濡れた緑で
夜空を見上げる
数秒後にこの星空が崩れてくるのを知っている
そんな目で
おまえは言う
なんて きれい
薄い唇は街の光を捉えて
俺はその前に沈黙して ....
放出された 夏の、
取り扱いをあやまった空から
束ねられた雨が落下する
世界はまだ、はっきりとした輪郭を持っていて
ぼくも きみも それを知らない
ウィリー、ウィリー、
なぎ倒さ ....
よじ登るんだ
向こうに行くんだ
自由になるんだ
あいつがカメラを
構えてるすきに
ぼくは哀しみを探索する哀しみ皇子
涙を宝石にするっていうオジサンのところでお泊りなの
しごとが終わってオジサンは
「皇子、ここに座りなさい、飲み物を出してあげよう」
なんだか、琥珀色の飲み ....
鳴り 響く声 命は今
戦いの真っ只中だ!
おおっ、人々よ
過ぎ去った深紅のレールが
次の一手を攻めあぐねている
鳴り響く
キンキンと鋭く突き刺して
叫び声が人々に
....
別れの朝
ミルクコーヒーと
クロワッサンに
味はなくて
バスを待っている
海から海へ帰るバスを
外に出て
港のベンチは石造りで
日をためて暖かくて
漁師たちの船が出て ....
宇治橋
夕霧にかすみつ渡る面影に
露けき花の色が重なる―――
観月橋
しめやかに
欠け満たされぬ夕月の
心を以ってなぞる君の名
....
ピアノの調律を数式化した教室で
黒板に書かれた文字を
僕たちは理解しようとしない
故郷の水不足を報じる朝日
此方では雨が降るけれど
牛の鞄ではダムにはならなくて
蛍に逢いたいと
彼女 ....
端座し
呼吸を整え
息を数える 一 二 三・・・・
不動の座禅 鳥の声
意識は研ぎ澄まされ
一呼吸するごとに
『魔境』というイメージの嵐に犯されている
意識の特異点 ざわ ....
お風呂場にふった雨
バスタブに溜まった銀の雨
消えかけていたばらの芽が
音もたてずに開く とき
窓をすべる雨粒が
不機嫌な猫を起こしてしまって
引っかかれた夏空は
静かに笑って ....
闇は町を飲み下していく
水性の夜空と
夜行性の水が交わる
境目を覗き見るように
島の火から水平に引いた補助線は
離陸していく
それが星だと気づくと
線は頭上を越えていく指先だった
....
にちようびのまひる
夜勤から帰ってきた母が
茶碗を洗っている父に
仕事の愚痴をまくしたてている
母はこのあたりでは聞かない
すごみのある口調でしゃべる
南のほうの言葉だと聞いた
なに ....
´
生まれたての
ダッシュされない
耳の美しいカアブ
描いて
´
(何か音)
聞いたこともない
さわれない
見る
ことも
青空に
シャープ
黒鍵に落ちる
細い指
....
りぃ りぃ りぃ と雨が降り
渇いた大地を潤してゆく
六月は
晴れたり曇ったり
そしてこんなにも雨が降ったり
(もうこれ以上叩かないでくれ)
庭にはやっと咲いた花たちが
....
梅雨の季節に入り
自分の住む街にも雨が降り始めた
テレビの天気予報では
しばらくの間はこのままだという
ぼくは家の中
ここにいる限り雨には濡れない
家の屋根がある限り雨には濡れない
ぼく ....
指先だけで、そっと
窓を開いてみる
隔てていた向こう側には
空の海があり
紙飛行機を飛ばす
誰宛てとかではなく
紙飛行機を飛ばす
そこに、意味なんてない
ここは海だろ ....
会社をやめて独立したという古い友人と
ひさしぶりに私のアパートの部屋で飲んだ
これが意外に儲かるんだよ
と言う友人は、自動販売機になっていた
胸には常にテレビのようなものを映している
あ ....
万華鏡の街にヒビが入って
あっけなく砕け散るのは僕の視界だ
その後に残るのも世界かい?
公園のベンチにエイリアンが座っている
その口は動いているのに閉じ ....
可能な限り開け放された
円い3つの堅牢な
窓枠から誘われて
無力に為る儘
飛ばされ来た庭
果実の花には
漂白のしろ
そして
滑らかに舌に添う
蜜のとろみは
翅をもぐより ....
舌がある
それで君を舐めようか
冷えた舌先が触れるとき
君の肌で
どんな音がするか
固まった
ちいさな
ちいいさな結晶が
溶ける音がするか
こんなすこし暑い季節なら
しゅと
音が ....
みんな悲鳴のかたちをしてるから
みんな無視って
君はいう
だもんでコチョコチョ
脇腹をくすぐってみた
バコ!
えー、君の悲鳴は僕の悲鳴に変わりました
めでたくないけどメデタシメデ ....
埒もない想いに身を委ねてしまうのは
この季節特有の気紛れと
触れて欲しい
昨日までのわたしを脱ぎ捨てた
わたしのこころに
この瞬間に生まれ変わった
わたしの素肌に
季節は夏
....
夏の終わり、堤防の匂いが心地よく
僕らはまた夜を掻き混ぜるのです
僕の腕を引く君の手が少し、緩んで
近眼の僕の視界には唇
「好きです」
十号玉が一斉に横顔を照らして ....
ムーミームーをポケットに入れて、
雨の街を散歩する。
ムーミームーは雨の子だから、
ポケットの中は大騒ぎ。
雨が、
ぴちょりと歌うたび、
ムーミームーも歌い ....
私達は実に多くの物に触れていた
いや、どこか語りに欠けるものがある
触れていて
生という得体の知れない獣に
愛情の紅さを見ていたのだろう
血色の涙が呼吸となる
焔の雨
....
むー。
と、
音がして
電車がホームに入る
それは声ではなく
乗客の
希望と不安と
そして無関心が
いりまじった
心の音
今朝の
むー。
は、
1オクターブ
高かった
2007/06/20
さて今日は、
この辺でお開きと致しましょうと
缶蹴りをしたつもりの鰹節の鉋に蓋をして
戸棚に収めてニルバーナー過程に入り ....
いっそ
世界の銃口から
俺の言葉が
ポム、と
発射されればいい
くだらなさ過ぎて
みんな戦いを辞めるだろう
もうじき月の季節が来る
あの夏の日が
いつまでも続くと思っていた
僕は
僕はきっと
もうじき月の季節が来る
提灯に映し出された影が
君の幻に見える
しゅわわと炭酸が放たれて
毛穴から上昇してゆく
からだの中にあったCO2は
静脈の網目をくぐりぬけ
ちいさな竜巻をおこしはじめる
炭酸の泡がプチプチとはじける音は
徐々に大きく体に ....
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