ラジオをつけると
聞いたことのある曲が流れていて
愛とか希望とか自由とか
そういったことを叫んでいた
壁に掛けてある絵は
何の絵であるのか解らなかった
右下の隅に小さな文字で
ユリネ ....
.flower...ep
円環と、ジル・散る-ring.Oト
.flower...ep
桜花'N -音、浮ラグメントな
.flower...ep
春のsi-温,ド-len扉、r..ル
.f ....
さくらがみたいのと
おまえは呟く
けれども
おまえの為に
こんな時期に
桜は咲いてくれないのです
ようちえんにいきたいの
とおまえは呟く
しかし幼稚園は日曜日に ....
緑濃い{ルビ山陰=やまかげ}から
ひらりと紋白蝶がさまよひ出た
断崖の下は海の群青
湧き上がるすでに夏とはいへぬ
冷ややかな風を器用に避けつつ
蝶は陸に沿つて舞ひはじめる
波打ち際には
....
神は子を産みました
子はやがて分裂し2つになりました
そして私と貴方が生まれました
互いは互いを求め合い
いつしかまた一人に戻りました
貴方は私、私は貴方
....
遠ざかる二段ロケットの軌道
静寂に浮かぶ銀のカプセル
どちらが動いているのか、は
もはや問題ではない
ただ、離れてゆく
{引用=
(お腹空いたかい、ラナ
(大丈夫、ピザを持ってき ....
あなたが私によって受け入れられた間に
誰もそうではありませんでしたが
厄介な姿勢さえ
まだその側のあなたの
FEおよびANAです
無意識の場合
可能でない単語
落ちてください[実行す ....
高速道路の横で
光ネオンに包まれうたた寝している
行き交う車をかすりながら
ゆっくりと歩き出す
飛び立つ鶴の群
湖には立ち止まるほど遠くにじむ
髑髏のパ ....
昨日も
明日は見えなかった
けれど今日は見えた
だから
今日という日を必死で動いた
見えるところは全部
手の届くところ
走って行けるところ
体力が尽きるまで
今日を動いた
今日 ....
酔っ払い
どこまでも寂しくなる夜
赤くほてった顔でふらふら歩き
電信柱に額をあてて寄りかかる
辿り着いた
バス停のベンチにへたりこみ
夢に見る
愛しき君 ....
*
蜂男は全部が蜂でできている。
顔も、身体も、腕も足も
ぜんぶぜんぶが蜂でできている。
黄色がかったオレンジと、黒の縞の蜂でできている。
だから
側を歩くとブンブンブンブ ....
しとどに雨が降る
大粒の雨が
ブリキ屋根に穴をうがつ勢ひで
降り募る
降つて 降つて
怨みを晴らさうと
降りまくる
中に侘び暮す人のうらみを
....
このアパートに住み着いている猫の話では
世界はすでに終わってしまったらしい
猫は目を細めて悲しそうにしているが
世界がいつ始まったのかまでは教えてくれなかった
仕方がないさ、と猫は言う
....
嗚呼、僕の恋人よ
働いて働いて働いて
僕のために
僕のためだけに
もっと働いて
できればデスクワークじゃなく
汗水流して
重い荷物を運搬するような
ツルハシで地面に穴をあけるような
....
りんろ
りんろ
あなたが はなしてくれた
ちいちゃいころ
りんろ
りんろって
云ってたって
かわいいな
りんろ
すてきだな
りんろ
....
なんで 君の大きな手が好きだったのか
なんで あんな夜中に二人で江ノ島で語り明かしたのか
なんで 仕事であんなに張り合ったのか
なんで 君の乗っていた車が好きだったのか
なんで ....
ジョニーが迷子になってしまった
どうでもよいメールがくる
どうしても洞窟から出られないらしい
RPGとゆうやつだ
いまどき
子供ですら余裕のロールプレイングゲームが
クリヤーできない大 ....
大好きな 歌 を
そら で うたえるように なった頃には
もう 君は 投げ出した
すべて の先で
別の 歌を つくり はじめて
光の 先の
何か を 目指してる
僕は 君 の
あと たどり
迷い
泣 ....
{引用=*
ぼくの町ではさあ
エプロンについた醤油のしみまでが神々しく輝くんだ。
- 朝 -
そいつを封筒につめてだな
なんにも書いてない便箋一枚
一緒にいれて。
灰色した丘のうえのポ ....
{引用=山里に出会ふ少女はひたすらに
坂下り行き{ルビ畠=はた}のトマト赤し}
D展に出す絵のモチーフを探して
山地を旅していた
山里の道を歩いていくと
籠一杯のトマト ....
その平行線は
すでに交わっているかのようで
お昼のあまい空気も
ゆっくり笑って降りてるようで
真夜中
雨の音で目覚めた
まだ家にはカーテンがないから
部屋の中は
街灯のオレンジ色で
隣に寝ているはずのおまえが
窓際に立って
そとを見ている
おまえのい ....
毬栗が黄緑色に膨らんで
山の稜線を彩つてゐる
棘の一本一本は張りつめても
刺々しさはなく
光と風と大気に丸く包み込まれて
和んでさへゐる
さうしてなほも ....
女にふられたので、
稚内へ行って死んできた。
稚内へは、羽田から直行便が出ている。
うすぐもりの空がまるでばけものの飛ぶ空のように広い。
ツアー客のでっかいトランクのなか、
浪人生みたいに手 ....
ゼブラゾーンをゆきかう雑踏の
感情のない動き、信号は確かに「緑。
だからと言って 何かが正しくない筈もなく
ビルの屋上からスコープを覗く狙撃手だって
彼らと同じく 無感情だったにちがいない
....
田園の中をのどかに走ってきた
ツートンカラーの電車が
いきなり 都市に突入した
目新しいことではないが
一つの帰結だ
電車はそこに貼り付いて
動かない
....
子供の頃は
船乗りになりたかった
世界中を旅して
冒険して
人食い人種にとらわれて
奇跡の脱出
漂流して
魚食べて生きて
雨を集めて
さめを殺して
奇跡 ....
服を脱ぎ捨てながら
でもそれはなんだか恥ずかしくて
でも人間だから好きあってるから
服を脱ぎすてながら走る
それはチューリップで
色とりどりのチューリップで
....
{ルビ滑稽=こっけい}な自分の姿を{ルビ罵=ののし}られ
哀しい気持で歩いてた
帰って来た家の門の
足元に置かれた
ハロウィンの{ルビ南瓜=かぼちゃ}
皮をくりぬいて
....
人は
たつた一つの
幻を見るために
生れてきたやうなものだ
幻はきまつて
この地平とは切り離された
はるかかなたにある
とても手で捉へることなど
できないほど隔てら ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36