黄昏の美術室
丘白月
イーゼルの端から
あなたの目を見つめる
すれ違いの視線が嬉しくて
わずか8号のキャンバスに
尽きることのない思いを重ねる
窓から入る黄昏の風に
鼓動が乗って赤く染まる
もう少しまだ描いていたい
部屋の時計が
止まればいいのに
終わりのチャイムも
聞こえなければいいのに
夕日が部屋の壁を支配する
逆光のあなたの影が
私を抱くように近づく
リンシードの匂いが
あなたの唇に触れる
モデルのあなたは
窓辺で光に溶けていく
遠くへ行ってしまう気がした
筆だけじゃ追いつけない
足りない色を言葉にする