ひりひり冷たく廻る色
突然やんだり鳴り出したり
常にふいに聞こえくる影
長い長い長い径のうた


雨が降り
言葉は浮き
泡をつつき
外へ出てゆく


匂いは重く ....
石の家の背
ひらく空


あたたかさ
翳りのあたたかさを
指は着て


ひとつの泡が
いつまでも消えずに
流れる言葉の空を映していた


光をなぞり
歩いてい ....
冬のあぶく冬の蒼
橋を洗い水を洗い
よどむ流れの背をつまみ
波を姿に押しもどす


膝の上
水の爪
氷そそぐ水
灯の下の無音


そこに封じようとするこころみ
そ ....
標を砕いた
白い轍を
船が昇る
すぐに
消えてゆく


光の棘や 岩の双六
花でも羽でも在る息の
葉ひとつ分にそよぐ場所


乗るものもない交響
川を下り 雨 ....
人のいないところばかりが豊かなので
人ではない人は首をかしげた
どうして自分は
豊かではないのだろう


顔も名も
家族も憶えられず
波だけを数えていた
溺れては ....
魂のないものを
魂のないままに照らし出し
街はまぶしく
人はまぶしく


葉先についた水が
薬と埃を運ぶ
正しさのない
正しさたち


渇くほど
空はまわ ....
雨のあとに増す
後ろ姿
径を曲がり
野の前をゆく

同じ顔をした娘が四人
家のまわりに立ち
海辺の灯
風を まわす

何も見ないものに囲まれて
子はひとり空を ....
星の葉に 水が降る 
誰も招ばぬ
誰も呼ばぬ


夜を醒ます雨
背に生やし
遠去かる冬


無と無のはざま
小さく問うもの
窓の外は絵
いつか 消える

 ....
陽のかたまりが
荒れ地の斜面を流れ落ちる
何もない場所が
何もない拍手に華やいでゆく


指に沈む 爪の長さ
雪でできた肉厚の葉に
花は無い 花は無い


多 ....
空洞が鳴る
鏡の道を
空洞がゆく


光と遊び
冬を呑む子
鱗へ 水へ
蒼をこぼし


葉を追いながら
双子のけだもの
銀を知らず
冬を知らず

 ....
すべての水の凶兆に立ち
濡れた緑を見つづけている
静かな悪魔が建てた街


どこまでが幻か
袋の底の底をまさぐる
鳥のような 砂のような


瞳が沈み 昇る真下 ....
硝子と硝子のはざまの花
花の息に
そよぐ花
花は
花ではないのかもしれない



祭の終わりに
終わりを見ぬまま離れ出て
裏の通りを歩いていた
海に並び
海に着 ....
光が
空の壁を抜け
消えてゆく
遠い笑みの 細い柱


石の路の夕べの先
午後が雷を呑んだあと
あたりは暑く静かになり
失くしたものを数えだす


進む方へ 傾 ....
花のむこうに
音は横たわる
夜の一室
屋根の下の迷路


鉄の隙間から見える空
夜は枝
別れは多く
慈悲は少なく


時間がまだ
舌の上にあるうちに
きまぐれな ....
迎えに来たのに誰もおらず
よそいきの顔は漂っていた
見知らぬ仲良したちが
通りすぎていった


じつは夜ではないのです
聞こえないざわめきに
種あかしをされても
どう ....
朝の冠
光なぞる指
覆い
覆いて


凶事とともに
庭に埋まり
花露の熱
打ち寄せる音


寒い光の底から出て
雑な緑を集めている
昼の明るさ
何も無 ....
わたしはあなたの影しか知らない
そう言って幾度 舌を出しただろう
一度に燃え尽きる無数の蝋燭
その揺れめがけ 蒼は降り来る


消えかけた右腕を明るく照らし
頭上の痛み  ....
斜めの鏡に映る逢魔
草が双葉へ渡す花
解体される建物が
料理のように匂いはじめる


小さく鳴る水藻
かわいては沈み
ふたたび浮かび
壁と影を繰りかえし濡らす
 ....
火をなぞる火
けだものの火
溶け流れても
火をなぞる指


短く忘れ
帰り道に手を結び
思い出す
朝の遠さ


狩るもの
水の両腕
霧を指す霧
副葬品 ....
蝶のくちもと
触れる予兆
硬い草色
舐め取るふるえ


粉にまみれた異母兄妹を
泡のように飲み干して
こぼれた光
夜の 市街


皆のところに行けない犬
噴水 ....
あなたの肌に聞こえるものが
他の何処にも聞こえぬという
蝕のあとには何も無くなり
皆あなたの肌を聴きたがる


カーニバル
雨の針
グライダー
嘆いても嘆いてもはじま ....
午後を夜に変える光を
首にまぶして遊んでいる
声の無い鳥たち
枝のなかのはばたき


土に臥せるほどかがやく花
枯れ野を歩む枯れ野の足音
砂と光が
空をなぞり 花 ....
羽がちぎれ
午後が見える
桃と乳の
濁りの音


近くにさわれぬ指の遠さ
水の層をつらぬく羽
大きな景から先に飛び去る
跡を跡に響かせたまま


午後の底の ....
垂直に聖なるものが地に倒され
狼の声を聴いている
流木がふちどる
真昼の路


終わりは来ない
そんな終わりが
もうひとつのはじまりまで
つづく


木の根元か ....
死んでしまった
気づくと
生きていた
今あるからだの半分は
どちらでもないものだった


雁と鴨が飛び立った
海は水紋と
穴に分かれた
曇の音が
止むことはなかっ ....
夕べの膝が
階段を降り
蚊の群れのような「か」の文字を
楔の如く浮かばせている


どこまでも魚は魚なのか
死ぬまで泳がねばならないか
水と水以外との語らいを
宇 ....
奥へ奥へ
枝の洞に
鳥のかたちの灯が燈り
迷いの声で話しはじめる


強すぎる光が
目に残すしるし
指が指を
抱き寄せるしぐさ


夕陽を知らない川を
流 ....
降る夜のなかの樹々
空へ空へ落ちる雨
水が水に
乞いつづけるうた


浜辺と岸辺
正負の境界
ただひとつの無数の鈴
外の耳へ鳴りひびく


羽に落ちる花影を
 ....
あきらめられた真昼には
羽で見えない筆の在り処
青と金 また青と金
酒瓶の底に立ちつくす地図


鳥が煙に生ませた子
どこまで歌い
地を揺らすやら
羽毛を羽毛になぞる ....
路傍に苔むす王たる剣が
背とはらわたの国に敗れ去るとき
わたしはまつりごとを酸に溶かし
永遠に厠で廻っていよう
曇うがつ陽の行方を確かめぬまま
春が生む負を見届けぬまま
 ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜めぐる夜  Ⅵ自由詩112/7/19 10:23
夜めぐる夜  Ⅴ自由詩312/7/14 21:46
夜めぐる夜  Ⅳ自由詩612/7/9 23:32
夜めぐる夜  Ⅲ自由詩512/7/7 21:24
白桜鬼自由詩512/7/4 0:39
夜めぐる夜  Ⅱ自由詩112/7/2 22:44
夜めぐる夜自由詩512/6/28 9:30
降夜小震自由詩412/6/23 13:06
未季明自由詩512/6/17 22:38
灯へ まどろみへ自由詩912/6/12 19:56
ひかり かさなり自由詩512/6/8 22:33
離れ そのまま自由詩312/6/4 9:59
洞へ 夜へ自由詩3+12/6/1 8:59
水と巡り自由詩312/5/27 23:20
ノート(49Y.5・20)[group]自由詩212/5/21 2:19
無境音叉自由詩512/5/21 2:18
ノート(Thermo)[group]自由詩412/5/17 21:51
The End Of An Ear自由詩612/5/17 21:49
ほつれ むらさき自由詩312/5/16 21:16
ひかり まわりみち自由詩512/5/15 9:39
ノート(49Y.5・9)[group]自由詩412/5/11 2:13
ほとり しずか自由詩612/5/10 23:52
ひかり へだたり自由詩312/5/5 2:15
ふるえ ながれ自由詩512/4/30 20:17
ノート(水地)[group]自由詩1+12/4/25 22:54
ノート(なのほし)[group]自由詩112/4/25 22:52
冬と行方自由詩412/4/25 17:13
翳音手自由詩312/4/19 10:38
鉄の花自由詩512/4/12 20:07
ノート(49Y.4・10)[group]自由詩112/4/12 20:04

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