石のおんな
すいせい



いしを抱いて夜を
ひたす 
そして そめられていく
呼吸を ほのかに名付けて
あなたはうまれたのでした
ちぎれるように 風をおこして


春だとか夏だとか
うんざりするような
軽さに 季語は座り
あせじみた羽衣を
植物の枝に かけて
わすれ     て   しまいましたか
      くくられた いのちの
            そのじせいを


磁石をおとして
めぐるつむじ
うちがわにある みずの本流を
愛せるのでしょうか
にぎりこまない ちいさなて
矮小なむしのような ゆびが
いつか 星をさすのでしょう
にごることなく


かける おとが
ひいて いく
たしかめるように
はら
その表面をなでて
やさしいはんぱつに
なみうつ
これはわたしでしょうか と


やわらかな 髪が
春の原にたとえられる
その かぜは
たしかに
わたしから たちのぼった風
けれども 行き先は
わからない
そういう いしを
割る





自由詩 石のおんな Copyright すいせい 2019-08-01 15:48:44
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