壊れた空には傷痕ひとつ。
草にまみれて手を伸ばし、
嘘ぶく風が吹こうとも、
夢の切れ端 溶けてはなるまい。
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あばらの浮いたこの体
流 ....
雲間から
虹の手が
世界にのびてくる
わたしは
君の手を
掴もうと
空に手をのばす
だけど
意地悪な風が
わたしの手を
かきけしていく
軈て
....
わかれ ちぎれる 雲間を
縫いとじてゆく聖歌の雨だ
みんなして一斉に生誕をやりなおす
後ろ向きな朝が明けた
ルリラウラ ウルトゥルル
産声が湿り積乱し 大空をくるんで遮ってゆく
きっと ....
繋がって
また
諦めた
歯がゆさで
ワンマン電車が走っていく
わたしの
肯定を知りたい
たくさんの競争心を
おぼえたふりをしていたらしい
甘やかされている時間にはふと
だれ ....
さ。く。ら。ち。る。ち。る。
さ。く。ら。ち。る。
文字は花びら、桜散る。
て。ん。て。ん。て。ん。て。ん。
転々と渡り暮らした町々の
別れの記憶に桜散る。
....
昨日が、夜の中で解体されていく
肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る
わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
....
きみが帰ってこないあの日から
砂時計の砂はさかさまにこぼれて、こぼれて、
しだいに、ちいさな子供になってしまう、夜
遠くで、つぶやくきみの言葉が、わたしの名前だといい
そんなふうにして ....
ミモザの下でキミを待つ、キミを待つ。
雨は銀灰
傘を打つ音、なる、なる、なる。
ちりちり りりり 燃える線香花火。
さわさわ さわわ ざわめく拍手。
ぽんぽろ ぽろろん ....
{引用=
どんなことばも拒絶して、きみは一心に運命の壁を叩いている。その運命の意味 をきみは知らない。だが、きみの心は叩くことを命じる。それが、心の意味であるかのように。
悲劇はいつも ....
夏の午後 影は濃く
姿勢の正しいあなた
まっすぐにねむる
貝殻のボタン
ひとつ失ったまま
くんと伸ばしたつま先から
夏が逃げてゆく
砂がはらりと落ちる
そして落ち続ける
傾い ....
あなたがそばにいるだけで
まわりが海に変わる
ほんの少しだけ夜のような
ほんの少しだけミステリアスな海
このまま小さな魚になって
あなたのまわりを漂っていたい
あなたは私の梢を揺ら ....
いつかこんな日が
来ればいいと思っていた
待っていたよ
二人が結婚したいと
言ってくれる日を
随分とお転婆で
跳ねっ返りの娘が
いつしかおしとやかになり
君を連れ ....
口語の時代はさむいがその寒さの中に ※2
自分の裸をさらすほかない時代
ひとつの恐ろしい美が生まれた ※3
三角さん、錯覚しなければ ....
バスが終点に近づくと
乗客はわたしたち家族以外に
誰一人いなかった
息子が車内をみまわして
どうしてみんな座らないの、と
終点に着くまで
そんな不思議なことを
言い続けていた
....
超えていく、
日付の壁が
目まぐるしい程に光るのを
横目で蔑みながら
今日の境目を探す
誰も、私のことを
見てはいないから
急いで履いた靴下を
だぼつく
とい ....
粘土と唾液で造られた都市から悪臭が漂って来る
鼻の詰まった男達が希望を語り合っている
酷く発達した上腕筋
愛撫はハンマーの一殴りだ
雷鳴の方角を探れ ひび割れた夜空の
耳垢だらけの男達 ....
アルカリ電池をシリアルで接続するのはやめてくれ、
理科の時間が割り振られるたび豆電球は叫び
エコ!エコ!エコロジーに気を配れ!!
孤独を測るには小学校の30センチ定規で十分、
天体望遠鏡も ....
クルクルとあなたが泣いていたから
私はあなたを放せない
クルクルとあなたが鳴いてくれるから
あなたの傍らから離れられない
小さなあなた
今日も大きな目で私を見つめて
食事をねだる
....
ブランコを漕ぐ
浮ぶ
ブランコを漕ぐ
沈む
一瞬の浮遊感
刹那の堕落
でも本当はドコへも向かってないのです。
ブランコを漕ぐ
進む
ブランコを漕ぐ
戻る
永遠の躍動感 ....
いつのまにか
空が沈黙というものに取って代わられていた。
それは風を速度規制で逮捕拘留。
それは雲を飲酒運転の罪で投獄してしまっていた。
風と雲がいなくなってしまったせいで、
鳥が飛べな ....
忙しい日々から逃れ
疲れた体を暖めようと
平日の{ルビ人気=ひとけ}少ない温泉で
頭の上にタオルをのせて
露天風呂に沈んでいた
ゆげの立ち昇る
水面に
現れては消えてゆ ....
いつも
満たされない夜を求めて
光を舞う蝶でありたい
描けるしあわせはいらない
とまりぎに 腰をかければ
灰になってしまうだけ
足跡を水にとかして
あなたからあなたへ
....
凍てつく大地を踏みしめて
真っ赤に踊る炎の火
煌めく火の粉に
ちりちり混じり
きらきら昇華していこうとする血に
誰が嫉妬を焼べたのか
ゆらゆらと揺らめき
闇夜を焦がして燃えさかる ....
{引用=死ぬ気になれば何でもできる…
それは瀬戸際に立たされたことの無い人間の言葉}
新地に棲んでいた頃の母を良く知っているといって
狐目の男が自宅を訪れることがあった
その度 ....
堅い梢から
白い気泡がぷつぷつと生まれて
二月の空に立ちのぼる
それは
君の唇からもれる
小さな温度に似ていて
僕の尾ひれを
とくん、と春へかたむける
ふらりと現れて
はな先 ....
1という字のように立ち 一という字のように眠れ 孤独な無限
0なんて発見するからいつまでも君の不在が消えないままだ
ON/OFFのあいだに広がる宇宙にて親指は祈る メール、 ....
■黄色と白の中間色に近い色の岬のさびしい聴覚の水道 - 上水道 - 中水道 - 下水道垂直に
■金色に音楽的芸術は淡黄色または淡褐色のテロにより引き起こされる災害を逃げてゆく
■熱情の試み ....
夕暮れの水位は
さざなみ
浅い胸に、さざなみ
空白で埋めたはずの
小さな画布が
素朴に満ちてゆく
海面に浮かぶ
危うい杭に
うずくまる鳥の
膨らませた羽から
零れる文字のやさし ....
シャボン玉のなかの、人気の無いシャッター通りを
くぐりながら、眠れない半分の顔は暗闇の書架を見上げた。
玩具の戦争が終わったら、地平線のうしろに隠してある
重油の山を売り払って、腹が裂け ....
薄い膜一つあるかないかで
本当は変わったりはしないよ
いいわけを探すなら,他のことにするといい
あるいは,欲しいものは,本当は
たかが0.02だか0.03だかの
向こう側にしか存在しえな ....
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