反旗を翻すと
狼にごみが付く
子連れ狼は去って行くが
最近眼鏡の洗浄液を
けちって居て
少し汚れた視界に映る
子連れ狼も反旗を翻す
子連れ狼の
二回の轟音
カラオケで少し目が潤んでい ....
背中を左右に開いて
川の水が溢れ出した
(孤独な独白が掘り起こされる)
胸骨の狭間を裂いて
海の水が零れ出した
(虚言を齎す陽が差し込む)
真白い骨が尖ってゆく
鏡の中で ....
炎天下
暗転する
極めて正直な
光の圧に屈服
発汗 溶解した エロチシズム
レイバンをかけたロダン
考えない人たち
薬指に カラスアゲハ
....
結びつけること
束縛であろうとちいさなゆびきりであろうと
いつもばらばらになろうとしているものを
とどめようとするきもちがすきなのだ
水引って結んであるでしょ
封印でもありたんなる飾 ....
蚊取り線香の匂いが好きだと
誰かが言った
すごく落ち着くんだって
わかる気がした
猫を抱いて
庭先で蚊取り線香を焚く
とても静かな夜
長い間忘れていたその匂いを
思い出そう ....
熱中症「厳重警戒」の下
地域のシルバーたちは
朝早くにグランドゴルフ大会へ
出かけた
近所に住む90代の伯母さんも
元気に出かけた
彼らは
粗食に耐え
夏の暑さにも
冬の寒さにも
....
吹く風に捕らわれた身は山を駆ける。
幾たびも過ぎていった時を頼りに。
先人達の漲る力に生を覚えて、
村はずれの舗道にただ立ち尽くす。
吹く風に捕らわれた身は川を渡る。
輪 ....
夏の夜の終わりに
妖精の輪に足を踏み入れた
短針を飲み込んで
長針を吐き出した
秒針の枯渇が凍結してゆく
三針の傷痕が開いてゆく
真白いシーツの奥で蠢く
化生に成りつつある獣
....
いつか完成するだろうか
あばらの中のいくつかの空洞は
満たされて、微笑んで眠るだろうか
脂肪に埋もれる柔和な女になれるだろうか
昔は違ったのよ
と笑って言うことができるだろうか
抱 ....
さざめいている
ざわめいている
どよめいている
私の頭のなかで
何かが、
輝いている
光っている
凍っている
巨大な明滅凝視、、
近づいている
波打っている
....
入院したら
猫が心配だというおじいちゃんがいた
また、今回奇跡的に助かったのは
猫のおかげだと言っていた
何匹いるんですか、と尋ねたら
八匹いる、全部野良猫だったやつだ
と言っていた
動 ....
明日への旅路の始まりはどうしようもないほどに、ここ、なんだ。
僕は驚くほど体力を消耗している。
朝を恐れていくら夜にしがみつこうとしても煙草の灰が増えるだけ。
人は自分に自信を持てと ....
頬を濡らすものを拭うこともせず
ただ手放しであなたは泣く
抱きしめても嗚咽はやむことなく
わたしの肩が湿り気を帯びる
体温の熱さが伝えてくるもの ....
朝起きて顔を洗うとすぐに
台所へと向かう
目覚めのいい朝も、悪い朝も
遅刻しそうなほどぎりぎりでも
必ず台所へ向かう
....
宙に 浮かんだまま 漂っている
意識
が
ふらふら
ふわふわ
流れ続ける時のなか
痛みながら呻きながら
肉と繋がり
引き留められ
わたしの在り処を
探してい ....
人は人 海は海
だけど私は海になりたい
なぜって 海になれば どこへでも 流れて行ける
アメリカ イギリス オーストラリア.......
深海だってのぞきに行ける
アトランティスの謎 ....
窓に差し込む光のパレード
雀が鳴いているうちはまだ良い
目覚まし時計で僕は一度死ぬ
ブラインドの羽根を回す力で
景色を切り刻む夢を見ていた
皆殺しの朝をミルクで薄め
コーヒーはいつもと ....
心臓の手術をしてわかったことは
「死ぬ」ことよりも
「痛み」のほうが
耐えられないということだ
死ぬのは
抽象的だが
痛みは
具体的で切実だ!
蒸し暑い梅雨時は アイスコーヒーに誘われて
そぞろ歩きで思い出の 海辺のカフェテラスへ
グラスについた したたり落ちる水滴が
キラキラ光り ささやきかける
それは遠い記憶の ....
私は私以外の者ではない
遡ってみれば
三千億の夜と昼を過ごして来た
生と死は読点のようなものであって
輪廻の鎖を引きずっている
いま
この鎖は解かれ
光と螺旋の秘密は
蒼穹を駆 ....
燃えている
寝床でノートを一枚破り
くしゃくしゃに丸め宙に投げたら
燃えている
めらめら青白く
宙に浮いたまま
ぼんやり見上げていると
大きくなったり小さくなったりしなが ....
自分の子供だからって
なにをしてもいいわけじゃない
当たり前だけど
当たり前に思わない人がいる
たたくことも愛だと
うたう人がいるけど
自分がたたかれても
愛に感じるの?
生ん ....
朝を折りたたみ
昼を折りたたみ
犬を折りたたみ
猫を折りたたみ
自宅を折りたたみ
通りを折りたたみ
横断歩道を折りたたみ
バイパスを折りたたみ
街を折りたたみ
都市を折りたたみ
飛 ....
あれは私がまだ
私の親のことが思えていた頃のこと 誰もいない
誰にも会ってはいない きっと 眠りの中で
そして 私は思うような私でいられた
私は日差しのラインを感じる しかし ああ
....
なにかに 置いていかれてしまった
わたしらがわたしらでなくなるまで
ひとかけのクラクションは膨らみ
小さなまま大きくなった
波を待つ肢体のような
五月蝿さ ....
蚊取り線香の匂いが漂っていた
あの夏の夜を
貴方は覚えていますか
時折天を仰ぎ
用意していた言葉を
ひとつ、ひとつ紡いで
気づくと蚊に刺されて
痒みを帯びた足の甲
それくらい動 ....
俺は化け物だ
他人とは相容れない
愛されず
触れず
少し遠くをひっそり生きる
俺は化け物だ
生まれたときから他人とは違う
愛さず
手を伸ばさず
少し遠くで震えながら待つ
俺 ....
滲む濃紺のシルエット
おくれ毛ぬれたその耳を塞いで
いたのは 誰の声だったのか
小さな手から逃げ出した
風船は 空いっぱいにふくらんで
音もなく 破裂した 大人びて寂しい
始まり ....
団地は
隣人の集合体だ
そこには
それぞれのお話
それぞれの事情
それぞれの理由
それぞれの歴史
それぞれの食物
それぞれの欲求
それぞれの体位
それぞれの安息 ....
眼鏡の奥の青い瞳が血で染まる時、埠頭から飛び立つ鳥よ、憎しみに湧け。
人間の弱さを自分の弱さと重ね合わせ、逃避する心よ、悲しみに暮れろ。
存在を日々消費してゆく者が夕景に若いエキスを吸い ....
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