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とけた飴の中に
蟻が一匹閉じ込められていた

綺麗にそろった六本の脚は
もう動くことはない

蟻は甘い甘い飴の中
最後を迎えるにはこれ以上ない場所で
きっと苦しみ抜いたに違 ....
蟻と会話をする少女といっても
それほど不思議な出来事ではない

むしろ日常の一部に自然と吸い込まれて
その自然ということにしっくりとくるのだった

その少女はサッカー部のマネージャーで
 ....
もうずいぶんとむかし

あなたはたしか
「砂漠のなかで金の粒をさがすようね」と言った
僕はそれはちょっと違うんじゃないかと言いそこねた

きれいな空をそのままうつしたような海の
ちょうど ....
悲しいときにうたうときがある
嬉しいときにうたうときがある

少しむかしに流行ったような歌
けしてうまくはないけれど

とどめるようになだめるように
うまくはうたえないけれど

悲し ....
明日の壁は、空のむこうにある

明日は生物の授業
動物半球と植物半球があれば
小さいながらも完全な個体が成長する
それを発見した人は誰だったろうかと思いながら
本当は生きることについて語り ....
ちっちゃなころに大切だったものが
いまになってちっぽけに思えてしまったら
きっとそれ以上に大切なものなんて見つけられない

  おもちゃ箱をひっくりかえして
  いろんな色のガラスのかけらを ....
僕のクレパスは
どうしてみんな長さがちがうのだろう
買ったときにはどれも同じ
だけどそれはあたりまえのこと
黒が一番先に短くなる
デッサンでもつかうし
影をあらわすのにもつかうし
僕は簡 ....
小さな塵が蒸気を集めて
やがて雨になっておちてくるように

僕の小さな悲しみを
あなたが優しくくるんでくれるから

ほら

こんな簡単に泣けるのを
僕は雨のせいにしている
「少しだけ泣いてもいいですか?」

あなたは細い声でささやく
そしてやっぱり止めようと
小さく肩をふるわせている

「きょうはずいぶんと湿った空です」

たしかに昼間吸い込んだ蒸気を
 ....
壊れてゆく世界の音に耳をかたむけながら
だいぶふくらんだお腹を撫ぜて
ロボ子さんは懐かしむように目を閉じる

かつて自分が生身の身体だった頃の
あのむせるような夏の匂いや
頬をすりぬけてゆ ....
昨日ひろったきれいな小石

たとえば人は
磨かれる前の宝石の原石のようだということ
未完成なままの美しさを知っているから
だからそっとしておいてください
そんな淋しさ


 ....
葉っぱの落ちた木のように

風が吹くたび
小さな声をあげている

ゆっくりと息を吐きながら
それでも溜め込んだ本音を飲み込んで

掲げた両手の先
どこまでも遠い空を眺めれば

「 ....
「先生のじゅぎょう、好きだよ」

その言葉が眩しい
たとえそれがしわくちゃの
紙切れに書かれた言葉でも

ノートの端をちぎって書いた
ひらがなばかりのその文字が
いまの僕に ....
何か大切なものを
過去に忘れてきてしまった
そんな気がする

握りしめた手の中には
小さな鍵がひとつ

それが何の鍵なのか
それも思い出せない

わからないまま街を歩いた
見覚え ....
世界があまりにひろいので
大陸のかたちをしたビスケットにして
電子レンジでチンしてやった

ひとつひとつの大陸を
口の中でかみくだいて食べた
僕はまだ日本という国しか知らない


 ....
重たい言葉を呟きながら
折った鶴はくずれた格好でした
尾なのか頭なのかわからない
二本のツノは怒っていました

指がふるえて
上手に折れないのですから仕方ありません
せめて淋しくないよう ....
仕事から帰って
明日のことを考えようとしたら

なんでだろう
涙が出てきた

明日が嫌なわけじゃない
明日があるって素晴らしいと思う

なのになんでだろう
涙が止まらない

そ ....
ぼくは泣く

涙がかわりに泣いている
泣いた涙がぼくならば
ぼくはさらさら流れてゆく
涙のように流れたぼくは
何も無かったかのように
ひどくかわいてしまうから

それが悲しくて
ま ....
ピンクのクレヨンで太陽を描いた
みさちゃんが先生に怒られてるのをみて泣いた

だってみさちゃんはピンクで太陽を描きたくて
それを怒るのは可愛そうだと思ったし
ぼくが赤のクレヨンで描いた太陽よ ....
その少年は、真昼の公園の真ん中で、手にした星座盤をくるくる回しながら、
「あれは確か、かに座の一部だから近寄ったら大きなはさみではさまれてしまうな」とか、「あれは確か、さそり座のしっぽのあたりだから ....
ときどき僕は
「やさしさってどこにあると思う?」って
生徒に聞いてみたりする

僕はにぎりしめた手を胸にあてて
コンコンとノックするようにたたく

生徒は了解したように
「胸のおくにあ ....
下を向いて歩いていたら
五月がおちていた

かたちというほどのかたちもなく
いろというほどのいろもない
けれどなんとなくそれが
五月だということは感じられた

そのままにしておくのもあ ....
「猫を探しています」

と書かれた手製のチラシが
郵便受けに入っていた

「名前 小太郎 茶虎 体重4kg」

茶虎の猫といったら
このあたりでも野良でたくさんいる
正直見つか ....
小指をなくしてしまったのと
あなたは淋しそうに言う

けれどあなたの手には
たしかに五本の指が
すらりとあって

僕からみると
ほかの指より少し短いその指は
いちばん右といちばん ....
ありふれた日常に
埋もれている特別

   ※

午後の授業
雨が降ったり止んだり
不安定な空模様

その生徒は
そんな天気に関係なく
いつも笑顔で教室にくる
だからそれがあた ....
そらの とこさんのベンジャミンさんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「蟻」- ベンジャ ...自由詩6*09-5-27
「蟻と会話をする少女のお話」- ベンジャ ...自由詩6*09-4-28
「やさしい唄をきかせてください」- ベンジャ ...自由詩12*09-4-21
「きれいに歌をうたうとき」- ベンジャ ...自由詩8*08-11-24
「明日の壁は、空のむこうにある」- ベンジャ ...自由詩4*08-9-22
「宝石」- ベンジャ ...自由詩7*08-8-15
「クレパスで同じ空を描きたい」- ベンジャ ...自由詩4*08-8-14
「優しい雨」- ベンジャ ...自由詩18*08-8-7
「水のための夜」- ベンジャ ...自由詩6*08-8-4
「妊婦のロボ子さん」- ベンジャ ...自由詩4*08-7-26
「嘘かもしれない」- ベンジャ ...自由詩7*08-7-24
「背伸びする」_(心象スケッチ)- ベンジャ ...自由詩4*08-7-19
「何かが眩しくみえるとき」- ベンジャ ...自由詩5*08-7-8
「コインロッカー」- ベンジャ ...自由詩7*08-7-5
「ビスケットボール」- ベンジャ ...自由詩6*08-6-25
「折り紙」- ベンジャ ...自由詩7*08-6-18
「明日のこと」- ベンジャ ...自由詩3*08-6-14
「ぼくは泣く」_(心象スケッチ)- ベンジャ ...自由詩5*08-6-9
「模索する太陽_(みさちゃんとぼくの色)」- ベンジャ ...自由詩16+*08-5-31
「少年と星座盤」_(物語・・・短編)- ベンジャ ...散文(批評 ...7*08-5-26
「やさしさのあるところ」- ベンジャ ...自由詩8*08-5-24
「ひろった五月」- ベンジャ ...自由詩11*08-5-20
「猫を探しています」- ベンジャ ...自由詩11*08-5-5
「なくした小指」- ベンジャ ...自由詩10*08-5-3
「あたりまえだと思っちゃいけない」- ベンジャ ...自由詩8*08-4-4

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