私の知らないトコロで
また一つ傷が増える。
私は傷つかないまま
誰かの傷がまた増える。
それは私がつけた傷。
無意識のうちにつけた傷。
私がそれに気 ....
ある日森にお散歩に行きました。
アリ塚がありました。
大きい塚でした。
赤い毒キノコがありました。
木苺を食べました。
種が沢山ありました。
道に迷いました。
しかし方向感覚の良さで ....
空が白んできたら、無数の糸がぼくをからめて
息苦しいくらいに涙を流させるんだ。
いつか、病室でママが言ってた。
「あなたは、恋人にあげた甘い蜜のかけらなの」
甘い、甘い、あまい めま ....
怒っている人が怒っていない人に怒っている。
自分では理論的に言っているつもりが、本末転倒支離滅裂。
目からは理性が失われ、口は尖り、顔は紅潮し
鼻の穴は広がっている。
変な顔
....
柵の向こう側で綺麗に横たわっていてよ
低速の音
よぎり始めて、永く続いて、
何事もなかったように
始まってもいなかったみたいな
気が狂ったような風の中では
見えるもの全部が ....
いつものように 車に乗り込み アナタを見る
横顔。
そう アナタはいつも 横顔。
時折 コチラを見て 目を見て話をしてくれるけど
主に 横顔。
嫌いじゃないよ?
だって 凛々しいもの
....
指は
君の小さな生き物だった
どこか
遠い異国の調べみたいに
時おり
弾むように歌ってた
君が僕の指を食む
君が
少し子供にかえる
遠いね、
とだ ....
犯した過ち数知れず
されど今更如何にもならぬ
二度と過ち繰り返すまい
幾度と自戒し
新しき日々を積み重ぬ
ねぇ、なんで生きていなきゃいけないの??
─それはね、君という人 が、この世に必要だか らだよ。
でもさ、人はいっぱいいるよ??
僕1人消えたって、他にいっぱい人いるじゃん
…僕、 ....
わたくしは
懐古主義者なので
懐中時計を買った
てのひらに
すっぽり収まる大きさで
二時の後に
六時になったりする
マイペースな銀鼠色の
愛いやつである
『浪漫主義』を
『ろま ....
「私のこと好き?」
「別に…嫌いじゃない」
照れ屋な俺の精一杯の愛の言葉
お前に優しく伝わってくれればいいんだけど
ねぇ、先生?
2週間頑張ったらご褒美をちょうだい
なにも大そうなモノじゃなくていいの
危ない!ってアタシの腕を掴んだ時
気付いたでしょ?
ちゃんと掴んでてくれなくちゃ
アタシ消 ....
誰かが どこかで
どこかの画面越しに見てくれて、いる
時として
リアルに 勝る
もの
弁当箱を開けたら
いつも陽気に やぁ、と言ってくれる卵焼きが
いなくなっていて かわりに
君が嫌いと言っていた
春菊の白あえが 乱雑に押し込まれていた
ぼくは 胸の奥がしゅうん、となったけれ ....
ゆるされない原色のスニーカーをはいて/きみは逃げる。
閉ざされた校門をぎい、と引いて赤錆にふれる。
チャイムを背中に叩きつけられながらそうっとすきまを抜けていく。
クラスメイトの顔はも ....
体の傷は
ばんそうこう貼って
内側に押し込めてると
湿ってなかなか治りにくい
さらけ出してしまえば
乾燥して早く治る
心の傷も
案外お ....
しかけ時計の
音に捕らえられ
あなたは変わらない
からだつきのまま
水槽の底に沈む要領で
とても上手に
さかなになる
ごはんよと
声がすると
浮上して
返事をする
水槽をしまう
....
生きている限り湧き上がってくる
もう駄目だと諦めかけた思いを
励ますかのように
五体のひとつひとつが
出口を求めようとさざめきだすのを知覚し
もうひとつの確かな意思
本能だとか呼ば ....
さっきから失敗してばかりだ
ついてないな、じゃ終われない
カウントし始めている時計に
かける言葉はないだろう
英語ができない
日本語もできない
うまくなんてできない
なにもで ....
おはよう またね
そんな何気ない言葉さへ
言い出せなくて
いつも飲み込んで胸焼けしてる
好きだよ 愛してる
なんて夢のまた夢
あんまり遠すぎて
一瞬よぎるだけで妄想族
....
ぼくは潜水艦になる
押し入れのハッチを閉じて
ながいながい航海にでる
まっ暗の中のひとすじの光は
消えることのない流れ星
ぼくは潜水艦になる
黒いごみ袋に入って
埠頭についたパパとマ ....
汗にまみれた身体
―働いた後によくもまた
「やってられないよ」
誰かが言った
湧いてくる感傷の ツケを払うとでもいうのか
暮らしとともに流れる汗は
皆口々に言っているよ
身体 ....
精神だってそうなんだから
いのちも病にかかる
見えないものだって
病にかかるに決まっている
立川駅南側の商店街が
藍色のなかだった
硬質の光を放っている
....
ある人達は夜上を向く
昨日の月を何人見ただろう
今日の月は何人見るだろう
隣の人のアゴを持ち上げたら
一人増えた
歳月を経ても
自ら輝いてる訳じゃないのに
枯れる事なく視線を集める私 ....
貰い物の口紅で
ガラスに金魚を描きました
光の中で
ゆらゆらと
寂しく泳ぐ
観賞用の
赤い小魚
赤く染まった唇に
あなたがそっと触れるたび
思い出そうと思います
先取りされる前に
先取りされる前に
殺られる前に殺れ
!
ベルトコンベヤーの上
次から次へと流れてく
端から潰してく
!
108号室で起きた
殺人事件の犯人は
自分 ....
思えばあの時
あんたと出会ってなければ
きっとあたし
今でも独り
素敵な出逢い
夢見ていたわ
めぐりめぐって
めぐりあい
めかしたあたしは
今 あんたの腕の中
あれか ....
幸福の置き場所は
海のにおいのするところ
大事な言葉が生まれたところ
風がとおりすぎて
小さな駅におりると
細い道の向こうがわ
手に持った荷物の
不安定な重さが
私であることの証
....
切符を握った手が濡れてきたから
てのひらを上に向けて解放してやった
そうしたら切符は川になって
行き先はすっかり見えなくなっていた
川は
僕だけが感じる速度で流れ
薬指、から滝 ....
秋、
そのつぎの
ひめくり
菱形がつらなって
つかめない
光のドロップ
ひらきっぱなしの
本の表面に
ゆらめいて
今
今が
かたむいてゆく
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