駅までは歩いて十数分
雨の日は五分も待てばバスが来る
車と人の道も分けられて
目的地までは
黙ってまっすぐ進めばよい
この道は
多くの人のために作られた
そしてこの道には
多くの人 ....
ちいさなころの わたしは いじめられっこ
クラス中の男の子が 「ばいきん」ってよぶ
先生まで ばいきんあつかい
先生も いじめっこ
わたしのかいた 詩も
わたしのかいた 小説も
私の ....
北の北の大みそか
美香子はおこたでうす茶色の玉ねぎ一つ見つめてた
小さなめんこい玉ねぎを
電気きれた ガスもとまった お水もとまった
おさいふには一円玉が2つだけ 石油を買いにいけない ....
カーテンと
鉄骨の隙間から覗いた
スカートを捲る
そこに、秘密はない
白く染まった床と
天井の間で眠る
ストッキングを破る
そこにも、秘密は見当たらない
ステンレスの ....
2007/06/05
かりんとうを
長万部で買う
駅の待合室には
仕事にあぶれた人たちが
冷えた弁当をストーブに載せて
暖めている
ヤカンから湯気が出てい ....
夜部屋の一室
私はひっそりと考える
『シ』と言うモノについて
暗い空間の中に自由にできない腕で
恐々震えながら伸ばす
たまに掴めたそれは
にび色
電子機械の中 ....
山を見ろ
何かが聞こえてくるだろ
それが
ヤマトの歌だ
海を見ろ
何かが動いているだろ
それが
ヤマトの踊りだ
ヤマトは
自然という言葉を知らない
なぜならば
自然そのも ....
滅びの唄をジュラルミン・ケースに詰めて歩く。
血がさんざめいて、夜。
吊るされた男と目が合って、
その目の中に死神を見た。
「貴方ノ狂気が見タイノデ、
夜に閉ジ込 ....
ぼくの頭の修理を頼んだ
大工のたけさんが通った
「 ぼくの頭はやかんなので
やっぱり治さないでだいじょうぶ 」
「 あぁそう ならば
ちょっと不思議な部品を ....
風船の顔をした
君の彼氏が
口先ばかりの愛を囁くので
「 死にたくなった 」と
君は深夜のメールをぼくに送る
驚いて、瞳もぱっちり覚めたので
深夜の散歩で月を仰いで
川 ....
ことしもまた春が来て
暖かくなって
やがては暑くなる
またしても
煩い季節になりつつある
驕れる者 久しからず
正しきも
疚しきも
また同じ
そんな世捨て人のようなことを
つぶやき ....
明日からも僕は
この道を行く
すれ違う人の微笑みも好きで
この道を行く
ときおり
交差する人達の瞳も魅力的だが
僕はそこへは行けそうもない
今日も
胸が痛くなることがあった ....
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右下の『送信』ボタン ....
一度目の恋は恥ずかしくて
愛してる、なんて
言えなかった
二度目の恋は何となく
愛してる、と言った
意味なんてわからなかったけれど
三度目の恋は愛してる、という言葉に
責任を持と ....
ぎらぎらとした太陽の光を
何も遮るものもなく
そのまま受けながら
アスファルトの道を
ひたすらと歩き続ける
たらたらと頭から汗が落ち
体がべとべとする
道からはむらむらとした熱が
浮き ....
お国のために いざ働こう
働く汗は美しい
家族のために いざ働こう
働けることは素晴らしい
他の人たちが 遊んでいても
....
おどけていたら
ほどけてしまった
女郎蜘蛛は頬を紅く染めながらそう言って
ほどけてしまった糸を回収し始めた
おどけた原因については
口を閉ざしている
風の便りでも
巣に引っか ....
臆病な渓流の魚
生息の影 秘密めき
見上げる
木々の陰影
木漏れ日のわずかな流れ
遡行する 記憶の面影
二千五百年前 仏陀と
七百五十年前 日蓮と
この滝の巻き道をあが ....
ゆるすことにつかれてしまった
ひとりのせいめいたいは
とけいのはりをおって
じかんをとめて、しまった
はりとはりのあいだで
だれかをまちわびている
そのまま
うずくまっている
....
ある日の夏
空にできた波紋は
地上のあらゆるものを揺らした
緑豊かな森も
氷で覆われている山頂も
果てしなく続く海も
一日を必死で生き抜く動物も
せわしく生きる人間も
その波紋に包まれ ....
海のない海辺。
砂から突き出た、跳箱のような駱駝の死骸の瘤。
得体の知れぬ不可視光線によって蝕まれる膚。
虚空に漂い、あらゆる輪郭を溶かしだす陽炎。
方角のない土地。
風に舐められた砂が舞い ....
沙漠から取り寄せた砂を
僕たちは浴槽に撒く
言葉に塗布された意味を
一つずつ丁寧に
酷くゆっくりと落としながら
シャボン玉を
空間を埋めるために飛ばす
乾いた砂に埋もれた言葉を
....
夢よりも 何よりも お年頃 素敵なこと
空よりも 海よりも パジャマ色 眩しい人
新しい光が 心に突き刺さる
そんな気持ちが好きだよ
ひさしぶりの電話の 声に気づか ....
初めて通る道なのに
なぜだかどこか知っている
誰が通るか知らないけれど
笑顔はどこか懐かしい
ここはもしかすると
故郷なのかもしれない
ほんの短い道だけど
本当はものすごく長 ....
森に架かった木の橋に
父は手にしたカメラを構え
木漏れ日と葉陰の揺れる{ルビ袂=たもと}に立つ
妻と娘をレンズ越しに覗いた
シャッターを押した後
肩を並べた三人の後ろ姿は
....
扉から 漏れる 白熱電灯
白檀の香 しめやかに 香り
私は この仏間に
この世のありとあらゆる
悲惨を出現させる
戦争 飢餓 病気
怒り 憎しみ 嫉妬
唱題しながら
どす ....
「 この世の外なら何処へでも ! 」
という最後の詩句を読んだわたしは
「 転居先 」について考えていたが
そんな場所は、何処にも無かった。
日常から逃れるほどに
毎夜訪れ
....
書き人知らずの本でした
棚から引き抜き
いくつかの確かな硬貨を払い
手に入れたというのに
ふと気付けば
それを生んだ人の名は
どこにも刻まれていませんでした
家に帰り
日差しが中途 ....
帰宅する途中
コーンスープの匂いがする
家の前を通りかかる
中から男女の諍いの声が聞こえてくる
少年が一人
玄関の外に立っている
ドアにもたれてただうつむいている
どうかあの少年が
私 ....
工事現場に置かれた
大きな平面板は
空に流れる白い雲を見ながら
あの雲のように
自由に流れたいと思った
平らに寝そべっている自分では
風に相手にされなかった
起き上がれば
風を跳ね返し ....
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