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ひとつ 齧れば夜が欠けて
林檎は白い肌さらし
屋烏に及ぶ口笛の哀しき音いろに
艶めいて 夜の香りを染めていく
ひとは哀しく身はひとつ
ひとつ 齧れば夜が ....
とり忘れられ
赤々と熟れ過ぎた
トマトが、ふと
地に落ちひしゃげ
鴉が舞い降りた
赤い飛沫を舐めとるように嘴で何度も
つつき、カァァァァァァ、と鳴けども
人びとは潰れた野菜など気 ....
1 夏雨
梅雨の長雨にうたれていますのも
窓辺で黙って日々を記すものも
ガラス瓶の中で酒に浸かる青い果実も
皆んな夏でございます
あの雨のなか傘を忘れてかけてゆく
子ども、あ ....
雨の雫に濡れた畑の瑞々しさ
自然を開き破壊して得た日々の糧
だからこれほど輝いているのか
ぬかるんだ畑に足あとがみえる
だれの足あとかは知らないが
きっとだれかの足あとで
あなたも ....
歌が、つたっていく
庭の忘れられたような手水鉢に
雨どいからひとしずくひとしずく
水はいつか溢れるだろうか
歌が
ひとの器から
溢れだすように
きくものをえらばない
染 ....
丸い小窓を抜けたなら
まぁるい形になるだろか
四角い小窓を抜けたなら
しかくい形になるだろか
まぁるくしかくくなりながら
眠る赤児のくちをぬければ
どんな形になるだろか
そこにい ....