それははちみつのいろ
きんいろにかがやくアスファルト
カーブの手前
かげのように
染みがきえない
きえないでいる
からすの世界はあかむらさきで
いいものだけ光ってる
たとえ ....
つながりと呼ばれるもの
つかむと消える不確かなもの
近づけば近づくほど感じる距離
つなぐものなどない
人であるための限界
肉体に宿る 精神の限界
混ざりたい
二人でいたくない
溶け ....
ご機嫌ななめの雲の下 一つ葉のクローバーみつけたよ
はっぱがひとつだけあるから 一つ葉
雫をのっけるのも ひとつ
もらい泣きする雲の下 四つ葉のクローバーみつけたよ
....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた
ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
濡れズボンが風にそよいでいる
明日ごろまで生きていれば
多分それを穿くわたし
ねえ
あそこに流れていくものを
いつから雲だと知ったの
桜辺に かの人と添い 歩み行く
儚き思いと 涙つたわん
花が居て
狂いたい
と言った
なにもしてやれないので
川にうつる枝のなかに立ち
はらわたの森をひらき
ここにお入り
と 言った
蝶が来て
狂いたい
と言 ....
考古学者掘った 埋もれた時間
昆虫学者拾った 新らしい名前
天文学者覗いた 過ぎ去った光
失恋学者探した 思い出の時間
難しい言葉はきらい
難しい言葉は 結局
何も表現していないことがあるから
でも
簡単な言葉ばかりをよく使う人が
難しい言葉を使うのはすき
きっとその言葉でしか表せない感情なんだろう ....
お別れには
銀杏の下で ごろごろ ころがり
大理石の上で 泣きましょう
「いよいよジャズを聴く時」 が口癖のあなたは
明日 聴くだろうし
私は 青い服を 買いに行く
火星の見えない午後
絶えて久しく
目指すもののない火星
の見えない午後
曇り空に
生き
絶えて久しく
火星の
見えない午後
私たちは争って
マルスに降りそそぐ
六万年の
絶 ....
僕ヲ抱キシメテ
イツデモ僕ハココニイルヨ
眠れない夜に見る夢は
{ルビ過去=むかし}と{ルビ現在=いま}とを行き来して
せつなく心を惑わせる
久しぶりの笑顔
忘れることの出 ....
あたしは既に血でよごれた
全身血みどろ
全て
返り血
あなたは、これ以上あたしに近寄らせないよ
今日もまた誰かを心の中でで殺めるだろうあたしに
今日も・・・
また ....
二十数年前
大量の醤油を飲んで自らの命を絶った科学者がいる
それが私の父だ
いったいどれくらいの醤油を飲んだのか
警官が説明しようとすると
母はそれを遮り
私の手を引いて長い廊下を歩き ....
「眠れない夜」を
「眠らない夜」にしたら
なんだか わくわくした
そんなささいなことで
浮上できる私は
とても単純なのかもしれない
幻か 宵に桜の水を汲み 待つ彼の人を 夢で抱きて
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29