空の草原を
風がそっと撫でてゆく
空が左から右へ波打つ
その波を追いかけて
鳥が飛んでゆく
今日の草原は
青に満ちている
草原からの潤いは
地上の緑にとって
かけがえのない
命の源 ....
ああ あれは三回目の宇宙が年老い
エントロピーが増大して
輝く 銀河さえ少なく
全てが けだるい
灰色に覆われようとしていた・・・
二回目の時も同じだったのだろう
宇宙銀河団連盟 ....
いつもの時間に起きて
いつもの電車に乗って
いつもの決められた勉強をして
いつもの電車に乗って帰る
いつもの時間に
いつものことをする
何の変化もないように見えて
これは大変なことを ....
手が届かないというから
かわりに蛍光灯を換えてあげた
堅くて開かないというから
かわりにフタを開けてあげた
重くて動かないというから
かわりにソファーを運んであげた
うまく出来 ....
冥王星の外側に
準惑星が発見され
エリスと名づけられた
ギリシア神話の不和と争いの神なそうな
結婚式に招待されない腹いせに
「最も美しい女神に」と書かれた
黄金の林檎を宴の席に投げ ....
素面のふりした大酒のみの{ルビ商人=けちんぼ}たちが
貧相で乱れた俺の姿を
{ルビ無料=ただ}で否定するならば
吹笑するより他にない
ケララ ケラケラ ケケラララ
聖徒を気取った薄学 ....
グラスが傾いて
傾いたグラスが床に落ちる
テーブルから床に落ちるまで
床に落ちるまでの一瞬間に
夜はその牙に磨きをかける
夜はその牙に磨きをかける
食用アスパラガスを添えたサラダ
が ....
炎は燃えたまま凍っていた
寒さが突然とやってきて
熱い炎を丸ごと凍らせたのだ
絶えず形の定まらない炎は
この冷たさに固定された
動こうとする意志を持ち続けたまま
静止している
その世界で ....
骨に染み入る 発声音
旭日を呼び込む 題目で
冥王星の領域を侵している
種痘の接種をするようにだ
惑星の司る 過去
核 ジェノサイドの無化を試み
惑星に題目を染み込ませ
鉄 ....
空の中を
風が手紙を配達する
何も変わらないけれど
安らぎでいっぱいになる
山の中を
風が手紙を配達する
何も書かれていないけれど
緑の音でいっぱいになる
川辺の中を
風が手 ....
溢れでるものが 涙だけならば
錆びたナイフで故意に 傷つけたりしない
優しい感触で こぼれ落ちるなら
汚れた手を翳して 罪を重ねたりしない
ときどきは 昔のように あなたを想ってる
....
この太陽系
惑星が司る
それぞれの表情
惑星の発見は
人類の新たな可能性を示す
同時に悪しき
カルマの噴出になることもあり得る
世の占星術たちは
惑星の発見と同時に
その時代 ....
夏はまっすぐだ
降り注ぐ光や
伸びでくる枝など
何から何まで直線で
それでいてどこか
やわらかい
まっすぐな夏は
どこもかしこも元気で
隙間があれば
そこは自分の場所だと
我先にと ....
しきりに蝉が鳴く中で
曲がった坂道を
ようやく下ってゆくと
夏を渡る大きな橋がある
ふと橋から見下ろせば
ずっと下に川が流れている
手すりもないまま
幅狭くまっすぐに
ずっと続いている ....
曇った空の中で
光を探したけれど
どこにも見当たらず
心の中までもが
曇り始める
花も下を向き
自分もどこなくうなだれる
アスファルトの道が重い
自分が重いのかもしれない
進む道は常 ....
ブルース聴かせて
友達がそう言ったのはいつだったろう
その夜に僕たちは並んで写真を撮った
この町を出ていくと聞いてから
僕は戸棚を漁って古いアルバムを捜しているのだが
少し ....
幸福な女優は、金持ちの男を好んだ。
或る日のことである。
彼女は都内の高級ホテルで、大富豪のF氏と寝ようと試みた。
F氏は、83才。無論、機能しなかった。
―夜が明けた。
それ以降、彼女 ....
意味はと聞かれても
答えられないけれど
「す」という響きは
なんだか心地よい
心に角が生まれた時
「す」という音は
角を滑らかにしてくれる
「ふう」というため息よりも
言い始めに肩があ ....
南風に乗って、夏が
駆け込んできた
いつだったか あなたは
疑いなく寄せるそれを
レモンの光、と呼んで
指先で掬い上げて口付けをした
透明な時軸につかまって、僕は
ひとま ....
「 みなさ〜ん
ぼくのあとについてくると
穴に落ちますよ〜 」
背後から
ぞろぞろと
杖をつくお爺ちゃんや
車椅子をこぐお婆ちゃんが
頼りない
ぼく ....
宇宙の理法は『善』なので
再度 ご確認願います。
宇宙の理法は 煎じ詰めれば
『南無妙法蓮華経』なのですが・・・
考えれば 人間の理性は
限りなく拡大しています。
科学の発展が ....
理想の仕事を選ぶというのは非常に難しい
まず当たり前だが興味を持てる職種のほうがいい
そうでなければ私の性分からして長くは続かない
その為にはまず自己分析が重要になってくる
このことは非常によ ....
唸る 大空
その飛翔を 速める 鳩
太陽は 今 南中
素早く たなびいて 雲
飛行機の残音
この 大空に 響き
風は 光の軌跡を 曲げ
大風 天を轟かす
太陽の光を求 ....
いい子ねえ、って
大人からいつも
あたまをなでられていたから
ぼくはおおきくなれなかったんだ
と、いって
そらちゃんは笑う
海のみえるブランコが
そらちゃんのなき ....
例えばそいつが絶望であったって
共に踊れたら
希望へと変わる
間違って
地球に降り立ったムーンライダー
月の満ち欠けがおいらの燃料さ
例えばそいつが悪魔であったって
共に歌えたら ....
地獄の沙汰どころか
こうやって生きているときから
と
あの人は言った
ひとと獣の違い
それは
困ったときに
頼れるものがあるかないか
思いとか信じるとかのことなの
そう尋 ....
なぜそこに
それがあるのか
自分ではわからない
人に聞いてもわからない
なぜそこに
それがあるのか
調べてみたら
なぜそこに
それがあったのか
謎が一つ増えてゆく
なぜそこ ....
この 地球がエントロピーの法則で
滅び去っても
例の邪悪な
モグラたち
年金もらって 演習を続けたそうな
ソナーは補聴器かわり
戦車は車椅子だ
テッポウには
花の種が仕掛け ....
夜の深み
彼らは 目が無い
モグラ
善悪 平和 戦争
武器を使用したら
どうなる どうなるの
三歳の子供でも 理解できることが
モグラには理解できない
ただ 今日も夜陰に ....
魚は水の中を泳ぐ
魚は水の中に生きる
ぼくは道を歩く
ぼくは道の中に生きる
魚は勢いのある水の流れに逆らって
自分の使命に命をかけて
向かってゆく
ぼくは強く吹いてくる風に逆らって
自 ....
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