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あの日、貴方が見せた笑顔は優しさそのものだった。
あの日、貴方が零した涙は悲しみそのものだった。
あの日、貴方が褒めた私は嘘そのものだった。
あの日、貴方がくれた温もりに気付けなかっ ....
晩秋の高原に吹く風が肌に冷たい。
今は昔の心をもって現実を生きている。
求める事も縋る事すら許されない。
寂しさは明けては暮れてゆくものだ。
退きながら遠景を見ている。
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閉ざされている。
この窓も、どの窓も。
・・・城門も。
あの森の教会の扉も?
閉ざされている。
パリの冬も。
ニューヨークの夜も。
もしかしたら私の心も?
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よく晴れた日、木の下に立って空を見上げる。
くたびれた木の葉が太陽の光を受けてオレンジ色に透けていた。
これほど美しい情景があろうか。
溢れた感情がフレームに収まり切れずシャッターは ....
寝起きに熱いココアを一杯、これから朝を迎えます。
あなたに吹く風を私にも分けてもらえませんか。
春の嵐のような昨日をすーっと忘れてしまいたいのです。
雲の多い朝ですね。
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多摩南野に吹く風が透明度を増してゆく。
秋が季節の扉を開ける。
時の歩みに歩幅を揃えると、
あっという間に歳をとる。
嬉しい時、私は笑う。
悲しい時、私は泣く。
楽し ....
ほんの少しの願望に疲れを感じる昼下がり。
九月の雨は遠く憂いを含んでいる。
彷徨う人は彷徨い、佇む人は佇み。
寂しがり屋の誰かの心は僕を郷愁に誘う。
非日常の中に日常を見つけ ....
夏の日差しが音を立てて崩れてゆく。
音楽は鳴り続けていた。
誰かの後ろに隠れているのは誰?
曇天は私の心模様に似ている。
誰かの奏でる音楽に耳を澄ませていた。
時折見せる ....
海を見ていた。
あなたと私の隔たりをどうしたら埋められるのか考えていた。
夢にあなたが現れてその時は号泣していたのに
朝目が覚めてみると枕はほんの少し滲みているばかり。
海は ....
深い眠りに就く前にお前の笑顔をもう一度見たい。
お前の笑顔は私と子供とを優しくさせる。
たった一度の夜に訪れる魔法の力。
さあ、私らに笑顔を見せておくれ。
お前は病床で安らか ....
思い出の公園でブランコが揺れていた。
横浜に降る霧雨は仄かに青色で。
なぜだか僕は独りぼっちで寂しくて。
今在る幸せに気付く事も無かった。
誰もいない公園で僕はブランコに揺ら ....
黄昏時に降る蝉しぐれ。
巡る思いは故郷に焼かれ、
砕ける波には顔が現われ、
存在すらも消えてゆく。
幼子の手を引いて寺の参道をゆく。
夢かうつつか幻か。
奥手に望む海 ....
吹く風に捕らわれた身は山を駆ける。
幾たびも過ぎていった時を頼りに。
先人達の漲る力に生を覚えて、
村はずれの舗道にただ立ち尽くす。
吹く風に捕らわれた身は川を渡る。
輪 ....
明日への旅路の始まりはどうしようもないほどに、ここ、なんだ。
僕は驚くほど体力を消耗している。
朝を恐れていくら夜にしがみつこうとしても煙草の灰が増えるだけ。
人は自分に自信を持てと ....
眼鏡の奥の青い瞳が血で染まる時、埠頭から飛び立つ鳥よ、憎しみに湧け。
人間の弱さを自分の弱さと重ね合わせ、逃避する心よ、悲しみに暮れろ。
存在を日々消費してゆく者が夕景に若いエキスを吸い ....
記憶の彼方に浮かぶ一艘の客船は時を巡る。
大海原は凪いでいる。
トランス状態に入る前の静けさに音楽は語る。
安らぎはいまだ訪れはしない。
多少の情緒不安定は正常だ。
海は ....
解放の日、森に朝霧流れ、緑の木々が薄青に沁みている。
貴方の透き通った声が森に響き、鳥たちは讃美歌を歌っている。
まったく突然に新しき日々が訪れた。
それは過去を失った人々にも同じ事 ....
散りゆく桜に想いを寄せて書き下す一編の詩。
夢に刻まれる走馬燈。
愛をそれと気付かずに駆け抜けた青春。
後悔の後の懺悔を心はどう捕らえようか。
恍惚と愉楽の両翼にまやかしの日 ....
悲しみを夜空に放って明日が風の向こうに佇んでいる。
発散できない苦しみを胸に秘め、明るい明日をじっと見つめる。
希望は憶測の彼方に掠れ、現実の重みに耐えている。
ペン先は暗がりを好む ....
何気ないひとときがとても大切に思える朝。
光はまだ淡くカーテン越しに差し込んでくる。
今を生きている事に幸せを感じ、与え、受け取る。
闇夜の呪いがゆったり溶けてゆくようだ。
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愛を囁くと梢が揺れた。
協奏楽の流れる部屋に人は無口で
病人の枕元に一輪の花をかざした。
今在る優しさに皆耳を澄ませた。
枯草の美に共感出来た時、私は和的な幸せを得た。
....
どこまでも透き通ってゆく緑の世界に僕は立っていた。
遠く小さい窓辺から新緑に映える森が見える。
手を伸ばすとそれは限りなく広がってゆく。
足元には色鮮やかな花々が咲いていた。
憂 ....
神々の祈りに私が微笑む時、ああそれは幻か。
煙草の煙に佇む旅情、今は健気にその花を咲かせるがよい。
苦痛にも耐えてきた魂。
すべてが浄化される時が来たのだ。
清い水の流れに鴨 ....
裏通りのささやきがツンと耳に触る夜、
僕は一篇の詩を描いた。
ネガティブが開いてゆくような感覚をもって。
けっしてポジティブにはならないような。
量ることの出来ない悲しみは ....
遠く南アルプスを望む高原で私は風に吹かれている。
風は私に留まり、そして通り過ぎる。
風は私の人生を肯定する。
私の生きている意味さえも。
風を信用していない私は少し戸惑う。 ....
暑さ厳しい夏を向こうに控えて
君と聴くモーツァルトが今日は愉しい。
無限の広がりをその音に託し、
感情の極限を曝け出した楽曲達が
この耳を刺激する。
曇天が水滴を垂らすような ....
キャンバスいっぱいに塗りたくられた真っ赤な背景に
ピエロの肖像画が悲しい瞳を私に向ける。
有無を言わさぬその迫力に思わず目を背ける。
その時私はやましいのだ。
そのほとんどが ....