どこへかえるというのか この雨は
やさしさをわすれて ふり続く
怒りの炎に しずむ街
あふれる川の そのあとは
再びめぐりきて ふ ....
絶対零度を維持して推移してゆく君の機嫌は地球の天候を狂わしてしまう
朝食のトーストでさえテーブルの向こう端の原野に追いやられて僕は
親友の結婚式の引き出物のスプーンのようにこの家に居場所のない余計 ....
透けたドレスの色素胞が 破れだすドレスの模様を引きずり
駆け降りた階段のうえの影の
柔らかな滞在
終わりの星座の再来が まだその長裾の延長にまどろめる夜を 担える優しい足跡の腹面 ....
{引用=カラカラと糸車を誰かがまわしている
その糸車の糸に多くの人の指が絡みつき
血塗られた憎しみの爪をのばしたり
いびつな恋敵の小指たちが
ピリピリと過去の妄念に反応して
親指は ....
白いシャツを着せられていた
脱ぐことも赦されなかった、そのシャツを
声を発するごとに
胸の真ん中についた、赤いしみ
どんどん大きくなっていく、赤いしみ
(人とすれ違う ....
夜で 少女で なんにもなかったとき
さびしくて 本のなかでよく眠った
本のなかも さびしかったが
外よりはすこし せまくて良かった
おきるといつも跡がついていた
夜に折り目をつけ ....
真剣に生きすぎていた
それが他人を傷つけたりもした
どうせ無名なまま死んでいくのに
そんなに頑張らなくてもいいではないか
意味などなくても
だらだらと意思もなく
....
神話が語らない
占いの及ばない
誰の願いも届かない
遥か遠く
暗く冷たい空白に
在って
在るからこそ放出する
己の核から外へ外へと溢れ
続け 続けて
やがて尽き果てた
非在の残像
....
深い陰影の中に
浮かび上がって来る清流、
何処までも澄み切り柔らかに
無音の透明なイキモノそのもの
流れて在り 在り流れ
その岸辺からの平らな地面の広がりに
秩序正しく並び立つ無数の小 ....
狂気とよばれる瞬間に我々の黒目は最大限に広がる
自動ドアがひらいて
コンビニスレイブだったティーネイジャの僕たちの
加速するブラックホール的なここ
人工衛星がいつかゴミとなって徘徊しはじめるま ....
あなたは だいたいいつも
ニコニコしている
わたしは おおむねずっと
ムッツリしている
あなたの笑顔は混じり気なし
スカッと日本晴れ
わたしの苦笑はどっち付かず
つゆの晴れ間
....
暑さ厳しい夏を向こうに控えて
君と聴くモーツァルトが今日は愉しい。
無限の広がりをその音に託し、
感情の極限を曝け出した楽曲達が
この耳を刺激する。
曇天が水滴を垂らすような ....
汗に塗れた自分の身体が
悪臭を放っているのではないかと気になる
居心地の悪い想いを拭えず
いたたまれずに苦笑いをしてみる
誤魔化したい逃げ出したい
だのに身動きがとれない
拷問 ....
言葉にするとすべてが嘘に変わってしまいそうで
だからずっと黙っていよう
嬉しいことも悲しいことも
なにもかもを飲み込んで
明日もこうやってここにいなくちゃならないし
行く場所なんてほ ....
近くのコンビニに行ったら
コピー機の裏に入りこんで
トンボがバタバタしていた
羽と全身をブルブルと震わせて
ガラスに勢いよく体あたりする
そのまま横すべりして
左右の出っぱりが ....
僕は
僕を操作していたボクを殺した
僕の墓場に埋葬した死体は
決して生き返らせることはない
その夜僕は酔っていたのか
口から出てくる死体
スパンコールの衣装に身を包み
光の輪の中で高 ....
一直線の細い雨が降り注ぐ
大海原はビクリともせず
静寂で寛大で奇妙で
恐ろしい
嵐の前の静けさというのか
不気味なほどのしじまは
いつまで続くのか
素足のままでいいのか
ここで ....
ウゴメキ出す闇、またこの夜陰
鉛の無機質、匿名性に包まれ
アーリマンの暗躍
天井に張り付く
無数の灰白色子鰐
いずれこの脳髄に襲い掛かり
わたしの形骸意識占拠し尽くす
なあ人存在 ....
感謝とは
じぶんの命とじぶん以外の命、その近さを
もったいないな、申し訳ないな、と感じるこころのことだ
だれもひとりでは生きられない
ひとりというか
生き物ひとつで生きる ....
ほおずきをぶら下げて
ぼくは萎れたオレンジをぶら下げて
お寺の門にひろがる空を見る
勇気を与えよう
安心を与えよう
不穏なことに慣れ親しもう
そしてみんなで自民党に ....
梨沙子はタバコを吸って
吐く
煙がふわっと空に漂う
昨日はゲームのやり過ぎで
目が疲れている
焦点がうまく合わない
何だかイライラするし
スマフォで暇つぶしもしたく無い
だから、
....
その猫の名前はジョンといった
まるで犬のような珍しい名 ....
僕は継ぎはぎのコラージュ
君は端切れで出来たパッチワーク
お似合いのカップルだと思うのだがどうだろう
僕は季節外れの風車
君は糸を忘れた糸車
似た者同士のような気もするのだが
もう ....
悲しいことなんて
気持ちやからだに従えば
気になることでもない
じぶんを大切にしなければ
他人に依存してしまう
そんな生き方を選ぶべきではない
愛なんて
....
電波はいいな
まっすぐ
届くんだな
時には
空に反射して
野山をこだまして
あなたと写真を撮る
危ない場所もある
だめですよって雑誌がいう
知ってるよ
知ってる
疑う ....
突然現れた
たぬきうどんの幻影がぼくを襲う
少年の頃に食べたきり
ご無沙汰していた
きつねうどんではどうも具合が悪い
コクリとした胡麻油の揚げ玉でなくてはならないのだ
ほうれん草と鳴門巻き ....
くっきりと
光と影
鳥がくぐる
風の小窓
暑くなる予感
離れてそよぐ木と木
その根が見えないところで
触れあって
幼い蝉のまどろみ
光の夢の歌声を聞いている
木はそ知らぬ ....
鬩ぎあう
調べと琥珀の液体に酔いながら
明日を占い
夜の帳に沈んでゆく
漆黒の陰から
死神が頬笑んでいるのを直感した
それでも
恐ろしさは微塵もなくて
親近さを感じ
彼と酒で ....
午後三時の静けさ
午後三時にコーヒーを飲む
落ち着く心
コーヒーの香りが漂い
柔らかな空間を作る
苦味が強くても
砂糖の甘味が和らげる
飲みやすくなる
コーヒーの香りが好き ....
むせ返る 土曜日の落日前
街なかの みすぼらしい
原っぱでは 飽きもせず
黄ない喊声が渦まいている
なんで そんなに
....
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