ただそらだけがある
ひとも
たてものも
どうしょくぶつも
わすれて
すみずみまで
ひろがっている
きおくのそとがわから
ことりがいちわきて
はばたこうとすると
そらはきように
み ....
誰にも使われなくなった鉄棒は
鉄棒自身が自分の目的を忘れていた
そして自分のためにだけに吹く風を
ずっと待つようになった
けれども風は鉄棒を無視するかのように
通り抜けてゆくだけだった
そ ....
可愛い あなたのために 歌を作ろう
可愛い あなたのために 歌を唄おう
夢の中でぐらい 笑顔を見せてよ
夢の中でぐらい 抱きしめさせてよ
....
学習塾に行く道で
おばあちゃんが一人で野菜を売っていた
何も言わずに通り過ぎようとしたら
どこへ行くんだね
と話しかけてきた
塾と答えると
そうかい偉いねぇ
今の子達は大変だねぇ
せっ ....
まっ赤で
おおきな歌に
くだかれた夕暮れの
かけらをよせあつめて
ぼくはトルソーを
つくった
奄美の島ざらめを
たくさん、うみにながしたら
おおきな涙に ....
よくできてるね
問題を解けばほとんど正解だった
よくできてるね
この言葉が嫌いだった
よくできる生徒で終わってしまうのが
納得できなかった
私は何もしていない
私は何もできていな ....
貴方はとても大きくて
私は潰れてしまいそう
貴方はとても温かくて
私は燃え尽きてしまいそう
貴方はとても眩しくて
私は消えてしまいそう
それでもずっと傍に居たいよ
....
鬼の島に住む鬼は
毎日生活を送っている
朝起きると少し不機嫌で
中には朝から元気な鬼もいるが
多くの鬼は低血圧で
みんな朝ごはんはほどほどにしか食べない
ある鬼は会社に出か ....
微かに血の色を混ぜた
純白の火照り。
月光を浴びた濃淡の起伏が、
永くしずかに波打つ夜
幾重にも重なりあう
厳かな山脈を流離う爛漫、
滑り落ちる霞のごとく
裾野へ降りて散る花、死、花 ....
恋をしたその帰り道
商店街で見つけたコロッケパン
食べながら歩いて家に着く
どんな味だったのか忘れたけれど
胸がいっぱいだったと思う
デートをしたその帰り道
またコロッケパンを買って
....
私は私なので
私にしかつくれない詩があるはず
けれども
その言葉が見つからなくて
いつもずっと探してる
私は私なのだから
私にしか歩けない道があるはず
けれども
その道に辿りつけな ....
最寄り駅にあるキヨスクでは
店員のおばちゃんが詩集を売っている
おばちゃんの書いた詩や
駅員の書いた詩や
ホームの柱に落書きされていた誰かの詩が
そこには載っている
地域住民の出した詩 ....
どんぐり先生は、生徒の半数、つまり23名を機関銃で打ち抜きました。
瞬間に、
画鋲でとめてある新春の文字に鮮やかな朱が映し出されました。
ある子は頭が飛んでいました。
ある子は悶えていまし ....
地下の中で入学式が行なわれている
これから一人前の石になるために
小さな石たちがコロコロと
地面の中を転がってくる
周りの大きな石たちが大きな拍手で
彼らを迎えている
巨大な石の挨拶は退屈 ....
晴れた日に
ひばりの鳴き声を聞きながら
地雷を踏んで遊ぶ
僕らはまだ
子供のまま
誰が一番遠くまで脚を飛ばせるか
競い合って
ひばりの鳴き声を聞きながら
でも、もうちゃんは間違えて
....
花粉症で辛い。大丈夫?
杉花粉が憎い、、、 杉良太郎まで憎い今日このごろ。
ピーコの相方までも 憎い今日この頃・・・
なにもかも投げ棄てろ
頭振って狂え
人でも殺しそうな目で睨め
そしてグチャグチャに高笑いをすればいい
そうすれば気でも狂ったように見えるだろ?
見える見える
見えるものは
本物さ
....
潮の闇
せまり来る
夜の底は
白く輝く
繭があるから
微笑みの絶えない
静かな 沈んだ 夜
離脱した 魂は
深海に 浮遊して
消えては 灯り
微笑みは 光
沈 ....
終わっちまうんだよ
俺たち
灰になって
煙に、なって
空に紛れて
大気に混じったら
あの子の肺の中へも行けるだろうか
もちろんその子が、まだ生きていればの話だけどね
なんだか限 ....
いつでも不安な保安官
銃でぱんぱん撃ちまくる
悪党がいれば悪党を撃ち
善人がいれば善人を撃つ
ぱあんぱぱんと撃ちまくる
おかげでいつもひとりぼっち
こちら孤独なビリー・ザ・キッド
....
プラットフォームのうえで
学生が夕焼けにさよならしてる
桜色の空の真ん中では
ぐるぐるトンビが廻ってる
ぼくは君がくれた
読みかけの詩集を閉じて
琵琶湖と比 ....
カラスは春の雨に打たれて
やがて自分に襲いかかる
恐怖を感じとったのだろうか
カラスの体は白くなっていった
ずっと遠い空を見つめたまま
ほとんど動かない
自分の体の色が変わっていくのを
....
暗闇に置いてきた
僕は脆く
崩れ落ちて
反響に似た響きで
誰かの声が
木霊している
あの街で見掛けた
黄昏時のカフェからの
芳しい香りよりは
(分かりきった事だが)
暗いもの ....
メガネをはずした
わたしの素顔
おとこのひとにはじめて見せた
胸ボタンの間にネクタイを押し込め
腕まくりした。あなたは
同僚を叱咤激励して
そんな。あなたに恋焦がれていた
それで ....
?.
木曜日に最後の晩餐をして
金曜日に くちづけられて
磔にされて 血を流して 死んで
三日後に もう一度生まれる
手のひらには穴が開いたままで ....
春の夜の公園は寒かった
暖かい陽射しに守られていた時は
ベンチに老人が座り
子どもたちが走り回って
木々も上へ上へと伸びていた
そこには春の温もりが広がっていた
日が暮れるとともに
公園 ....
都会で生き抜く鳩たちは
巣をつくるための枯れ枝を失い
マンションに住むようになった
冷暖房完備でオートロック
防音設備までも充実している
食料は近くのコンビニで二十四時間
夜目が利かなくて ....
カーテンはオレンジ 空はコバルト 嘘はムラサキ
愛は何色? 恋は何色? 君は何色?
木漏れ日の中を 電車が走っていく
季節のトンネルを抜けて 現実が覚めていく
脳裏 ....
彼の乗った船が エーゲ海で消えた
滅多にあることでも ない
彼の乗った船が エーゲ海で消えた
遠州浜の海岸線は 遠い砂浜
波に運ばれる 白い砂と 生き物 ....
ある学習塾の学生講師は理想に燃えていた
自分の抱いた教育を実践しようと
会社で用意した教材は一切使わない
会社に残り家でも考え
時には大学の講義も放棄して
自分で作成したプリントを配っては
....
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