友人の家に行った
友人の家は行くたびに違っていて
今度は旅館だった
居ないはずの息子が玄関に居て
背を向けたまま
こちらを一度も見ることはなかった


誰かが
ひ ....
こがね色の岩の洞
居ないものの影が映る
葉より上に浮かぶ捕食者
傷のように緑を焼く


骨と星 骨と星
白紙が白紙に落ちる距離
昇る泡のなか
線を描いて


猫 ....
多くの言葉が消え去った後
ただひとつだけ残る形容詞
それはけして けっして
良いものではありえない
金属を覆い かがやく曇
夜のはじまりの口笛を吹く





 ....
夏衣からだを縦に脱ぎ捨てる



何を射る指と指のはざまの陽



真昼から骨を外して蜃気楼



人の灯が消えた後に点くけだもの灯



片方 ....
傾いた径を
傾いた柱がなぞり
森を巡り
坂を下る


傍らをすぎる見えないかたちの
わずかな動きにひかるもの
夜の端
夜の痛みを照らすもの


枝から枝へ雨 ....
北の空が明るく
白を白に束ねている
先端へ 先端へ
まぶしく 見えなくなる


空は分かれ
互いを追い
互いを行き来し
さらに分かれ さらに分かれ


雨の ....
窓に付いた
紙のきれはし
水のように光り
兆のように消えてゆく


浸透圧
立ち止まる
有るか無いかの
はざまにまたたく


鱗がひとつ
水から離れ
羽根に ....
柱 文字 からだ
数千年の空の筒
蜘蛛の巣の雨
冷たい青
はらいのけては肌に生え
夜明けを夜明けに呼ぶ鉛
炭の地平に羽と浪を描く



真昼の軍政
砂とささやき
 ....
かぎ裂きの浜辺を
ひとり遅れて
虹は歩いた
問いには応えず
奏でる指から流れる血
嵐の先をしめす標
会いたい人に会えぬ代わりに
言葉ばかりが目に降りそそぐ


 ....
水底につづく階段
溶け残るつらら
午後を咬むつらら


羽のしぐさ
空のひらき方
指をのばして
そっと試して


ひとつだけだよ
裏通りの声
違う人の 同じ言 ....
水滴の柱が
ゆうるりと地に立ち
午後と夜を映し
震えている


沈みきるまで
樹を見つめる月
荒れた青を
荒れた灰の的に射る


諦められた水色のむこう
 ....
行き場のない さみしい汗
スリッパの底に 刺さった画鋲
崖の上の銃声
まるく重なり ゆらぐ虹
深夜にたなびく衣の群れ
何かを殺める夢から覚めた
行き場のない さみし ....
からだが
前に前に傾き
おおいかぶさる
眠りつづける
四つんばいの少女
自分もそのまま
眠ってしまう


ぶおう ぶおう
ざば ざば ざば
自分もそのまま
 ....
今は六時
光のうろこ
空の隙間
土からの声


風とおしの良い
泥の街だ
姿の無い
列車の音も聞こえくる


うなじに揺れる羽も尾も
すぎる翠の反対を向く
背中 ....
幼い虹が
水たまりを駆けてゆく
窓を流れ 昇る曇
誰かが何かを読む声が
水路の終わりに響いている


空に迷う鳥の声
白に降りる白の声
割れた渦にざわめく森
 ....
水の底で
むかいあっている



水草が
こちらを見ている



水面の陽はむらさき
月が 横切ってゆく














 ....
灰皿に捨てられた
飴玉のように
灰色に灰色に
笑っていた


青空の下
ひと山いくらのペット
焼き魚のにおい
轢かれた音楽


不親切な
海への道のり
 ....
指が鳥になり
ふたたび指になり
ふたたび鳥になる
そのくりかえしを
見つめている


眠る家々をまたぐ蟷螂
土にこぼれ 消える灯り
風が街に着せてゆく
街ではな ....
白い舟
白い砂
触れに来る
見えない淵


白い波
白い音
常に来る
辺を探す


白い地平
白い弓
指で指をひらくように
空へ嫁ぐように歩いてゆく

 ....
静かな光 白を昇り
ひとつ喰らい
迷いを喰らい
明け方に降る 音を歩き


骨の曇の重なりの
はざまのはざまのはざまから
煙と霞のまじわりが
遠い遠い氷を照らす
 ....
半月の軋み 暗がりの音
光の塵をついばむふるえ
むらさきの羽 むらさきの尾
飛び去る心をからめとる
夜が夜に咲く夜に
夜が夜に咲く夜に









 ....
鴉の空の隔たりの
硝子と翠
尖塔と影
描かれた窓から吐き出される火


枝から枝が降る午後の
むこうの午後を聴いている
原と原に挟まれた径
海へゆうるりと下る径

 ....
扉をたたくもののそばに立ち
いつまでも開かない扉を見ている


扉をたたきつづけるものにも
扉を開けようとせぬものにも
何も言わぬまま









 ....
夜と緑
貼られた鉱
落ちる音の色
水紋の径


冬の浅瀬
息はこぶ息
訪れぬ雨を
聴いている径


痛みと灯の間
何かがさえぎり
骨のない傘
影はひろがる ....
割れた橋から
差し出される手
何も映さない
水たまり


指の上
冬の川
霧のゆく先
池を伝う陽


外灯の裏の夜を歩き
晒されつづけるはらわたと骨
水 ....
ある日
猫に似た尿意が告げた

(あなたはけして)
(あなたではない)

だからわたしは
めざめて最初に見たものへ
放った











 ....
二本の渦の樹
鳥の声にまたたく
河口の骨の陽
波に波を描いてゆく


誰もいない路地をちぎり
原へ原へ撒いている
やがて生える光
水をまさぐる葉


消えてはお ....
布の鳥が鳴き
ほどけては地に落ちる
六角柱の空が
球になろうとして震える


砂煙の夜を
すぎる猫の背
二色をわたる
赤子の息


花のように立つ銀河
白は白 ....
径を照らす茶色の花
川のかたちを隠す樹の影
砂岩の崖のはざまを下り
陽は淡く細く鳴りひびく


光はまぼろし
こがねは緑
巨大な片羽
星の同義語


午後の陰を ....
室内の外灯が
ねじれながら消えてゆく
蒼と銀の昼
置き去りの冬


つながりのない空が手をつなぎ
脚で波を数えている
枝の標から
生まれる音


冬を曲がると
 ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
ノート(空と海)[group]自由詩313/8/7 1:58
ひとつ 呼吸自由詩513/7/31 9:38
ノート(形容詞)[group]自由詩313/7/31 9:35
殻光俳句313/7/31 9:33
いつつ ながれ自由詩513/7/26 22:18
午後と秘名自由詩413/7/19 23:53
わかれ まばたき自由詩313/7/11 23:32
ノート(砂とささやき)[group]自由詩613/7/11 23:29
ノート(虹)[group]自由詩513/7/11 23:28
明るく短い径自由詩813/7/5 8:45
こがね ふちどり自由詩713/6/26 23:57
ノート(50Y.6・26)[group]自由詩313/6/26 23:55
ノート(50Y.6・16)[group]自由詩313/6/26 23:54
ひかり めぐり自由詩613/6/21 3:09
こがね さまよい自由詩413/6/16 17:16
ノート(二水)[group]自由詩313/6/16 17:14
ノート(50Y.6・14)[group]自由詩313/6/16 17:13
夜に 夜に自由詩513/6/5 9:29
ノート(   のほうへ)[group]自由詩113/6/2 10:14
水と径自由詩213/5/28 9:40
ノート(半月)[group]自由詩213/5/28 9:38
ふるえ こがね自由詩313/5/23 2:47
ノート(扉)[group]自由詩113/5/23 2:46
かたち またたき自由詩213/5/16 19:39
水と水自由詩413/5/8 1:13
ノート(尿意)[group]自由詩313/5/8 1:11
ひとつ いつわり自由詩313/5/2 2:20
水と応え自由詩413/4/29 9:20
ひとつ 幕間自由詩213/4/24 10:48
原と影自由詩213/4/19 0:50

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