大きなスズメバチが
まるで土下座しているみたいに
地面にへばりついていた。
よくみると
それは死んでいた。
ベンジー、

幾層にも重なった透明なガラスを

透り抜けた陽の光が映し出す水色のようなその声で。

ベンジー、

切り取られた瞬間と瞬間を鮮やかに縫い合わせる

細く脆く美しい銀色 ....
そして、詩人が現れた。
詩人は、ただその場に佇んでいた。
何かを語るわけでも、何かを演ずるわけでもなく、
少しだけ俯いて、その場に佇んでいた。
視線に晒され、嘲笑に嬲られ、罵声を浴びながら、
 ....
おれが部屋で一人
ファミコンだったり
ファミコンじゃなかったりするもので
ぼんやりと遊んでいる
午後

ファミコンだったりするものは
とっくの昔に壊れかけていて
コントローラーのBボタ ....
プラナリア飼ってるから見においでよっていわれて
霧雨の国道まで出てタクシー停めて
途中でコンビニ寄ってハーゲンダッツ買って
ゆうこの部屋に着いたのが金曜の夜中で
今は日曜日の六時半をちょっと回 ....
森の奥で歌う
かわいい小鳥の中にも

砂場で無心に遊ぶ
汚れなき幼子の中にも

道端に咲く
小さな花の中にも

ひとつの地獄がある

生という地獄
死という地獄
美しく虹色に ....


結局 カネか カネなのか
いろいろなモンダイのほとんどは
なんだかんだいっても
カネで解決できちゃったりするじゃん




それを言っちゃあ おしまいだよ



 ....
娘が泣いている
泣きながら
ピアノの練習をしている
泣くほど嫌ならば
やめてしまえばよいのに
と思うのだが
娘は泣きながら
ピアノの練習を続けている
泣くほど嫌ならば
やめてしまえよ ....
蝶よ、飛べ。

人の手の届かぬ高みまで、

鳥どもの眼の届かぬ彼方まで、

蝶よ、飛べ、

飛び続けろ。
分厚いアクリルガラスの向こう側
水槽の重い水の中で鮫は
鮫という生物ではなく
鮫の形をした液体のように
ドロリと泳いでいる

鮫よ永遠に泳げ
人の世の歴史が果て
命あるものすべてが斃れ ....
頬張るチェリー
唇のダークピンク
触ってやさしく
問われれば
答えは
いつもイエス
宇宙とジャングルを
真一文字に結ぶ線上に
おれは屹立していて
おれの中で
宇宙とジャングルは
混ざり合って溶け合って
宇宙ジャングルになる
おれの中に誕生した
新しい世界が
爆発的に ....
 赤い鳥

 撃ち殺しても

 赤い鳥
まどろみ
みどり
ぬかるみ
よけて
みよ
くさもえる
あの
みどりのこみち
まよいみち
みちくさ
まみれる
みどり
まみどり
きみどり
ふかみどり
つかみどり
やりたい ....
おまえ知っとるか 蝙蝠ゆうのはな
超音波出しながら 飛んどるんやで

そんなん知っとるよ
ウチのお父ちゃん 鉄橋の修理してる時に
蝙蝠の超音波にやられて 落っこちて死なはった って
お母ち ....
悲しいからこそ美しかったり
美しいからゆえに悲しかったり

愛しいぶんだけ憎かったり
憎いけれど愛しかったり

優しくしてるのに傷つけてしまったり
傷つけたいのに優しくしてしまったり
 ....
あなたからの電話で目が覚めたのは
蒸し暑いベッドの上
胃に残るアルコールと肌に纏わりつく汗だけが
かろうじて
昨日の私と今朝の私を繋ぐ細い糸

昨日と今日は
けっして地続きではなく
き ....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる

新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る

夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
一昨日から
こめかみのあたりに
ずっと居座ってる
ギュッとした感じを
そっと解いてやりたい

縁の欠けたグラスに
丸くて大きい氷を
ガランと放りこんで
安物の焼酎を
ドボッと勢いよ ....
いつの頃からだろう
眼をギュっと瞑ると
赤い滲みがグルグルと回るんだ
だから
うたた寝すると
見るのはいつも赤い渦の夢ばかり
真っ暗な
黒よりも黒い真っ暗な中に
無数の赤い渦がゆっくり ....
月曜日
土砂降りの夜
御堂筋に面したビルの8階から
車のテールランプ
流れていくのを見下ろす

闇に浮かび上がる
白い糸のような雨
滲むネオン

夜なのに
雨降りなのに
空は薄 ....
ハーモニカ吹き鳴らせ
唇切れて血が滲むまで
ハーモニカ吹き鳴らせ
メロディなんてどうでもいい
リズムなんか関係ない
ただとにかく
耳つんざくばかりの音がほしいのだ
そこの踏み切りの手前に ....
黄金の蜜蜂が架空のゴシック建築を描いて飛翔するある夜明けの実
験室で彼女は頭蓋骨の中にひとつの王国を築くホルマリン漬けのギ
リシャ彫刻が語る月の犬の伝説はセメントに塗り込められた落下す
る九番目 ....
蓮の花青白く燃える
微かな灯りを道標に
ここまで辿り着いたのだ
背骨を軋ませる寒気に
追い立てられるように
ここまで逃げてきたのだ
皮膚の下で
おれの真っ白な髑髏が
刻々と輝きを増して ....
猫を殺す夢を見て
汗だくになって飛び起きた

飲みかけの
ペットボトルのミネラルウォーター
冷蔵庫から取り出して
震える手でキャップを開ける

雨の匂いに誘われてベランダに出ると
こ ....
「風の強い部屋」でした
後から後から津波のように
強い風が吹き寄せてきて
カーテンも
ソファも
窓も
床も
天井も
何もかも吹き飛ばして
部屋はなくなってしまいました
「風の強い部 ....
鋼鉄のキリンどもが
夕陽に照らされて
朱く燃え上がりはじめると
このありふれた景色にも
特別に美しい瞬間が訪れる
陽が落ちきるまでのほんのわずかな時間

第3セクターで作られた
この海 ....
かたち は こころ
こころ は かたち

四角が 三角になって やがて 丸になる

ことば は がいねん
がいねん は ことば

無くして 探して 探して 無くす

そんざい は  ....
子供の頃
フリージアってきくたびに
甘酸っぱい氷菓子みたいな
そんなものを思い浮かべてたの

そんな話をしてくれる女が好きだ
凶器のように砕け散るワイングラス。

指先から溢れ出す血の

赤。

ボルドーの陰鬱な太陽を浴びた重い

赤。

山羊の脳味噌のスープが視せる草原の夢。

鳥肌立つほどの一面の ....
大覚アキラ(759)
タイトル カテゴリ Point 日付
スズメバチ自由詩1*05/3/12 23:28
ベンジー自由詩1+*05/3/11 22:50
詩人の死自由詩105/3/11 3:56
午後、ファミコンで自由詩205/3/9 12:49
ゆうことプラナリア自由詩105/3/9 3:57
地獄自由詩005/3/8 11:30
おカネのモンダイ自由詩205/3/8 1:19
ピアノレッスン[group]自由詩505/3/7 1:39
無限蝶自由詩205/3/6 9:48
宇宙鮫自由詩105/3/6 9:47
チェリー自由詩105/3/5 13:02
宇宙ジャングル自由詩105/3/3 12:59
赤い鳥俳句605/3/3 2:09
みどりのこみち自由詩305/3/2 12:11
蝙蝠橋自由詩405/3/1 18:27
背反自由詩305/2/28 22:40
似て非なる自由詩205/2/28 2:39
滑らかに廻り続ける欲望の輪自由詩126*05/2/27 18:05
Leaving Osaka自由詩105/2/27 0:27
嘘言器官[group]自由詩305/2/26 3:03
徴(しるし)自由詩205/2/26 2:54
爆音ハーモニカ自由詩205/2/25 16:05
至福千年[group]自由詩405/2/24 23:19
蓮の花自由詩205/2/24 0:28
ぬばたま自由詩505/2/23 10:50
風の強い部屋自由詩405/2/22 21:02
大阪湾景[group]自由詩405/2/22 8:09
自由詩205/2/20 12:27
フリージア自由詩305/2/19 21:56
イマジナシオン自由詩105/2/19 2:32

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