ運んでくれる
琥珀色のモルヒネになったね
キコ、無人 ....
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