今ごろあなたは
大都会のビルの合間を縫って
薄汚れた地下鉄の階段を
降りていくころだろうか
新しいジャケットに身を包み
ほおに少し疲れたしわを漂わせて
一昨日 真昼のベ ....
使わなくなった手をひとつひとつ外し、引き出しまで引きずりしまい込む。十本目の手は十段目に、五本目の手は五段目に、解りやすいようにしまい込む。手はどれも握り締められてい ....
とうめいになる
そらでもなく
流体でもない
ただとうめいに なる
ボクはここにいて
キミを見ている
キミはボクを見ようとしない
意思の力で
とうめいになる
全身で
....
イチゴのにおいのするピストルで
氷のなめらかさの弾丸を放って
稲妻の響きはハイビスカスのかたちを描き
空気のざわめきはボーダーコリーのかたちを描く
コパトーンと遠雷
スコールと狙撃手
チョ ....
君は
なんにも心配しなくていい
明日のことを考えなくていい
世界は自動的に進んでいる
ただベルトコンベアーの動き見定めて
端っこをしっかり掴んでいるだけでいい
あとは部屋の中でジっとし ....
枯れた若人が溜め息と
その病院船の仕組み。
{ルビ黒=くら}き路地より足音する{ルビ湿=した}たり、
あっち霧空、街の火で燃えてろう。
らせんの黒いコード
何かと何かに繋がっているだろうから
青いといわれているこの島の空に
ひゅうひゅうと風を巻き
掛かっているのだろ
治りかけた風邪
鼻水をすすり
まだ少し寒いから
....
猛禽がやたら低く飛んでるな
なのはなにしずかなあめ
なのはなにしずかなかぜ
桜の花びらに埋もれた
側溝のたんぽぽ
散って舞う風流よりも
舞って発つ、汚れても ....
「ここになにかがありまする」
そう言って彼女は化石発掘用のトンカチで
私の胸をとんとんと叩く
いつもの陽だまりの午後
「なにもありませぬ」
「いやいや、なにかあるであろう」
....
あしおとは何処からもついて来ず
あしあとは干乾びて いくつか
{ルビ香蒲=がま}の揺れるが聞こえる気がするし
それが自らを抉り肉のはじけるが聞こえる
気がする
夏のそそり立つ轟音は ....
苦肉の策だったんだ
どうも近くには長靴しかなかったもんだから
遠くの海を見ている目が
今日はぼくのことをみてる
その後のサラダは
レタスがそだちすぎていて苦い
となりのうちのメイザさんは
とってもすてき
もうとっくにおばさんのはずなのに
まだ17さいみたいにみえる
「て」も「あし」もちいさくって おにんぎょうみたい
でも なんだか「てつぼう」みたい ....
我が街の健康ランドの三階の休憩スペース前には
巨大な白熊の剥製が飾られています
背景の写真パネルには沢山のペンギンが遊んでいて
その横に手書きの大きな貼り紙がしてあります
「お客様各位
....
ひとにとって
わたくしは環境の一部でしかなくて
良い影響を与えたり
悪い影響を与えたり
これといって
影響を与えることもなかったり
季節がたのしくなかったり
....
学研ムーの編集局に仕掛けた地雷が
いい塩梅で爆発したよ
分かるとは
不感症になることと似ている
15の頃は
マンフレッド・マンで反射的にイケた
今の俺の反射神経じゃ
月面すらも行けやし ....
横たわった夢を見据えている。
掴み損ねた明澄な明日を脳裏に描き、代わりなんてないと何度も願掛け
ひたひたと笑う。
思い通りに動かない駒を見るのはまっぴらだった。
胃が軋むのは毎度の事で気に ....
隣部屋から漏れる電話の呼び鈴に
ふと現実に立ち返る瞬間を感じる
さっきまでホテルの窓から見えた
電光掲示板の宣伝文句を
眺めてばかりいただけだった
月が見えるほど暗くなく
星が瞬くほど ....
美はいたるところにある
何も考えていないこと
歴史
寝ているあなたのすがお
すがた
美はいたるところにある
走っていく電車の音
朝はたくさん
昼はときどき
夜 ....
寒い
僕の家だけ
シベリア
いえ
僕の部屋だけ
ツンドラ
窓の外では
光を跳ね返す素材の
白いビキニさえ
ありふれているようです
布団に包まり
鼻からつらら
僕は餃子男 ....
雨の中で涙を流すと
君はあの日言ってたね
頬を伝う雫も涙も
たった一つになりゃいいと
ボク 今日 気付いたよ
雨に混ぜることもない
傘の中 俯いて
前髪で目を 隠せばいい
....
戒厳令下、部屋は灯火管制の暗闇に沈んでいる
遠く、山脈の向こうで、モデムのLEDが点滅している
僕は、銃撃に怯えながら
アロマキャンドルの揺れる炎を見つめている
嘘ではない。もはや戦後では ....
昨日までのすべての
嫌な出来事を振り切るために
遠いところへ旅に出た
何にもない なにもかも棄てた
知る人もない たたずまい
吹く風が柔らかに 頬を撫でる
見つめた海は繰り返し波を ....
花柄のシマウマが横断歩道を闊歩しているのを見た翌日、文机にもたれながら、サナトリウムの君はどうしているかときにかかり、風鈴をちらちらと鳴らしているそんな弱弱しいゾウは檻から出て行けといわれたので、栗 ....
{画像=080415103405.jpg}
もう眠ることが仕事になってしまったね。
丸くなって眠っている。
お気に入りの毛布とタオルケット。
近くのカーペットにはおしっこの染みもある。
首筋 ....
芽を花を実を
踏む道をゆき
芽を花を実を
肌に宿す
瞳のなかの高い窓から
さらに高い瞳を見るひと
影の脚が
影の胴を透り
羽の浮かぶ水
何かが去った跡へと至る
....
順調に下りてきた針は息切れし
8あたりで喘いでいる
それを見てただ微笑むだけの君は
海外ドラマに夢中になってて
きのう焦げつかせたやかんをせっせと磨く
よく生きたい、生きたいで
ここまで貪ったものだ
当然、罰は受けてもらう
罪を報いろ
この餓鬼が
あはは、、
腹減ってさ
どうでもいいけど
おじさん髭ない方がイケてるよ
まだもてる ....
こっそりと
ゆびわをかじると きいん とする
ぽっかりと
ちいさなあなのあいた夜
空の一部を
せろはんてーぷのぎざぎざで
ひかりのかたちに
切り抜く
わたしのへやで
ちか ....
夕凪は待つことを{ルビ已=や}めて 知らぬ場所へと流れた
てのひらにぬくくなる小石 解放すれば 水面を模した服を着て
しずかに転がる
濃紺と橙が補色を崩す
群閃光が雲に喰われてゆく
....
槌を取れ
夜に降りてくる天啓を手に
つまらない、眩しくてでかい顔をする
朝のお前を壊せ
明日はもう来ない
同じものはもう二度と
に、
ち、
じょ、
....
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