一
観葉樹が、かぜに揺れて、嬉しそうに笑いかける。
笑いは葉脈のなかに溶けて、
世界は無言劇に浸る。
映像のように流れる無言の織物。
かぜが、喜劇に飽きるまで、永遠を飽きる ....
今日あなたが
やりたいことをできたのは
昨日あなたが
やりたいことをできたから
今日あなたが
やりたいことをできたなら
明日もあなたは
やりたいことができるでしょう
やりたいこ ....
雲ひとつない秋晴れの中
海に向かって歩き始めた
理由はない
心地よい秋風が
海から吹いてきて
正面に向かっていくかのように
歩いていった
理由は必要ない
海は輝いていた
きら ....
ひとめぼれというものの残酷さを知る人が読めば
若き王バルタザアルの旅立ちに救われるのだろうか。
心変わりについて かかれてあるように思う。
魅惑の女王にとって 一時 恋の相手となった王も
瀕死 ....
日曜の午後
立川のカレー屋で行われる結婚式で
新郎新婦に贈る小さい花束を傍らに
大船駅から乗った東海道線に揺られている
向かいの席に座った空色の服の女は
携帯電話を鞄の上に持っ ....
ぼぼ
ぼぼってなんだか
可愛らしい
でも
ちょっと恥ずかしいことば
りんご
秋は実りの季節だね
りんご
とか
いい感じ
りんご
って禁断の果実
アダ ....
4コマポエムを作ってみました
斬新すぎたかなぁ…
ふと目にしたその分野が気になって
足を踏み入れたら楽しくなって
いつの間にか
一通りを知るようになっていた
学んだことは正しかった
考えることも正しかった
気がつけば背中に
「初心者マー ....
棍棒を
作った
オークの
頭四キロの
素振りを
ずっとしてた
だってお前が
怖がるから
引っ越した家は
夜少し静か過ぎて
お前が怖がるから
まあ実は俺 ....
お天気がよいから
ぼんやりと
窓の外を眺めていたら
あれが伊豆の大島だと
若い人が
得意そうに教えてくれた。
太ったサツマイモを
横に置いた
そんなのっぺりした形が
遠く ....
日常の規則正しい生活や
心が乱れて疲れてしまった時
詩の泉を求めて
旅に出る
詩の泉は
混沌と湧き出てくる詩の言葉を
両手ですくって心に流せば
心の渇きを潤わせ
明日への希望となる ....
嵐の去ったその森は
かろうじて残った者たちが起き上がり
皆で互いを確認しあい
それぞれがその生をいそしむ
弱きものは流される
自然の厳しい法則は
世界の大小に関わりなく
適用されてゆ ....
あの頃あたしは
モンパルナスの小さなアパートで
クローディアと一緒に暮らしていた。
暮らしていた、と言っても、三ヶ月くらいの間だったけど。
その小さなアパートには、
クローデ ....
今宵十五夜の月を
楽しみにしておりましたのに
朝から硝子窓を濡らす雨は
一向に止む気配を見せません
花器に
手折った数本の芒と一枝の萩を
無造作に入れ
恨めしげに外を眺めており ....
夜の信号
青緑
一台も通らない国道
やがて
赤に変わり
青になり
また赤になり
青になる
誰も通らない
おーい
みんな
死んだのかい ?
....
人は生まれた時に
自分の地図を渡される
自分を見失った時に
確かめるために
自分が進むべき道を選ぶ時に
その地図を見るために
誰もが一枚ずつ渡される
そこには宝の場所も記されてい ....
雨の日の冷蔵庫は
扉を開けるのが
いつもよりもどこか重たくて
暑い日よりも
その冷たい空気が肌に伝わる
建物の中の
頑丈なまでのその箱は
激しく雨が降ろうとも
そのリズムを変えるこ ....
鰯雲風に吹かれて空の旅
夜明け前流れ星を待っている
ひたひたと涙落つるる時雨かな
たそがれてあなたを想う空の色
星屑や宝石箱から零れ落ち
さようなら夕 ....
冷たい雨が染み込んでゆく{ルビ苔=こけ}の
やさしい沈黙に
身体を重ねたくなる夜は
窓ガラスに青いセロファンを貼りつけて
閉じ込めた気泡の膨らみを
指先でなぞって ....
パン屋で晩ごはんに
パンを買ってたらさ
雨降ってきて
俺のほかにお客さん三人
雨宿りだ
このパン屋は引っ越してからよく来るようになった
おいしいし
お姉さんがきれいだ ....
何処かかが悪いわけではない
血が滴り落ちてるわけでもないし、
痣があるわけでもない
なのに体に痛みを感じる
定かではないが、言うなれば胸の辺りが
幽霊はいないと思うけど
超能力はあるんちゃうかな
こんだけ人がおるんやから
2人くらいは使えるやつ絶対おるて
思考は脳内の電気信号や
それがやで
頭ん中で行きかっている訳やわ
街を飛 ....
剥いてしまってください
私のからだを
のように
剥いて食べてしまってください
甘くて柔らかいって
思ってみてください
切ってみてください
銀の冷たいナイフで
泣いてもいい ....
すこし冷たく
すこし切なく
雨音だけが響いて
静かに
とても静かに
夜を抱きしめる
とにかく上に進むこと
蟻地獄のように
もがけばもがくほど
下がってしまうこともあるけれど
きっと何かをつかめるはずだから
悲しくても
続けてゆくしかない
とにかく前に進むこと
迷路 ....
今は昔、をとこありけり。
いとあやしき箱の詩歌の会にしげく通ふ。
投げ打ちたる文、すなはち返し給う局ありけり。
誰にか会はむと入りしかども、いらへなかり
ければ、つれづれなることを語るうちに、 ....
着信を告げるTRANCEが響けば借りっぱなしの本は乱舞す
ひとを刺すことはいけない事だわよ「やめろよー」とか言われちゃうわよ
こころにも化粧をしたらかなしみやうずく魔性も隠せるかしら
....
僕らの闘いは
風の名残にすぎないのだろうか
苦しいけれど この道をゆこう
昨日までの限界を彼方へ殴り捨てながら
((もっと巨きな存在が いざなっている
その枯れることのない千の眼差し ....
秋の海が寂しいのは
歩んできた人生
友と過ごした灼けるような喧騒も
土用波に掠られて
何事も無かったように
空を舞う海鳥
打ち寄せられた流木は
海鳴りの向う岸へ
置いてきた魂の重さだけ ....
「おとうさんかってにいかないでよう」
そうだね
きみのおとうさんは かってだ
きみのおとうさんは きみの知らないところで かってにあそび
きみのおとうさんと きみのおかあさんは きみの ....
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