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ひと粒の種の眠りに欹てて
空と地は結ばれる
養い子らの息
殻の中で膨れる水脈
夢のからだが眠りを突き破るまで
太陽が孵す夏の日は澄んだ炎
抱きしめた夜は火傷を負って
欠片ひとつ 片 ....
思い出の欠片も落ちてはいない
生まれて初めての南の島
君はそこで何を探したのだろう
たなびく細長い雲に薄くスライスされながら
溶岩のような輝きを溢れさせ沈んでいく
座間味の濃い夕陽
崖 ....
たなばたさまも終わってはやいっかげつ
あまのがわにであったわたしとあなたの
まぼろしのおうせも忘れられる季節です
ぎんがのいりぐちには夢と絶望があって
にかこくごを話せると喜んでくれたけど
....
遠い落日から潮騒はやってくる
零れおちた輝きは
海硝子にはなれない貝殻たち
のこるものは夜光貝の
幻というかそけき冷たさ
空の螺旋のうちに響いている
遠のくということは淋しい
それは砂を ....
いしを抱いて夜を
ひたす
そして そめられていく
呼吸を ほのかに名付けて
あなたはうまれたのでした
ちぎれるように 風をおこして
春だとか夏だとか
うんざりするような ....
ひとつ 齧れば夜が欠けて
林檎は白い肌さらし
屋烏に及ぶ口笛の哀しき音いろに
艶めいて 夜の香りを染めていく
ひとは哀しく身はひとつ
ひとつ 齧れば夜が ....
山の斜面の墓地を巡り抜けて
今朝 風は女を装う
澄んだ襦袢が電線に棚引いて
蝶たちは編むように縫うように
ぎこちなく鉈を振るう
季節の塑像が息を吹き返す前に
キジバトの影が落ちた
泣 ....
あの人は嫌い
あの人は好き
あの人はどっちでもない
そしてその他には
興味も関心もわかない
おおぜいの人
その他おおぜいの人
あの人は私に好意抱いてくれそうだ
顔を会わせる度に ....
その冷気に驚いて、振り返ると
君はその夜も凍っていた
孤独は冷たく瞳のはしから
ひとすじツーって流れ落ちたね
うすい赤色の唇が、吐息を漏らすのは
しあわせという嘘を舐めつくした ....
その夜見た夢の中では
終始一睡もできなかった。
真っ青な大空の下で
気が遠くなっていた
真っ青な大空の下で
空中ブランコのイスにすわっていた
ブランコが大きく揺れるから
私の ....
静けさが鼓膜に当たる
しとん。と打ちつけるひとりの音
風に耳をつけるたびに聴く
傍らに佇むような誰かの鼓動
暗やみを角膜が吸い込む
ひたん。と拡がるひとりの気配
窓辺に佇むと街灯が眩し ....
心の罪は
どうしようもなくて
冷たい風が吹いている
そのとき失った人の名前は
この街の駅のプラットホームに
うずめておいたよ
なんといったか
どうしようもなく
....
pc 持ってないし
使えないし
だから
詩はいつもスマートフォンで打ってる
たいがいは
家族が寝静まった深夜に
寝床で寝ながら打ってる
都合のいい事に
家族は誰も
詩 ....
とり忘れられ
赤々と熟れ過ぎた
トマトが、ふと
地に落ちひしゃげ
鴉が舞い降りた
赤い飛沫を舐めとるように嘴で何度も
つつき、カァァァァァァ、と鳴けども
人びとは潰れた野菜など気 ....
新鮮をたもつことはむずかしい
いつもそれはてもとから去ってゆく
この瞬間の永遠を画布に塗り込めて
とっても地球が重い日にぼくは
だれかの友達 になることを決めたんだ
彼もしくは彼女は ....
風は立ち止まると消えてしまった
草木が{ルビ堪=こら}えている囁きを零すまいと
螢を宿した子宮のよう緑は極まり
森は風の帰りに欹てる
蝶の影が肩を掠めた
あるはずのない感触は誰かの笑いの ....
詩なんて書かない方がいい
書いても
胃腸に滲みる訳じゃない
米粒ひとつわかないよ
詩なんて書かない方がいい
それより自慰でもした方が
なんぼか気持ちがよくなるよ
詩なんて書かない ....
六十四歳になってしまった
今更
文学への高い志しなんて持ってないよ
ただただ
インターネットいう海に
言葉の葦の舟で漕ぎ出しただけ
もしかしたらその行く末は
砂漠の果てに打ち上げられ ....
一人になるのが好きだと
そんなことほんとうは
思って欲しくないの
風の強い夜は
ウツギの細い枝も
いつもは届かない手を
お互いに差し出して
踊ろうかと言う
一人の部屋で耳を ....
あじさいの花房は梅雨の色
差し出した手を青くして
この七月の静かな一時
あなたは寂寥と戯れる
うっとりとした顔で戯れる
時は輪切りにされ垂直に立ち
....
精神の潮流にのって
肉体の小舟で漕ぎ出してゆく
陸が見えなくなると
ぼくは裸になって
小舟から身を投げ出す
青い波の荒野の上に
ぼくの小舟と服と
樫の木のオールが残される
....
1 夏雨
梅雨の長雨にうたれていますのも
窓辺で黙って日々を記すものも
ガラス瓶の中で酒に浸かる青い果実も
皆んな夏でございます
あの雨のなか傘を忘れてかけてゆく
子ども、あ ....
都市伝説じゃなかった。
文字通り、地方か田舎の伝説。だから、信じるもよし信じてくれなくてもいい。
俺の父親はちゃぶ台のひっくり返しが好きだったみたいだ。頑固一徹で癇癪持ちで我が儘で無類の酒好き ....
まじょが
カレーの皿を割っている。
いつか出逢えるあなたを
この屋上で待ちながら
もう出ない声を絞り切り
歌う歌がある。
もし空を飛べたなら〜
あなたに会いに行きますよ〜
....
何ら事前の相談もなく、いきなり現れて解雇通知を渡された。
お前はもう要らないお払い箱だと言うわけだ。
定年延長も再雇用も
しないという訳だ。
年寄りに高い金払うなら、若い人材を安く使いたいと言 ....
アスファルトに白く煙る雨は激しく
鶯は黙ったまま昨日あれほど愛し合ったのに
他人より冷たい自分が通り過ぎる
あの日見た夢の
百本の釘を打たれ血の泡を噴く狐
笑うように喘ぎ死にきれず
朝 ....
空模様は空の気分しだい
なのに
わたしの毎日は単調
わたしの選んだ生き方は単純
わたしの肉体構造は
しいて言うなら凹
ずっと同じ男と
一つ屋根の下で暮らしていた
その間に
子 ....
フォークリフトは俺の愛馬だ
手綱はハンドル
レバー操作で
馬はいななく
俺の愛馬は屋内じゃなく
屋外だけを走る
馬なんだから当然か
雨が降っても
たとえ
槍が降っても
....
イーゼルの端から
あなたの目を見つめる
すれ違いの視線が嬉しくて
わずか8号のキャンバスに
尽きることのない思いを重ねる
窓から入る黄昏の風に
鼓動が乗って赤く染まる
もう少しま ....
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵のように残り
自分が此処に居ることが
怖いくらいはっきりと浮き立つ
病院の午睡時は
誰も居なくなる
ただ人の気配だけ
影絵の ....
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