白鷺の翼、夜明けの光に優雅に広がり
その時、誰か自らを殺し漆黒の淵
瞑目する 意識の内に
焔の燃え上がる水平線 観えた瞬間、
伸び広がる時空の無限に
内から外へ向かう力と、
外か ....
大好きだったシンガーが死んだ
ピッツバーグからグレイハウンドに乗って
何かを探しに行った時代は
まだ探すべきものがどこかにあった
今はもう
クリック一つで何でも見つかると
真実かど ....
何処までも続く白い路
きみと二人なら怖いことなど何もない
雨の日も
風の日も
手をつなぎ歩いてゆこう
蝶は光を歓び飛び
花は光を憧れ開き
人は光を失い生き
哀しみは喪失 喪失の忘却され、
魂の意識の底の其処に
けれどしっかり刻み込まれて居る 、
クラス ....
○「生きている不思議」
生きている生きている
今日も生きている生きている
考えれば考えるほど
不思議な生を
今日も生きている生きている
いつまで生きるかわからないが
今日も生きている生き ....
コーヒーをやめて{ルビ白湯=さゆ}にす冬の朝
小春日の電車園児に満たされて
ふくよかな大根足の{ルビ娘=こ}もいいね
その音のパリッと淋し踏み落葉
シュッとして冬のゴキブリ安楽 ....
大根断ち白き純情現はるる
鯛焼の尾までうっすら{ルビ餡子=あんこ}かな
鯛焼屋客の多さに目が泳ぐ
鴨のんき見るぼくも又のんきかな
くるりんと体丸めて鴨潜る
{ルビ灯火=と ....
十六の胸で炸裂せし「檸檬」褪せぬ果汁よ残りし種よ
図書室で恋うちあけし{ルビ汝=な}の弾いた合唱祭のピアノ忘れじ
「もうひとつ恋終わったの」と告げられし十七の残酷はいま ....
白い闇が襲う
これまで生きてきた想いが募る
私に prestoをかけようとする
崩れかけた斜面の沿線
時には避けて
時には埋めて生きてきた
はじめて神様に祈りを捧げたの
....
街角でティッシュ渡され冬の空
この冬は{ルビ暦=こよみ}通りの寒さかな
からころと下駄を鳴らして湯ざめかな
掃く人の去りて落葉がまたひとつ
野良猫も老いの歩みや落葉道
「 ....
さくばんの眠りの残り滓
吐ききって 吐ききって 吐ききって
今朝はつとめて寒いなぁ
凝集した感性を冷やします
僕は真白い一頁
一体ここに何を書こうか
この朝は妻と和 ....
○「ボケると」
ボケると
自分の行動や判断を
疑ってみる
ということをしなくなるから
解決が難しくなる
○「高齢者医療」
医者は
問診の前に
年齢で診察するのではないか
「70 ....
白いシーツに午後の陽射しが映る
暖かなベッドに横たわり
刹那に消える夢を観た
アイス珈琲を飲みほして
虚ろな時をやり過ごそうとしても
うつら うつらと首を振る
至福はすぐそばにいっ ....
下に在るものは上にも在るように
上に在るものは下にも在るように
哀しみの雨は今日も降り続け
貴女との電話は繋がらず
今日もまた哀しみの静かさに
死んだ後に在るものは生まれる前にも在る ....
○「トランプ氏返り咲き」
78歳で返り咲き
とは驚きである
新しいアメリカンドリームだ!
バイデン政治への不平不満や失望が
トランプ氏返り咲きを生んだのだろう
それにしても新天地アメリカで ....
あおい青い大空がひろやか広がり
ふとよろりお爺さんが眼前を過る
あんれ、まあ 不思議なこと、
外出したとたん待ち合わせた様に
連日二日見た禿頭痩身の背の高いお爺さんが
眼前を歩むのだ ....
今深く吸い込む息と共に死ぬ
キスをする過ぎゆく秋の弔いに
電話越し雨降る音を声にする
街灯をむなしく映す窓の雪
重力に負けたわたしに雪が散る
椅子を引 ....
詩の様に小花に秋の小蝶ゐて
食ふ顔も干柿に似るおばあちゃん
靴置き場{ルビ紅葉=もみぢ}もふたつ並びをり
妖精が紅葉を履いてやって来た
ぷるぷるの中に歯ごたへ橡の餅
干柿 ....
もとより文鳥は風切羽を切っているので
高くは飛べないけれども
不便はない、という
狭いこの診察室で暮らしていくには
ここには空がない
文鳥は空を知らない
ねえ
鳥の脚を見て
そこだ ....
急な傾斜の小径をのぼり切れば
大きな旧居の横手に広がる
段々畑が見えてくる
金網のフェンス越し、
至近距離で咲いているアザミへ
iPadのカメラを向けてみる
うつし世の碧 ....
りんご
まず愛されないといけないんだ
ごりら
だれかとつながりたいと願うなら
らっぱ
らくだの背中に入れておく粗品
ぱんだ
何か 膨らみを持たせるための何かだ
黙ってうつむくそのひとの ....
そう きみと二人
菜の花畑の向こうに碧い海を眺めたね
遠く水平線には洋紅色の貨物船が浮かんでいた
固く手を握りしめ
明日の行方を占った
きみの{ルビ華奢=きゃしゃ}な肩を抱きしめながら
....
大福の舌打つ甘さ稲光
秋逝くも大福食うてのんきかな
大福の豆噛み殺し菊供養
品切れで焼き芋を買ふ焼き芋屋
焼き芋や思ひ出はみなほの甘く
この小銭さて豚まんか焼き芋か
....
足許の明かりを響かせたなら
独りの私が新たな家に還るだろうか
あゝこの天空を仰ぎ見ればただただ青 、
貴女たちの住処は真ん中に
まぁるく黄金に輝き燃え盛り
地上の生も死もあまねく照らし出 ....
長らえてふと懐かしい部屋の壁
月曜日、仏壇に蝿が来ている
ひとつだけ秋空に乞う生きる意味
鬱の字で冷えたカルテを陽が包む
詩や歌と同じ濃度の息を吸う
....
きみ、
夏でも秋でもスノーマン、
おさげ頭のスノーマン、
白いましゅまろみたいなほっぺたを、
ふたつの手のひらでおさえながら、
首をすこぉーしだけ斜めに傾げて、
笑うと、目が細くなる、
....
鈍色の民家の瓦と重なって見えた
黒味帯びる朱をのこすだけの
散り落ちぬ大輪のバラ
秋立つ日
貴女はうつむいて想いに耽り
天蓋の星たちが数回瞬く間の短い夜を
すごして ....
夢にずっと浸っていたかって
眠ると夢に行けるから眠りたい
運が良ければ前来た光景へもう一度行ける
そう願って、
日中ずっと
また、早く行きたいと
思っていて
目の前の事なんてどうでも ....
九月末にカメムシ防除の消毒をしてもらうのだが、あいかわらず彼らはその予防線を突破し室内に入り込むのである。しかし、彼ら自体の悪臭と薬物の作用でほとんどの単体は家屋に侵入後絶命、若しくは瀕死の状態で仰 ....
磨かれた廊下に深海魚たちがゆらり
ゆらゆらとゆっくり泳ぐ
深い眠りに就いているのか
夢をみているのかわからない
天気予報では明日は雷雨
深海魚には予報も関係なくて
廊下をゆらゆらと泳いでる ....
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