黄昏の美術室
丘白月


イーゼルの端から
あなたの目を見つめる
すれ違いの視線が嬉しくて
わずか8号のキャンバスに
尽きることのない思いを重ねる

窓から入る黄昏の風に
鼓動が乗って赤く染まる
もう少しまだ描いていたい

部屋の時計が
止まればいいのに
終わりのチャイムも
聞こえなければいいのに

夕日が部屋の壁を支配する
逆光のあなたの影が
私を抱くように近づく
リンシードの匂いが
あなたの唇に触れる

モデルのあなたは
窓辺で光に溶けていく
遠くへ行ってしまう気がした

筆だけじゃ追いつけない
足りない色を言葉にする



自由詩 黄昏の美術室 Copyright 丘白月 2019-07-11 21:50:05
notebook Home 戻る