緑の下を濃緑が
水のように流れゆく
化石の木々から
止まぬ震動


硝子に分かれる
もうひとつの径
岩穴の向こうの
凍てつく群れ


布 麻
消えかけた火 ....
海の底から立ち上がる城
瓦礫の泡 草の鎖
空と樹 樹の前の樹が重なり
骸のように立ち尽くす


霧と岩は夜に溶け
雷雲は野外の舞台を照らす
山の裾野を登る波音
水 ....
雪の頬 雪の頬
おまえは触れぬ
いかずちの音
花に花に 到かぬ音


熱は奪い 熱は伝う
あえて語らぬ事のために
やすらぐ心は冷えてゆく
水の向こうを 転がる ....
湯のなかで痛む指
数えても終わらない曇の流れ
冷たさを呑むこと
手のひらの空をかき混ぜること


双つの明るい星
火と火の生きもの
森の目 岩の目がひらき
ふたたび静 ....
金魚鉢を売りに
宇宙基地に行くと
そこには所狭しと
地球脱出用ロケットが並び
丘一面の仙人掌が
キカキカキカと揺れている
頭の上の羽のかたまり
空は川底 地は水面
光と ....
午後の羽の蝶が群がり
枝は一時 空に呑まれる
実は鉱に転がり 水に落ち
空へ還る空を見つめる


砂漠の火花に
鳥は降りる
そこに在ったかもしれない命の
無機と無 ....
光を打つものの影が
空に映り揺らめいている
二本の穂の墓
影が影に寄り添ううた


切り落とされても切り落とされても
見えない部位は羽ばたきつづけ
音の無い風が生ま ....
流木と焦木が
河口に混じり
川辺の火を見つめている
低い 低い月の渦


見えない雑踏にまみれ
等価を与えられる
抱くと同時に抱かれるかたち
水で水を受け取るかたち
 ....
花のなかの
蜘蛛の影を吸い
水の螺子を巻く指が
静かに空をまさぐっている


まだらな闇
居るはずのない家族との約束
ところどころ見えない階段
現われては消える粉 ....
深夜の白く澱んだ曇から
硝子の光が降りつづいている
枯葉と鉱のはざまの音が
甲と指を擦っては落ちる


あちこちに
赤く乾いた小さな実が散らばり
時おり虫のように震 ....
死も生もなく笑む波を
取り囲んでは光の渦の
散らばる視線を集めて白の
ひとつの樹にだけ降る午後の水


二重の種子の太陽
淵に滲む光
数倍 数十倍にふくらみながら
 ....
水紋のそのままが伝わり
川底の色に雨が加わる
あやまちの子が
夕暮れに手を振る


曇わたる曇から蒼が降り
唱う譜面の切れ端も降る
幾つかに分けられた家並から
楽隊の ....
曲がり角の雨
踊り場の雨
常に潜む雨
葉を照らす雨


理由もなく
人のかたちをしている蛭が
街を造り
歩きつづけている


空の子蜘蛛
低い青
かすか ....
曇のない空の下に
灯りが落ちている
傾きに逆らい 水は上り
空の奥の火を映しだす


何もかもがぶら下がる方へ
夜は静かに沈みゆく
鉱の声 光の声
水たまりの心を過ぎ ....
何も見えない湖は
来るもの 発つもので騒がしい
無数の軌跡
無の飛跡


まつろわぬものらの轟きの朝
すべてからすべてから離れてやっと
自分自身で居られる音の
近く遠 ....
鉄の孑孑が
陽に吸い付く
山羊は飾られ 剥かれ
刎ねられる


空の管が鳴り
青は黙る
三方向に拡がる風景
外のちから 滴の影


淵の淵から
雨が掘り起 ....
雨を呼ぶ声
空をくぐる火
曇の牢に動く影
水の径を追いつづける午後


涙で目を洗うとき
ふと片目に残る光
三日月となり常に静かに
銀と灰を重ねてゆく


多く ....
針の翼
夜の屋根
緑の雨が
楽譜を照らす


街の起伏
夢のつづきの夢ばかりつづき
目覚めも指も
夜になれない夜をこぼす


葉の陰の硝子
雨の奥の太陽
扉 ....
氷の川 紙の舟
暮れを旋す 空の浪
小さなけだもの
踏みしめる葉


神棚の窓の下の囲い木
降りそそぐ見えない雪のようなものから
何かを護りつづけている
いつか朽 ....
低い空の斜め左に
かがやいては煙となる光
煙が煙でなくなるまで
煙は光を昇りつづける


流れ星が流れ星にぶつかり
祈る間もなく 消えてゆく
けだものの夜
やわら ....
暗がりを映せば鳴る目の水の
緑に散っては集まる姿
標を失い かたちを失い
かがやきながらすぎゆく姿


階段の前に
すっくと立つ影に
目が触れ 揺れる
滾ることの ....
海のすぐそばを通る径に
崩れかけた廃屋があり
それを覆うほどの大きさの
汚い布が何枚も
何枚も重ねてかぶせられていて
浪や風が来るたびにひるがえり
がらんどうの廃屋 ....
小さな古い木の
根元近くの幹にあいた洞から
白く艶やかな瓜のようなものが
ゆっくりと外へ押し出されている
周りに溶け残る雪から
雪と同じ色をした蟻に似た虫が
ぽつりぽつりと ....
光の傷 埃の羽
蜘蛛の巣の雨 風を鳴らし
昼に沈み
夜に揺れる


つぎはぎの声
低空に満ち
矢継ぎ早の虹
径を濡らす


止まっていた渦が動き出し
老いを増 ....
息のなかに混じるもの
糸 粉 影 色
羽 羽 羽 羽
内に境に積もるもの


文字と文字が近づくと
青い光が現われる
水の底から
見つめる花びら


見張られて ....
けだものに引きずられ
遠くも近くもないところへゆく
何かを諦めたような
朝と目が合う


布に覆われた空がぼそぼそとたなびき
まなじりは冷たく足は軽い
虫はおらず  ....
窓を閉じる音
主人の居ない蜘蛛の巣の夏
自ら内を選んだ羽
硝子のそばから離れない


骨の寺院
どこか低いところから来る雪
小さな本をめくる
風の夢の終わり


 ....
双つの四角を重ねた星
水色はただ
悲しいばかり


すぐに到く
蜘蛛の星
風しか 触れるもののない


切りました また
つながりました
人は蒼を見 けだも ....
火の樹を鎮めようとして
霧の葉が燃えてゆく
夜の曇の表情が
波の上をすぎてゆく


光の会話のほとんどが散り
眠りのなかで育とうとする
小さな音が集まりかたまり
しゃ ....
{ルビ断頭台=ギロチン}に葛ちらせて{ルビ骸酒=むくろざけ}



片目あけ光の血まみれ五月雨夜



岸に降るけだものひとり振り返る



撃てと ....
木立 悟(2329)
タイトル カテゴリ Point 日付
冬と射手自由詩516/12/8 10:14
ひとつ 水音自由詩616/12/3 23:23
ゆらぎ さまよい自由詩416/11/29 19:39
ひとつ 露光自由詩716/11/24 19:27
ノート(金魚鉢)[group]自由詩416/11/20 7:06
夜へ ふたたび自由詩716/11/17 22:48
ふたつ 冬野自由詩1716/11/14 23:18
ひとつ まなこ自由詩516/11/11 10:08
午後と秘名自由詩616/11/8 9:21
ひとつ 冷笛自由詩316/11/3 13:10
ひとつ 夜音自由詩516/10/28 20:08
夜と羽自由詩616/10/23 23:41
しずく 手のひら自由詩516/10/19 8:45
うつろ かがみ自由詩316/10/14 19:54
白 めぐる白自由詩816/10/6 17:07
黒よ 黒自由詩516/9/28 23:11
あゆみ むらさき Ⅲ自由詩616/9/21 9:52
あゆみ むらさき Ⅱ自由詩816/9/15 1:50
あゆみ むらさき自由詩416/9/4 18:03
外へ むらさき自由詩516/8/25 19:42
ひとつ しめす自由詩216/8/19 21:27
ノート(浪)[group]自由詩216/8/19 21:26
ノート(果)[group]自由詩216/8/19 21:25
なごり ひびき自由詩516/8/10 11:23
白 こころ 白自由詩416/8/4 0:49
ノート(はざま 歯車)[group]自由詩316/8/4 0:47
白と底(夜と昼)自由詩516/7/21 21:09
夜としたたり自由詩316/7/11 8:33
水辺 ふちどり自由詩416/7/7 1:32
二季応禍俳句516/6/29 23:53

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