そうして
列車は燃え上がる火山の山腹を廻り
向かい合って座っていた僕たちの
車窓から美しく災害が眺められた
列車のドアから乗客たちが飛び降りていった
飛び降りては降りそそぐ炎のように水鳥を抱 ....
庭園を吹き渡る気流に乗って山脈を越えると
なだらかに広がる山腹の緑の森と
森に囲まれた湖
そして川があり滝があり
庭園を巡る園路は地形に沿って這い回り
緑の平原は地平まで広がり
その地 ....
ヒトはトリに憧れるが
トリはヒトのことを相手にすることなど断じてないだろう
ヒトは見上げ トリが舞う空に向けて想うのだ 例えば
A picture ---この言葉を唇に乗せるヒトは、
....
小さな赤い宝箱のなかには
赤い血で練られた
犬の人形が一人
教会のステンドグラスでは
神が僕らを見下していた
見えない手によって
人々は屍となっていた
何もし ....
いつかの電車の中
きみの隣にいる
窓から見える
もののすべてが
きみとつながっている
薄れゆく意識の中
いつまでもここにいたい
ふたり同じ景色になって
....
あの時
何もかも終わっていた
終わっていなかったのは
心臓が動いていることだけだった
ゴールはもっと先にあると信じて
走り続けた
体力はありあまっていると信じていたが
実際は何も残っ ....
夜は静かだろう
なんて思うのは
私の耳がどんなに外に傾いているのかということ
胸のうちでは本当は、どれだけ沢山の働き蜂が、働き蟻たちが
せわしく流れていることだろう
私の子供 ....
つのる程に薫る
零れるばかりの
想いを
薄紫の言伝と束ねて
静けさの陽光を
通りすぎる風に
誰かの
囁き声を聴いたような
只々、
木漏れ日のベンチより滑り落つのは
枝垂 ....
ループする太陽の軌道
五月に向かう風の匂い
確かな休日の矯声
時間の緩やかに流れる昼下がりは
過去へ
或いは、未来へ
どこかからか
パレードのやって来そうな不思議さを備えて
....
あれは
過ぎ去った季節の代わりに
それは
幾度も破り捨てた手紙の代わりに
これは
風に拐われた笑い声の代わりに
39本のガーベラを
あなたに贈ります
....
あなたには魅力が満ちている
この花は
告げている
星は再び巡ってくると
あなたは
告げていた
いつかまた
この道で出逢える日まで
私は花を
摘み続けていよう
星が降るまで ....
このところちょっと体調悪くて
なんにしても
弱気がちな自分に気付いてみたりする
元気なときなら
生になんて執着しなくて
潔い
そんなことばの良く似合う心模様だったはずなのに
具合 ....
やわらかに色紙の花園で
子猫が蝶々を追って駆けて行く
{ルビ淡紅色=ときいろ}の薫りを放つ花たちは
自慢の花びらを踊らせることにいそがしく
まるでそれは雨のように降りしきり
この花園を埋め尽 ....
窓辺に
憂いて、待ちほうけ
きらめく川面に舞い散る
記憶の花弁
流れ、流れて
彼の國までと
届けておくれ
恋慕情
流れるのは黒い陽炎
バスケットゴールにぶち込むのは
ダンク以外に美しき憎しみの断片
キラリひかった一番星に何を祈る
流れ星に願い事をしても
ソレはただ落ちている ....
冷んやりした部屋の
窓際に椅子を置いて座る
裸電球に照らされた
オレンジ色の壁に
魚の形の滲みが付いている
じっと見つめていると
風が梢を揺らす音に混じって
足音が聴こえてき ....
きのう
飛び去った飛行機のように
蛾が震えていた
取り残された最後の技師が
数値を記録し続けている
薄汚れた窓硝子の向こう
森を走っていく少年あるいは少女の白い素足が
境界を飛び越えなが ....
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
投げ捨てた果実の種が
ことごとく芽吹いて巨樹となり
大地を引き裂いて
ダイ、ダイラ、
風吹きわたり
陽あたりのいい場所で
はらわた ....
風の中で震えていた瞳
あの日突然奪ったくちびるを
二度と忘れはしない
美しい少女よ
一生分の愛を君に捧げよう
自分勝手な愛で
君を愛し続けることを許して欲しい
例え永遠にこの ....
春になったばかりの頃
白い帽子を追いかけて
春風の中を駆けて行った
草原の若い草からは
真新しい緑の匂い
南の方からは
温かい日差しがさして来る
空が青くて
眩しくて見れない
....
詩は直線
半透明の窓をつらぬいて
雲の向こう側へと延びている
どこまでつづいているのかは誰もしらない
論攷は線分
ナイフで頭と尻尾を切り落とす
君はお茶をのんであくびする
ようかんの ....
どこかの知らない住宅地で流れている
いびつなサウンド
それはまだ若い男が夢をあきらめず
努力ということをしている
それでも夢という狭き門に
自分は通れない事はし ....
━数億年、
寄せては返し繰り返し
水、空気、光を、
混ぜる、取り込む、濾過する
そうして造られた海は、人の創造を遥かに越えて
例えば、ありふれた海岸線の湾曲にさえも
....
その風の名前は知らないけれど
黄色い砂を連れてやって来るその風の後には春が訪れることなら知っている
そこが何処に在るのかは知らないけれど
3月の空の青を背に、辺り一面に咲く菜の花の黄色なら知っ ....
いつもの朝の中いつも同じ時間に起きていつもどうりに学校に行く
何故俺はそんな決まり切った世界で生きている
どうせ大人になってもこんなのと同じせかい
一生変わることない景色を見てやがて老いて死に行 ....
あなたがそばにいるだけで
まわりが海に変わる
ほんの少しだけ夜のような
ほんの少しだけミステリアスな海
このまま小さな魚になって
あなたのまわりを漂っていたい
あなたは私の梢を揺ら ....
いつかこんな日が
来ればいいと思っていた
待っていたよ
二人が結婚したいと
言ってくれる日を
随分とお転婆で
跳ねっ返りの娘が
いつしかおしとやかになり
君を連れ ....
どうでもいいことなんだけど、
おれが死んでも君は悲しまないことに決めようじゃないか、
あとで君に約束させるのはぜったいに無理だから、
いまのうちに約束しとくんだ、
そうすると、ある日仕事帰 ....
世界中にあふれている
たくさんの言葉たち
きれいな言葉
やさしい言葉
愛にあふれた言葉
どれもみんな素敵だけれど
でもちがうのよ
私が探しているのは
胸にかちりとはまる
....
いつだって人は小さい頃
誰でもその赤い服を着た
もじゃもじゃの白い髭のはやした老人に
夢を乗せてとばしてたけど
今は一人雪降る道でたばこに火をつけ
ぽろりぽろり落ちては重 ....
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