もうだいぶ短くなった青鉛筆を
今日も必死に削っている
先を細く細く尖らせなければ
気がすまないんだ
そのくせ
極度の尖端恐怖症なものだから
どれほど尖っているのか
目で見て確かめることも ....
期待していた息子が
期待を裏切り
長年の夢をぶっ壊しました
何が原因かって
それは自滅というもので
原因なんてものじゃなく
どうして ああも簡単に
棄て去ることが出来るのか
横で見 ....
(1)
明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
青空に舞い散る飛沫きらきらとプールに飛び込む少年の夏
呼んでいる遠い記憶の夏の声駆けて行きたいいつかの森へ
朝顔の花が咲いたよきれいだな笑顔も満開夏の絵日記
水平線の彼方に浮かぶ蜃気 ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
あの螢祭の夜
ミルクの河 渡った
ボクの手が少しギュッとして
キミは 痛い 顔を{ルビ顰=しか}めた
力の加減を知らない
ボクを許して
少し折れてしまった指
キラキラしながら
....
向日葵畑で飛び交う笑顔には
スイカの玉が よく似合う
夏を詠む右手に 夢から抜け出た指輪
七夕に見つめ合う男女に 嫉妬して 花枯らしても意味ないし
数多のホタルを 天の川に放つ
真っ ....
檻の中に生まれた
という罪を
優しくこね回す
拵えられた天体望遠鏡は
冷たく震えている
あの日 靴を置き忘れた星を
探している
星は望遠鏡を覗かない
目を瞑ったまま光るだけ
....
掴む
あなたをしることは
太陽をつかむよう
刻んだ空の破片を
脇に抱えて
あなたを見つめると
丘の上の鐘の音が七色に飛び散っている
あなたはいつもそこで
わたしはいつもここ ....
世界って、かなしいね
無理して笑った女は言った
彼女は最近、死を知ったらしい
雨が止まないね
呟いた言葉は雫に溶けていった
冷たいね、冷たいね
雨って、冷たいね
冷たいね、冷たいね
....
私待ちきれなかったの
あの頃の情熱はもう私にはないけれど
あの頃のときめきは
今でも私の中に生きているわ
また私の好きな季節がやって来て
あなたと出会った頃を思い出したの
鮮やかな ....
ソフトビニールのキューピー人形は
なだらかな尻を突き出して水中を探索し
ゼンマイ仕掛けの赤い鯨は
白い腹を見せて背泳ぎをする
目玉のシールが剥がれた盲いた緑の象は
水を飲み過ぎて横倒れ
....
片手くらいの
かわいい顔した手帖があって
女の子のような
詩がたくさん書き連ねていた
僕には
春の風を思わせる旋律が聞こえ
夏の陽気さを感じる水彩画でもあり
ちいさな言葉たちだが
海原 ....
おそらく灰色の 町外れの停留場は
傘の上のダンスの 懐かしい音がするので
目玉の星が キラキラ光ってしまう
セルロイドは酸性雨に弱く
ネジ式の動力で
スキップをしながら溶けそうにしてい ....
かつて国鉄全路線に乗った
作家の宮脇俊三さんはこう書いた
「何かと不満の多い人間は
一度夕張線に乗るとよいと思う
いくらかおとなしくなるに違いない」
文句のある奴は夕張へ来い
文句のある奴 ....
ブルーのタイツの傷跡に
流星のようなひかりが宿る
夢に見た女の子のうなじに触れる
超新星爆発、
その スカートのなか見せてよ
まつげに触れると空気が震え
清潔すぎる白いブラウスもゆ ....
自分よ きみ 恋にへこたれるな
こころざわめく思い もう すぐにでも遠くに行ってしまいそう
好きだってことさえも言えぬまま
旅立つことを見送るの?
そのまま失うことに慣れていくの?
....
白いペプシ飲みごっくりな君の売れしそうな泣き顔
ヤフオクで1000万円!!!!!!
買いたい
飼いたい
飼われたい
次の日、君と黄色いカシスオレンジ飲んでたら、かわいらしいゴキブリあらわる
....
桜と梅が いっしょに咲いた
ばあちゃんが桜を見て
うめざくら
なんていったので
思わずぷっと吹き出した
笑ったあとで悲しくなった
あなたにも
いつか
桜も梅も
スイセンもヒヤシン ....
夜は僕の肌をなめまわし
僕の知らない僕のこころと密会する
君は君の手垢をつけ
僕は僕の手垢を付けていく
君と僕の手垢が重なることはない
見つめあうことのないふたり
洗剤は合 ....
ソメイヨシノが いっせいに咲かなくなる
春が やってきてしまった
陽炎の丘を歩く少女 青空色のブラウス
液晶の中を舞うハイビジョンの花びらが
ひらひらと ひらひらと
....
創書日和「月」 往還
月に巨大な鏡を置いて望遠鏡で覗いてみた
レンズの視界のなかで望遠鏡を覗きながら手をふるのは
自分がするよりも少し遅れて手をふる
2.56秒前の私
無数の少しずつ ....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
いつかのふゆのはじまりの日
一人 漂うような面持ちの彼女は
白く塗られた、どこでもない場所に立ち
満月の空が落ちるのを、待っていた。
(雪が、
(降っていたか ....
あたたかな
あたたかな皮膚を
思う
なんだか涙がこぼれてくる
いのち
ってものを
意識にうつす
ゆっくりと、
ゆっくりと、
つぶやくような
そんな言葉で
....
幾度も、なんども
夢から覚めると右手にアクセルの感覚と
四天王寺から日本橋へ車線変更
遠く、象の鳴き声を聞くのです
松屋町筋へ曲がるという
思い出のような物語はいりません
ビル風に吹かれて ....
わたしの
I love you
には
こころがこもってないよ
だから
コーヒーを
トーストにもしちゃう
りんごのパンが焼きたいとか
イーストフードから金属を抜いて
銀のスプンを接 ....
可哀(カワイ)い、レンズ。
円筒の、真下、砂粒の上で微生物をあやす。
むすんでひらいて其の空は、押し潰された甲虫に似ていた。(私は多分に嫌悪しています)
網膜なんて外れていても、 ....
土曜の夜、繁華街と呼ばれる町を僕は一人歩く。
ネオンが眩しいその町には欲望が渦巻く。
その欲望を避けるように、下を向き僕は歩き続ける。
その先に何があるのか?
僕は知っている。
....
漆黒の闇の中で
何処までも願うの
此処にまだ、この体、あるように
真っ白な雲抜けて
気まぐれな嵐に遭遇
祈りじゃなくていい、
此処にまだ、この心、あるように
水面を走り抜ける ....
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