触れ合う木の葉音
高い空を見上げる
言葉はそこになく
風はただすり抜ける
なだらかなサイクル
優しさの温もり
確かな偶然
僕の森に 与えて
流れゆく水の音
陽だまりが浮か ....
朝起きると武士だった
(拙者、もうしばらく眠るでござる
と、布団を被ったが
あっさり古女房に引き剥がされた
長葱を{ルビ購=あがな}ってこいという
女房殿はいつからあんなに強くなったのだろう ....
キャッチボールする
子供のときのように
幼馴染と
キャッチボールする
幼馴染の大ちゃんの球は速い
少年野球やってたから
川島イーグルス
俺は 嫌いだった
疲 ....
血、が、
腹の上にこぼれてとどまる
暗い おまえの血 月がこぼした おまえの血
おまえは笑っている
自分からこぼれ出た色の美しさに
おまえは目を見張る
血、は、
....
鼻毛出てるよと言われた。
まあいずれにしろ出ていたので善しとした。
体調の悪そうな亀みたいと言われた。
まあいずれにしろ亀は好きなので善しとした。
あなたっていつも煙草吸ってるねと言わ ....
?.
ヒヨドリたちが庭に現れる
鳥は歌うものだと思っていた
あれは
叫びだ
桜木町から横浜に向かう道で
君は叫んで
何度も叫んで
アスファルトの上に寝転がって
....
名古屋から来た君は
動物園通りを抜けて
髪の毛ぼさぼさで
連絡を待つ
ろくでなしの
連絡を待つ
ろくでなしは
その時ある一つのやさしさに抱かれていて
抱いていて ....
あぁ、
お前も なのか
カーテンに包まれるのが
そんなにも
愉快なのか
そんなにも
楽しいのか
娘よ
娘よ、
お前も なのか
森を歩く
一人きりで
冬の森を
霧雨の中を
凍える手は
いばらをつかみ
血が流れる
痛みを胸に
胸の痛みは
置いてきたもの
馬鹿から始まり
今は世界
....
想いは儚く
残す轍 遠き道のり
荷の重さ 辛く、
そぞろ立ち止まっては
見上げる空の哀しみの果て
日ごと人目に
焼かれる背の
痛みさえ忘れる夢、
また夢の夢
花に狂う、
....
電話が鳴っている
図書館の北側には
地平線のようにゆるされた
、窓がある
そらは一層曇っていて
灰色は遠い罪
君の誕生日、だとしても
ケーキの苺は譲れない
ぼくはこれでも、苺が好きだ
で、次に
ぼくのじいちゃんは船長だった
海賊船の
もう随分昔のことだけれど
なんて言ったら、笑う?
笑わな ....
わたしは死んだ
あんたはさぞかし喜んでいるやろう
あんたは周りにいっぱい女の人こさえて
家にも帰って来うへんで
月に一回お金だけ落としていって
なんかの義務みたいにわたしを抱いて ....
あれはいつだったか
なんとなく眠れないまま
時間だけが飛ぶように流れ
ド深夜をとおり越し
新聞屋は走り出し
いつの間にか外は明るみ始め
犬を引き連れたおばはんや
トレーニングウェアも散ら ....
冬だね
ほんと
もう公園の木
裸だね
寒そうに
ねえ
踊ろう
でもまだ
カーテン
つけてないんだね
外の人々から
どう見える
だろうね
幸せな
風景か ....
寝苦しさに目を覚ますと
やはりホリデーインの一室に泊まっていた
わたしの隣では
脇臭く寝相の悪いやつが
馴れ馴れしくいびきをかいていた
エーチャンのニューグランドホテルは
わたしのこころの ....
{引用=
雪睫毛、って言葉を
貴方に送る手紙の冒頭に書きたくなって
意味も勿論分からないままに
便箋を箪笥から出してきました
}
「雪睫毛」
二〇〇六年 十二月 三十一日 大 ....
息をすって
息をはいて
それを一緒に
森の中で
雨にぬれて
森の中で
息をすって
息をはいて
おまえのこころ
いばらのとげに
息をすって
息をはいて
....
「こんな灰色の世界じゃ夢なんて見れない」
そう吐き捨てベッドに倒れ意識をなくす
ぼうっとした頭に言葉が降ってくる
....
晩春の街は夏を目の前にして
薔薇の蔓払いに追われる
柵越え屋根越えレンガの隙を縫い
年中伸び続ける野薔薇の蔓を刈る
畑も牧場も家も寝床も
ここでは薔薇と領地の奪い合い
特に最近は冬を経 ....
椅子の形の墓標だったらいい
二人がけ
いや
ベッドみたいな
そこに俺は眠っているか
掘ってみなけりゃ分からない
だが
椅子の下を掘る奴なんていない
俺の墓標に愛し合う二人が座り ....
何を思い出せば
幸せになれるというのだろう
始まりは
遠い海の底の夢でした
船底を擦るようにして
人は、人は旅に出て行くので
いつか大きな音を立てて
傾いていく私たちのために
....
見える道が消えて
喧騒が笑った
生活の反復で
裡が淀む
「楽しい」を連ねても
言葉は削がれ
見えるものは
感情に潜む
刻々と走る今
探し物が見えて
文字に蓋をし ....
暇をつぶす相手がいないなら
僕と遊ぼうよ
彼ほど上手く喋れないけど、話を聞くのは得意だよ
海に行くのは遠いから、大きな湖に連れて行ってあげる
港の夜景は無いけれど、小さな喫茶店でコーヒーで ....
かつて憧れと不安の色に澄んでいた若い空
いつから俺は俯いてばかりになったのか
いつからちっぽけな石を蹴るだけになったのか
黒い願い
黒く腐った願いを吸い取って今や濁り果てた俺の空
....
音楽室の
Yちゃんの真新しい椅子の後ろに
Yちゃんの埃を被った椅子
その後ろに
Yちゃんの足が折れた椅子
その後ろに
ばらばらになった
Yちゃんの椅子
その向こうは
床が崩れて
そ ....
誰もいない
鳥の声もせず
花粉ばかりが熟れて
待ちわびるのは
ただ明日
コンクリートのかけらを見ていたら
子どもの頃を思い出しました
川で拾った石を交換した友だちの
重みが伝わりました
輝いた面影を
頭の中で追いかけました
自転車を見ていたら
青春時代を ....
どこにでも入り口があって
どこにでも出口がある
きのう お腹からプール
の水面に落ちていった少年は
生まれる前の夏に
明け方の海岸を低空飛行で飛んでいた
殆ど真っ暗になった庭口では
....
バイトに行くより
パリに行きたい
この国で育てた情緒が
すごい武器になったよ
昼は芋ほり
夜はカフェテラス
凱旋門へ凱旋
もっと大きな
責任感を果たすために。
みずたまり蹴 ....
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