砂漠がたったひとつの井戸を隠していたころから
私の瞳は たったひとりの姫を隠していた
床は真四角の部屋 天井が一点で結ばれている部屋で
彼女は いつも たったひとりで 永遠を歌った
....
踊る黒猫
踊る白兎
ミックスする
モダニズムの灰色
歯医者の診察台
に座らされ
歯を削られる
リューターの奇声
飛び散るカルシウム
丸い蛍光灯大小2本
収めた四角い枠
ぶ ....
セルリアンブルーの本から
零れ落ちる音符のような
啓示
に搏たれつづける心が
1068番目の奇跡を通じて
うつくしく褶曲する地層のような
洞察
へと繋がるのならばと
今夜は違う窓に向か ....
洗面台に両手をついて
鏡面にうつる
わたし自身の姿に
すまし顔のわたしを脱ぎ捨て
背後から
すべてを包んでくれる
あなたの胸元にすがりついてしまう
ひとは誰もそうするように
突きつけら ....
まくらを抱きしめ
まぐわいのなか
きみを想うとき
ふわりと
ある種のエネルギーが
ぼくのなかで
かたちどる
妄想
セックス
奪い取れ
のぞむままにことはすすみ
まくらの中に ....
口をつぐむ
ちゃんと話を聞いてくれる人いないから
あっちから
こっちから
のびる糸
引っぱってより合せ
不恰好な糸つむぐ
近寄らないから
....
過去が染みる 黒く舗装された路面の 暗い粘りが、今しも
うごめき 波を打ち、群がる人々を蹴散らして 盛り上がる
ビルの高さにまで及ぶ累積した罪の記憶、破天荒な生の挑戦
あるいは無意味な天変地異か ....
おんなのこがおなかをすかせています。
おんなのこはおなかがすくと
ふきげんになります。
ははおやはそのことをしっていて
おんなのこに
すいはんきをみてて
といいまし ....
{引用=神様のため息は誰がうけとめてくれるんだろう}
夜
この紺色の時間
たくさんのため息が
枕に
コップに
カーテンに
網戸をと ....
5人の河童がやって来た
黄色くてツルリとした額に
胴長短足痩せた手足は青白く
きりりと晒しを締めこんで
夏祭りの夜にやって来た
....
彼女ができたので、
野球場へ行って泣こうと思った。
電話は夜の十時だ。
俺はありったけのバンソウコウと、
傷薬を準備して、
ノートには一から十二までの手順で、
軟着陸について記してあった。 ....
「本音」という言葉があるけど、それは「真実」とは限らない気がする。
例えば、ある人に「それが本音ですか?」と問い続けて言ったら、最終的には「分からない」と答えるだろう。
答えは、いつだ ....
窓に
張りついた夏、
グラスの中で氷が
音もなく溶けていく午後
少し薄まったアイスコーヒー
にミルクを少し加える
ゆっくりと拡散していく、
ゆっくりと沈殿していく、
夏。
あの頃 ....
雨と雨の間に
かおを出した青空に
並んで一緒に伸びをする
夏草はいつのまに
私を追いこして
掲げた手さえ届かない
ぐうんとジャンプで
きみ(夏草)にタッチ
ぐうんと伸びして
きみ(夏草)は空にタッチ ....
帰るべき場所へ
たどりつくことはない
決して満たされることのないこころは
あてどなく
人生をさまよい
そのときどきの欲望を
甘いジュースで満たす
グラスの底に沈澱する
苦味の液体を
....
ブルーチップの青いリスは
目を離すと、すぐに増殖して
ガマ口をはみ出してしまうから
台紙にきちんと貼りつけなければいけなかった
母は台紙をもらってくれると約束をしたのに
永遠と立ち話をやめや ....
電車と呼ばれる棺おけに
出来損ないの食べ物ばかりを並べる花屋
改札と切符の隙間から乗り込む乗客たちは
数少ない呼吸器を奪い合って窓から手を伸ばしている
躾けのなっている犬がだらしなく涎を垂れ流 ....
パズルあるいは心象風景
つつじヶ丘 SSRI 調布
レスリン 団地 コントミン
野川
世田谷 デパス 下北沢
トランキライザー 代田 成城 鬱病
ハルシオン 仙川 ....
河の中洲で貴女は
竪琴かき鳴らし歌う
船頭は舵取りを誤り
小船は沈む河の底に
美しき女の上半身
そして魚の下半身
嗚呼、美しき君よ!
私もまた沈むよ…
河の底の墓場に
削れて行くこの身を私以外の誰が救ってやれると言うのだろう。
所詮、わが身を守りわが身を誇れるのは自分だけなのだ。
誇れるだけのものを残せるかどうかは、それもまた自分次第。
終焉のある ....
?.
ああ
オルテンシアがほんと楽しそうだ
あんなの日本語だとね、てんこ盛りって言うんだよ。
ひひ、てんこ盛りだって、おかしいね。
まあ、要するに、昨日の俺たちのパスタだ。あれが ....
きっと この世の草木からは
あの蒼穹へ 黄金の糸がまっすぐに伸びているのです
いのちはあわあわとしたじぶんのねいろをもって
なつかしいあおぞらとつながっている
(そう 世界は一 ....
さざなみが月を潤ませて
消してゆく二人の名前
ゆうなぎは心の糸まで
もつらせて切ってゆくのか
灯台も暮れ馴ずめば影にまみれ
境をなくす浜辺と海
こわれた砂の城に波が
さよならを塗 ....
彼の目は
像をまあるく切り抜いて
切り抜いたまあるの淵は
切れそうなほど鋭くて
(声)い
{引用=
夜中に眼球が旅をする話を知っているでしょうか。
主人が眠りにつくとすぐ ....
引き出しを開けると
折り重なった時が
落ちている
ぼくはそれらを拾い上げ
整理しなおそうとしたんだ
けれども うまくいかないで
サッカーを見たりなんかしてるうち
雨足に追いこされ
....
白い雲青らむ渚描いてく
心の色は自由自在
砂浜に続く足あと追いかける
麦わら帽子風のステップ
海の色変えてゆくまに一瞬の
楽章を見る{ルビ波濤=はとう ....
夏草ゆれる丘にくると
まばゆい光にうたれる
この不思議な空虚は何だろう・・・
宇宙は今も膨らみ
大地にも満ち広がる生命
かつて一つの受精卵だった私
意思の感知しえない領域・・・
....
たった1つだけ
願いが叶うなら
わたしは
あの人を
生きさせてくださいと
言うだろう
違う道を歩めば
良かったと
そんな
ことばを
聞きたくは
ない
捨てられて
....
あのときの金魚生きているよ
あなたと何回挑戦しても
ポイはすぐに破けてしまって
夜店のおじさんが呆れて分けてくれた
小さな二匹の金魚
お口をおちょぼにすぼめた金魚鉢は
ひらひら朝顔のように ....
酔っ払ったみたいに踊る僕の手に
気が付いたら君の手があった
変な言い方だけどそんな感じ
おでこをくっつけて微笑みあった二人が
そのまま見つめあって
溶け出していく夏の夜の匂い
細波 ....
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