ひとりの少年が
壁をつたうパイプの上を
猿の手つきでのぼってる
壁の頂で少年は
( 見ざる・言わざる・聞かざる )
のおどけたそぶり
次の瞬間
頂から
両腕ひろ ....
営業はしているけれど
従業員のいない旅館の大広間で
卵かけご飯を食べていた
お箸と茶わんがかちゃかちゃ鳴っていた
とおい処にちかみちがあって
ちかみちはみちなりを少し折り曲げている
み ....
ブリキのおもちゃのような観覧車には
昭和の絵本の動物たち。
ぼくたちは運よくパンダの箱に乗ることができた。
小学生の頃亡くなったきみのお母さんが下にいて
きみの左手はぼくの手を握り
ぼく ....
俺をほっといてくれ
そっとしといてくれ
助けなど要らない
その心無い同情が俺を傷付けるのだ
分かるだろう?
簡単な事だ
昔は良かったなんて
言いたくないんだ
これで良か ....
少年は必死になって
学校から出された計算練習を
こなしていた
その数に何の意味があるのか
少年にとって関係のないことだった
この宿題を終わらせて
遊びに行くことの方が大切だった
仲間とと ....
遠く離れて 一人でいるとき
僕が何をしているかと言えば
君と同じように
起きて ご飯を食べて 仕事をして 休んで 勉強をして
ピアノも弾いたりして パソコンにも向かったりしてるのだけれど
....
ぼくの前にぼくが歩いている
ぼくの前のぼくはぼくに気がつかない
ひたすら前を向いて歩いている
声をかけようかと迷ったけれど
なぜか怖くなって
そのまま後ろを歩いた
ぼくの前のぼくは転がって ....
3月10日に歌った「巣立ちの歌」
たくさんの泣き声の中、わたしは泣かずに最後まで歌った
以来、あの歌がきこえると、涙ぐむわたしがいる
すきな人を見た、最後の日 ....
はるは蝶とささやきあい
なつには蝉とうたいあい
あきはむしとなぐさめあい
ふゆにはみみずと遊びあい
風とは笑顔でダンスしあい
光とはすなおに握手しあい
雨とは ....
目を閉じると
ざわざわとした瞼の光がある
生き死にとは関わりのない所で
夜に終わっている
大変な引力で
言葉が土に還っていく
無音とはそういったもので
雪でも降ったりするんだろうか
....
山の中の坂道に出来た町のなかで一人だった
夜
五年も前
五年も経ってない夜
秋
マスターがアブラムシと言い張る茶羽ゴキブリだらけの木造りの飲み屋
別名だとはわかるけ ....
勇気を失ったサルたちは
木に登ることを放棄して
地面に生きることを選択した
彼らは器用にも後ろ足だけで移動した
自分の体以外にも身につけるものを生み出し
敵から身を守る時は体を使うのではなく ....
僕らはただの同級生
それ以上でもそれ以下でもない
あと3回チャイムが鳴ったら
きっともう二度と会う事は無い
サッカー部に入ったきっかけは
君がマネージャーをやっていたから
....
ゼップ・マイヤーと
口にした僕に、
「ああ、アンツィングの猫ね」
と君が応えた日
僕の心は、
君に
フィスティングされた
腐臭、思わず溜息が漏れる。
ビリヂガ バイゾン d-UST f-UCK
スラスラホドケルヘイホウコンカラモトメラレルモンダイノカイ
「巻き戻し」「プログラム再生」
....
港にしずむ
真っ赤な夕日が
君を乗せた船を
遠くに運ぶ
さよならさえ言わず
言葉さえかわさず
からんだ糸を
ふち切るように
水面に映る
真っ赤な夕日に
....
大空に太陽が咲き
夜空には月が舞う
いつでも忘れない
いつまでも忘れない
この体を友に東へ西へ
もう君は忘れただろうか
春を彩る桃色の中を
二人片寄せ歩いた道を
....
携帯電話が記憶している君との思い出が
時間とともにどうでもいいメールと一緒になって消えていく
今日もひとつ自動的に消えていく
明日もひとつ自動的に消えていく
そのうち全部消えてなくなっ ....
今起きている現実は
収束と発散が同時に行なわれ
ともに引き付けあいながら
バランスを保っている
心の中もまた
新たなる躍動と既存への安堵を
同時に満たそうとしながら
均衡を保ち続けようと ....
木漏れ日の降り注ぐ駅前の並木道で
信号待ちをしている君を見かけた
髪型と服装以外何も変わっていない君
懐かしい気持ちが風に乗って蘇る
今なら気兼ねなく話せると思い
君の元へ駆け ....
ぼくは今
2つの分かれ道の前に立っている
1つは水へ
1つは土へ
水は乾いた心に潤いと安らぎを与え
今まで辿ってきた道の
過去の事実と思い出を語りだす
土は浮いた心に土台と勇 ....
嫌になるときだってあるよ
そう言うと
友だちは笑顔でうなづく
さほど広く無い部屋に
ふたつ机を並べ
四十六時中
お互いの気配に触れ合って過ごす
それでも机と机を隔てる
背の低い ....
その鏡を見ても
その鏡は何も映さなかった
鏡から離れて
鏡が見えなくなるとき
その鏡は映したものを見せるという
しかもそれは映した過去ではなく
今そのものを映し出す
鏡が映した姿を見たも ....
確かあれは華の咲く頃
夢も醒めてしまうような青の中から
僕らは最期の空を網膜に焼き付ける暇すら なくして
空虚な 其処 に
放り出されたのでした
――虹は失せたのでせうか…
君はそう問うたが
僕の ....
黄色い世界を
歩きつづけていたら
血が滴り落ち
気づくと
緑の世界へ来ていた
緑の世界で
恋をしてると
恥ずかしくなって
赤い世界へ来ていた
赤い世界の中に
階段をつくって ....
ある日からだった
鳥たちがいっせいに地下を飛ぶようになった
空を捨てて森を捨てて
鳥たちは土の中へと潜っていった
地上には鳥の姿は見られなくなった
人間は鳥の居場所を探したが
かなり深くま ....
まるで隠れるような三月
全てを終わらせた昨日から
跳ねるように帰宅する君たち
その隣の景色が輪になっていく
循環する道程を真っ直ぐだと
いつまでも信じているものだから
中空に飛ぶ鳥の
....
日が明るく見通せるから明日というけれど
何も見えないからこそ明日なのかもれない
日が今だから今日というけれど
何もしていなければ昨日と同じかもしれない
今日を大切にするということは
昨日の自 ....
眼下にひろがる
地道な星雲のような光は
夜の化学工場だった
下請けの金策のゆきづまりを
昼すぎに聞き
最終の列車にのりこんでいた
眼下にひろがる
地道 ....
あのさ、その人のことを考えると
心がきゅーっと痛くなって
顔が赤くなっちゃって、苦しい幸せに襲われるんだ。
―これは、なに?この感情は、なに?
「それは恋だね」
えっ ....
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