青空に白雲の流れ
こうして天空は流動し呼吸をする
空とこの大地が接合する場所
なだらかな斜面に牧草が茂り
遠い過去から 吹き上がる風
そして長い髪が絡み合って
巨大な帆を作り上げ
....
食器を洗う熱湯
湯気、水流弾ける音を
換気扇が吸い上げていく
じゃばざ
じゃばばばビタばば
つるるろるうう
きゅんと蛇口を締めて
前掛けを擦り上げるように
手の水分を拭き取る
....
080618
改革の時代の幕開けですと
勧められて購入した専門誌
第2章
第3章
マスタープランを読めと
空白のページが脅迫するから
第 ....
重たい言葉を呟きながら
折った鶴はくずれた格好でした
尾なのか頭なのかわからない
二本のツノは怒っていました
指がふるえて
上手に折れないのですから仕方ありません
せめて淋しくないよう ....
{引用=
きみはおとなだな
ぼくのもたない目をもってる
すこし、うらやましくて、くやしい
なんだよ、おとな、なんて
いいことなんか、ないよ
サードアイは、泣かないんだって
決して涙を ....
蝉の抜け殻を
村で一番集めていた村長が死んだ
彼の亡骸は
蝉の抜け殻に埋められるようにして
荼毘に付された
それがみんな燃え終わる前に
新しい村長がやって来た
新しい村長は口ひげを生 ....
嵐が去ったあとの
うっとりとした
天気雨がふる夜に
穏やかな波が渚に
はじけていて
潮のよせる音が
白い灯台の中でも
吐息のように響いている
塔のてっぺんの方へと
約束をした ....
あの日
びるのてっぺんは
どれだけ
さみしいひかりがみえたの
むてっぽうなことで
きみも
やっぱり そんを したのだろうか
そっとちかづこうとすると
花をちらすみたいに ....
ピンクのクレヨンで太陽を描いた
みさちゃんが先生に怒られてるのをみて泣いた
だってみさちゃんはピンクで太陽を描きたくて
それを怒るのは可愛そうだと思ったし
ぼくが赤のクレヨンで描いた太陽よ ....
祖母は絵に描いたような大阪人でした。商売が大好きで、勝気で、たまに口が悪くて、酒屋でしたからものすごく酒には強くて、花は大ぶりの派手なものが好きで、ついでにヒョウ柄も大好きで・・・そんな人でした ....
本の続きが読みたいと思ったので
部屋を出て外へ向かう
ポストの裏側に続きは書いてあった
また続きが読みたくなったので
デパートへ行く
エレベーターの壁に続きは書いてあった
(僕だってこんな ....
遺影のある家に行くと
線香の良い匂いがして
羊羹を一口食べた
奥さんがずっと昔からのように
右手で左手を触っている
側では子どもたちがわたしの名前を知っているので
窓から外を見ると
....
梁にしがみつく蝶を引き剥がすたび
親指と人を指す指が情けなく震える
コロシヤシナイカと懼れながら
ただ善意を偽って助けようとして
羽を掴む、その度に
燐粉が指先に着いてしまい
その後でゴシ ....
素直は真実
伸びゆく蔦のごとし
言葉は時に不安と化し
想いは常に苦悩を招く
失いし光には、闇
授かりし闇には、光
交互する反面の賜り
汝の笑みこそ
己の幸と知り
安らかなる御霊のおぼろ
....
チベットの暴動で
無数の人々が血を流し
四川の大震災で
無数の人々が命を落とし
僕の家の畳の部屋で
今も横たわる祖母は
三日後
頭蓋骨に穴を開け
脳の腫瘍にレー ....
ワンダフルだわ。
煮沸後の沼にはワニを思わせる口先の花がいっぱい。
泥棒よけにいいみたい。チワワを与えて育つのよ。
絶好調なら万歳して。絶不調ならゲンナリして。
なかなか上手くはいかないものね ....
{引用=
漂流、……。
寂しさはほんとうだった
泣き真似がじょうずと言われて
反論もできずに
(14歳のころのはなしなんだけど/
あのさ、あたし ....
街なかで白い小鳥を配っていた
籠に入ったたくさんの小鳥を
小鳥配りの人が要領良く配っていく
受け取らないつもりでいたのに
いざ目の前に出されると受け取ってしまう
わたしが手に取ると
それは ....
寝苦しい夜を終えた朝に母が言った
洗濯機の中を覗きこんでいると
その一言を思い出す
同じものを何度もぐるぐると網膜に回しながら
嗚呼、わたし、洗い流されてゆけ。
すぐ壊すから今は黙って
なじませた体温が心地いい
望まない答えは口づけて消す
上の空の貴方 貴方を失う以外
つらいコトなんて何一つ
わかんないまま
悲しいなら泣いてよ
水音で泣き声をごまかすから
逆様にした時計の砂は
またさらさらとこぼれる
残された時間にたくさんの
「おかえり」を伝えてゆくから
朝日が崩壊した港で
人類を魅了していた
光の筋は届かなかった
万能の魔法は無能になり
知恵の実は腐臭を放つ
太陽がひしゃげて
穴から血が噴き出した
火山の噴火だと気付いた
空からは ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない
誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる
*
夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
響いているのは雨音
夜が深くなると
それはいつか
遠い海に似てさざめき
わたしは
波に洗われたひとつの貝を思う
ところどころが欠けた貝殻は
すこしの闇を内包しており
誕生からずっと ....
ほどけてしまいそうな
女の子のからだから
春をとり出してならべる
つみぶかい瞳が
まだそこにおよいでいる
名前の知らない五月の旗
活字から顔をあげて
だれをみる
外をみた
窓 ....
東京のさかなは
全然ダメです
死後
七日目ですかって
そんなことを思ってしまう
電車から眺めると
無数の家だ
孤独
の意味を私は思う
ヘッド・フォンで武装して
右側をガ ....
{引用=
静かの、川が
逆流する
しなやかな動きの連続で
えたいの/知れないものたちが
反射するから
少女は、もう一度
夜を怖がらなくてはならない
そういうものなの
と、 ....
春霞たなびく青山(せいざん)の林の中で
猛然と一本の白樺を犯してをりますと
感極まった白樺は、小枝を私の左目に突き立てまして
・・・男冥利に尽きます
その時に孕ませた双子のうち
一人は聖 ....
「なにも着ていないの? ひとつ
あまらせているから、きみにあげる。」
待ちに待った、台風の日です。
家に上げたら、育つのにどのくらいかかるの
か、あと数秒で折れてしまいそうなきみが傘
で ....
くちなし色の便箋に書けば 口にせずとも想いがつたわる
そんな 企みたくなるいいつたえ
でもくちなしの花がどんなだったか
ずっと長いこと思い出せずにいる
いつかおまえに すきな花を問うた ....
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